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| 浅尾 拓也(日本福祉大)投手 182/71 右/右 |
「なんの変哲もない投手が、94マイル(150.4キロ)!」 愛知大学リーグの2部に在籍する日本福祉大。ここに一人のプロ注目の投手がいると言う。その男の名前は、浅尾 拓也。球場について見渡しても、正直どれが浅尾かよくわからない、なんの変哲もない体格をしている。ブルペンで投げ込む複数の投手の中でも、特に際だったフォームをしているわけでもなかった。マウンドに上がっても、とても140キロ台の速球を連発するような投手には見えない。 試合が始まると、それまで何処にいたのかと思う程、私の後ろには12球団のスカウトがずらりと並んでいた。初球から、89(142.4キロ)89、88(140.8キロ),89,92(147.2キロ)マイルと刻んで行く。一体何処にそんなパワーを秘めているのか? (ピッチングスタイル) お世辞にも、綺麗なフォームとは言えない。イメージ的には、染田(同大−ベイスターズ)投手に少し雰囲気が似ているか。常時140キロ台〜MAX150キロを越えるような速球を投げ込むと言うのは紛れもない事実。 変化球は、110キロ台のカーブのようなスライダーと120キロ台のブレーキ鋭い2種類のスライダー。これに、チェンジアップ・フォークなどを併せ持つ。中でも120キロ台のスライダーの曲がりとブレーキは中々効果的。 逆に、破格の球速をコンスタントに刻む速球は、球速ほどの威圧感・手元での伸びは感じさせない。それでも7回で91.92マイルと刻むところを観ると、想像以上に体力もあるし、投球自体もまとまっている。これと言った決めてがないのが気になるのだが、勝負どころで、ズバッと内角の厳しいところを突けるのは、何処か中田(北九州市立大−中日)に似ている部分もある。 <右打者に対して> ☆☆☆ 基本的には、右打者のアウトコースに二種類のスライダーと速球を、インコースに速球を投げ込むと言ったオーソドックスなスタイル。両サイドに適度に投げ分けているのだが、アウトコース高めに浮く速球を痛打される場面が目立つ。相手打者からは、それほど苦になるタイプの球質ではない。それ故に、追い込んでからの縦の変化が欲しいところだが、殆どフォークなどを投げ込んで来ることはない。 <左打者に対して> ☆☆☆ 左打者に対しても、両サイドに球を散らす投球スタイル。アウトコースには、速球とチェンジアップで、インコースには左打者の内角クロスへズバッと速球を投げ込んだり、スライダーを食い込ませたりしてくる。真ん中近辺の甘いゾーンに来ることは殆どないが、球にそれほど嫌らしさ・凄みがないので、球速ほど苦にはならない。その証拠に、二部の名商大の打者達も、毎回のように、彼の球を捉えていた。 (投球フォーム) 下記にリンクしてある「迷スカウトの足跡!」10月8日更新分に、彼の投球フォーム連続写真が掲載されているので、そちらを参照して頂きたい。 <踏みだし> ☆☆☆ 写真1を観ると、ノーワインドアップで構えた時に、足の横幅を適度に取りバランス良く構えられている。また足を少し引いて構えることで、無理なくエネルギーを導くことが出来るはずだ。 ただ写真2の足を引き上げる勢い・その高さは並程度で、踏みだしとしては平均的な投手だといえよう。 写真1 ![]() <軸足への乗せとバランス> ☆☆ 写真2を観ると、軸足の膝から上がピンと伸びてしまい、身体が直立してしまっている。これだと膝に余計な力みが生じたり、身体が前に突っ込みやすく、軸足の股関節にもしっかり体重が乗りきらない。もう少しバランスの取れた立ち方を身につけたい。 写真2 ![]() <お尻の落としと着地> ☆☆☆ 写真2の立ち方が悪かった割には、写真3の足を伸ばした時の、お尻の落としは思った程悪くはない。それでもお尻の落としは、甘いのだが・・・。そのため充分を身体を捻り出すスペースが確保出来ていないので、将来的に見分けの難しいカーブや縦に鋭く落ちるフォークの修得は微妙だろう。 ただ写真4の着地までのタイミングは、ソコソコ粘りがあり、けしてあっさりはしていない。そのため体重移動や打者のタイミングを外すといった観点では、思った程悪くはなかった。 写真3 ![]() <グラブの抱えと軸足の粘り> ☆☆☆ 写真5の段階までは、グラブをしっかり内に抱えられているのだが、写真6の段階に入るとグラブが身体から離れ始める。出来れば左右の制球力を安定させる意味でも、グラブは最後まで内にしっかり抱えたいものだ。 写真5の左足のスパイクを観てもわかり難いのだが、足の甲での地面の押し付けは悪くはない。しかしもっと深く・長く押し付けられる粘りが下半身に出てくると、良い球が低めに行くだろう。 写真4 ![]() <球の行方> ☆☆☆ 写真3を観ると、両肩を結ぶラインはけして真っ直ぐになっておらず、意外に球を隠すことが出来ている。写真4の着地の段階でも、ボールは打者から見えてきていない。通常甘くない球を痛打される一番の原因は、肩の開きが早くボールがいち早く見えてしまうからなのだが、この選手の場合は、そういった原因ではないようだ。 写真5を観ると、もっとスリークオーターのようなフォームかと思いきや、かなり腕の角度が高いことがわかる。ただ残念なのは、リリースが早くボールを押し込めないこと。ボールを長く持てないと、球にバックスピンがかけられず、球が手元までこなかったり、微妙な指先での制球力もつけにくい。打者から観てもね球があっさり出てくるのでタイミングが苦になりにくい。彼の場合は、この球持ちの粘りの無さが打者から甘くない球を痛打される大きな要因になっているのではないのだろうか。 写真4 ![]() <フィニッシュ> ☆☆☆☆ 写真6のフィニッシュの写真を見ると、振りおろした腕が身体に絡み、体重も意外に前に乗っている。それでいて身体のバランスを崩さないなど、フィニッシュの形は悪くない。上手く肉付けして行ければ、まだまだ伸びる要素を感じさせる。 写真5 ![]() (最後に) 正直、それほど頑強な身体とは思えず、何処にそんなパワーが秘められているのか不思議なくらいだ。プロで本格的なトレーニングを積んだら、まだまだ球速は上がるのではないのだろうか。 それでいて制球力・体重移動などもけして悪くない。フィールディングや牽制などのレベルも高く、単なる素材型ではないのだろう。少々決め手に欠けるところと、球の手元での伸びがない分少し時間がかかるかもしれないが、プロで鍛えてみたいと思わせるものがある。即戦力とは考え難いだけに上位指名候補とは思えないが、プロ入り後化ける可能性を秘めていた。単なる穴党狙いの話題性投手ではなく、真にプロを意識出来る素材だと言えよう! 蔵の評価:☆ (2006年 10月9日更新) |