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| 江口 亮輔 (愛知学院大)投手 175/75 左/左(大成高出身) |
「神宮大会一番の収穫!」 2006年度の明治神宮大会において、一番の収穫だと思えたのが、江口 亮輔 の投球だった。これまでの江口のイメージと言えば、力ない速球に大きなカーブを投げる左腕投手で、とてもドラフト候補に名前をあげられるのが、個人的には不思議でならなかった。 一時期江口は、チェンジアップを覚えるためにフォームを崩し、120キロ台まで球速が落ちたと言うことで、私が観た江口は、そんな時期だったのかもしれない。愛知学院大の試合は毎年何試合か観るが、大体はエース・山名康浩の投球の印象しかない。今回改めて江口亮輔を真剣に観てみた。 (投球スタイル) テイクバックを小さく固めて、腕の振りをピュッと鋭く振るキレのあるフォームから繰り出す、常時130キロ台後半〜140キロ台前半の速球を武器にする投手。この鋭いフォームが、球に切れと勢いをもたらし、打者もワンテンポ振り遅れるフォームとなっている。 もう一つ、江口の代名詞となっているのが、大きなカーブ。しかしこれは、本人が語るように、以前ほど絶対的なキレがなくなり、空振りの取れる球種ではなくなりつつある。それでも並の投手のカーブとはひと味違うので、緩急を付けたり、カウントを稼ぐと言う意味では重要な役割を果たす。 もう一つは、この二つの球種の中間の球速帯である125キロ前後で決まるシュート系の球が存在する。右打者のアウトコースに微妙に曲がる球なのだが、これは今まであまり記憶ない球種。ただ投球の幅を広げる意味では、これから重視して行きたい球種だろう。 元々球速・球威に欠ける分、試合をまとめるセンス・度胸満点の強気のマウンド捌きが出来る投手だったので大崩するタイプではない。制球力は、かなりバラツキがあり、高めに浮くことが多いのだが、これも彼の球に勢いがあるので、返って空振りを誘える効果が期待出来る。左のリリーフ投手としては、中々興味深い存在だ。 <右打者に対して> ☆☆☆ 両サイドに球を散らせる配球。右打者の胸元・インハイに速球を、低めにカーブを。アウとコース高めに速球とシュート系の球を使い分けて来る。 多少制球にバラツキは感じられるが、真ん中近辺に甘く入る球は少なく適度な荒れ球となって的が絞り難い。ただ追い込んでからの決め球が、速球以外にないところがこれからの課題だろう。 <左打者に対して> ☆☆☆ 右打者には、積極的に内角を攻める投球が目立ったが、左打者には、アウトコース中心の配球になる。ただアウトコースの速球が、高めと低めの二つのゾーンに別れ、更にカーブを織り交ぜて来る。 インコースを厳しく突く変わりに、真ん中高めのボールゾーンに吊り球的に速球が決まったり、この球で空振りを取ることが多い。ただプロの打者が、この球に手を出してくれるかは微妙だろう。勢いのある速球以外に、もう一つ空振りを誘える球種を身につけたい。 (投球フォーム) いつものように、下記にリンクしてある「迷スカウトの足跡!」2006年11月16日更新分を利用して、江口投手の投球フォームの参考にして頂きたい。 <踏みだし> ☆☆ ランナーがいなくてもセットポジションから投げ込む。そのため足の歩幅は狭く、エネルギーの捻出は少ない構えとなっている。またそこから、ランナーがいなくてもクィックモーションになるので、しっかりエネルギーを捻出するよりも、いち早く投げることを重視したスタイルになっている。きっとこのようなフォームをするのは、この方が彼にとってしっくり来るからなのだろう。 ![]() <軸足への乗せとバランス> なし クィック動作が出来る投手は、この部分が存在しないで一気に体重を落とす。 ![]() <お尻の落としと着地> ☆☆☆☆ それでも重心は深く沈み、お尻も三塁側に落ちている。それが故にカーブのブレーキにも優れているのだろう。またクィック動作にしては、着地を遅らせることも出来ており、下半身に粘りを感じるのは、この投手の優れた資質の一つだ。 ![]() <グラブの抱えと軸足の粘り> ☆☆☆ グラブをしっかり最後まで胸元に抱えており、左右の制球力は安定しやすい。また足の甲の押しつけは、もう少し長くしっかりキープしたいが悪くはない。 ![]() <球の行方> ☆☆☆☆ 素晴らしいのは、写真2のテイクバックの際に、前の肩と後ろの肩を結ぶラインが、打者に真っ直ぐ伸びずに角度が作れている。この角度こそ、球の出所を長く隠すには重要な意味を持つ。そして写真3の着地の時点でも、ボールを持った腕は背中越しにあり、球の出所は、かなり遅い方だろう。ただしここまで肩が中に入ると、肩の故障が心配なので、アフターケアには充分注意してもらいたい。 更に優れている点は、彼がこのあと腕の振りや上体をシャープにピュッと振れるキレが身体にある点だ。このピュッと言うキレが打者のタイミングを狂わし、手元でのキレにも結びつく。 写真3の段階で意識的に肘を引き上げ、写真4のリリースでも適度な角度が取れている。球持ち自体は図抜けて好いとは思わないが、ピュッと言うリリースが、彼独特のキレを出している。少々身体の負担が大きなフォームには見えるが、非常に実戦的なフォームをしている左腕だ。 <フィニッシュ> ☆☆☆☆ 振り下ろした腕も身体に絡み、地面の蹴り上げも悪くない。また投げ終わったあとのバランスも悪くないので、大きく制球を乱すこともないだろう。 (最後に) 左腕は、その実力以上に高い評価がされやすいので、なんでこんな投手が、こんな高い順位でとかドラフト候補なんだろうと思うこともしばしばしである。私自身、下級生の時の江口のイメージからすれば、同様の印象を持っていた。 しかしこの大会で観た江口は、ドラフト候補に相応しい投手になっている。多少制球のバラツキが目立ち、決め球に欠ける部分はあるが、試合をまとめるセンス・マウンド度胸・左腕に必要な確かなカーブ、何より打ちにくいキレのある球など、今年の候補の中でもトップランクの資質も持っている。何処からも具体的な指名の話は聞かないが、個人的には完全に「買い!」の左腕だと評価したい。もし彼を下位指名で獲得出来るのであれば、今年のお奨め選手として、これからもご紹介して行きたい! 蔵の評価:☆☆☆ (2006年 11月17日更新) |