江戸時代、庶民の間では夏の土用の時期に灸をすえると良く効くと信じられていた。土用に「ほうろく」という素焼きの皿様のものを頭に乗せ、その上に大きな「もぐさ」をのせて点火し、もぐさが燃え尽きるまで無病息災など仏の加護を祈ったのだが、もともと日蓮上人が僧の修行のために始めたといわれ、日蓮宗の寺院でおこなわれている。暑気払いや頭痛封じ、中風封じの祈祷として有名になったが地方によっては、炎天下で暑さ負けした武将(武田信玄)が、カブトの上から灸をすえたところ、たちどころに全快したのが、「ほうろく灸」という伝統行事になったとも伝えられている。暑気あたり、頭痛に効能あらたかで、昔の人の夏バテ防止の対策法とでも言うべきものだろう。今でも夏の行事の一つとして、土用のうしの日に続けられているところが多いが東京で現在行われている所は少なくなった。神楽坂の中央にある通称「毘沙門様」と呼ばれる「善国寺」で7月下旬の神楽坂まつり・ほおずき市の最中に実施されている。