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宮本 賢(早稲田大)投手 174/78 左/左 (関西高出身)


 「野手だ野手だ」と言いつつも、今や六大学の看板投手にまで成長した宮本賢。やはり球界でも貴重な左腕投手だけに、気がついたら希望枠と言う高い評価でのプロ入りが決定した。その名に恥じないだけの実績を宮本は残してきた。最終学年に限っても

4年春 11試合 5勝2敗 61回1/3イニング 防御率 1.76
4年秋  6試合 5勝0敗 44回        防御率 0.82

と六大学の中では、際だつ成績を残している。

 しかし関西高校時代から見続けてきても、何かこの投手には違和感を感じるのは、その投球フォームのせいだけではないようだ。その辺の胸の引っかかりについても考えてみたい。

(投球スタイル)

 少し肘が下がり気味な左スリークオーターから投げ込む独特のフォーム。球速は、常時130キロ台後半〜好調時には140キロ台中盤まで記録する。ただこの投手、それほど手元まで球が来るタイプではないので、速球の球威・球速で圧倒するタイプではけしてない。むしろ少しスライド気味に変化する癖球が、この宮本の一つの特徴とも言えるだろう。

 そうこの投手の最大の持ち味は、抜群のキレを誇るスライダーなのだ。この球のキレと制球が、この投手の生命線とも言えよう。この120キロ台のスライダーに、110キロ台のカーブを織り交ぜるのが、この投手の投球スタイル。昨年あたりは、130キロ台のシュート気味の球もあったように見えたが、この秋の投球を観る限り、そういった球は陰を潜める。

<右打者に対して> 
☆☆☆

 右打者には、アウトコース高めの速球と外のボールゾーンから入って来るスライダーで主に投球を組み立ててくる。また内角にもスライダーを食い込ませつつ、低めのボールゾーンへ逃げて行くスライダーも使って来る。外角・内角・低めと三つのゾーンを活かしたスライダーの使い手なのだ。

 ただ神宮大会で観た大産大戦・亜細亜大戦ともに、この低めに逃げて行くスライダーの曲がりが早く、打者に見切られてしまっていた。そして高めに甘く入った速球やスライダーを苦になくはじき返されていたのだ。すなわち私がスライダーの制球とキレが生命線と語ったのは、このストライクゾーン〜ボールゾーンに逃げて行くスライダーが、上手く曲がっているかどうかが大事となる。

 また宮本の投球には、外に逃げて行くシュート系やストンと落ちるフォーク系の球種に欠ける部分があり、これらの球の習得が今後の大きな課題となるだろう。

<左打者に対して> ☆☆☆

 左打者に対しては、アウトコースに速球とスライダーを投げ込むコンビネーション。ただ内角を突けない傾向があるので、踏み込んで打ちに来る左打者には、単調なコンビネーションで的が絞りやすい。やはりストライクゾーン〜ボールゾーンへ逃げて行くスライダーの精度を上げることが求められる。また真ん中高めあたりに、甘く入る球も少なくない。ただ少し肘が下がったフォームで、腕をブンと振って来るフォーム。この球筋とフォームで、左打者にとっては、少し嫌なフォームになっているのではないのだろうか。そのため左対左の有利があるとみたい。それに恐れて踏み込めない打者にとっては、厄介な投手だと言えよう。

(投球フォーム)

 いつものように下記にリンクしてある「迷スカウトの足跡!2006年11月18日更新分に、彼の投球フォーム連続写真が掲載されているので、そちらを参照して頂きたい。

<踏みだし> 
☆☆☆

 
昨年のフォームでは、大きくワインドアップで投げていたフォームを、ランナーがいなくてもセットポジションから投げ込むようになっている。より制球力を重視したスタイルに移行している。

 
またセットポジションの際に、足を少し後ろに引いて立っている。これで少しでも無理なくエネルギーを捻出しようと言う狙いではないのだろうか。足を引き上げる勢い・高さは並で、平均的な踏みだしが出来ている。

<軸足への乗せとバランス> 
☆☆

 
写真2を観ると、軸足の膝から上が真上に伸び気味で、真っ直ぐ突っ立ち気味になっている。そのため軸足一本で立った時のバランスは悪く、前に突っ込みやすい立ち方だ。また軸足の股関節にも充分に体重が乗せられていない。

<お尻の落としと着地> 
☆☆☆

 
ただ突っ込みがちなフォームを修正するために、写真3では引き上げた足を二塁側にかなり送り込むことでバランスを整えている。ただ足を二塁側に送り込み過ぎると、お尻はバッテリーライン上に落ちて、身体を捻り出すスペースは確保出来ない。そのため見分けの難しい本物のカーブや縦に落差のあるフォーク系の習得は、現状厳しいフォームとなっている。

 
この投手の面白いは、ここから大きく前に足を逃がし大きなステップを広げて投げる点だ。これにより重心は深く沈み、着地を遅らせる効果も期待出来る。

<グラブの抱えと軸足の粘り> 
☆☆☆

 
グラブを胸元に最後まで抱えているのが、写真6でわかる。これにより左右の制球力は安定しやすい。ただ写真5に観られる足の甲の押しつけは、浅くその時間も短い。もっと長く、深く粘れると好いのだが・・・。

<球の行方> 
☆☆☆

 
少し前に突っ込む感じで推移するフォームなので、その間ボールを持った腕は、打者から完全に隠れている。ただし写真4の着地の場面から観ても、それほど身体の開きは遅い方ではないだろう。

 
腕の角度はけして下がっているようには見えないが、写真5のリリースを観ると、身体から非常に離れたところで腕をブンと振って投げている。こういった球持ちの悪いタイプはどうしても制球力がアバウトになりやすい。

<フィニッシュ> 
☆☆☆

 
写真6でもわかるのだが、振り下ろした腕は強く振れ、身体に絡んでいる。また投げ終わったあとも、バランスを崩すようなことはない。ただし前に大きくステップしすぎるせいか?前にしっかり体重が乗って行かない傾向がある。その辺が、手元まで球が来ない一つの大きな要因ではないのだろうか。

(最後に)

 
両サイド・低めの三つのゾーンを意識させることで、速球・カーブ・スライダーと言う三つの球種でも、的を絞られ難く六大学レベルでは活躍することが出来た。しかし、プロレベルでは、これにシュート系なり、空振りを誘える球種を習得して行かないと苦しいだろう。

 
個人的には、左投手は制球力があることが必須条件にしているので、そういった意味ではこの投手は非常に微妙な投手だと言わざる得ない。また投球フォームも、投球フォームの核の一つである「球持ちの長さ」に大きな課題を持っているところが気になるところだ。

 
ただし欠点が修正出来ないレベルではないだろうし、野球への意識・頭脳も好い選手なので、今後自分なりに生き残る術を模索出来るタイプではないかと評価している。特にこういった投手は、内海(東京ガス−巨人)がそうであったように、シュート系一つ習得することで、大きく飛躍出来る可能性を秘めている。一軍でモノなるのには、少し時間がかかるかもしれないが、全く使えないとも考えずらい。上手く自分の特性を活かしたピッチングスタイルを習得し、生き残る術を見つけて欲しい!

蔵の評価:


(2006年 11月18日更新)




宮本 賢(早稲田大)投手 173/73 左/左 (関西高出身)



                「やっぱり宮本は投手なのか・・・」



 今や六大学屈指のサウスポーと名実共に言われるのが、宮本 賢 である。関西高校から、甲子園でも知られた好投手。また好打者としても非凡な才能を示していた。私は、彼のバッティングセンスの方をむしろピッチングよりも買っていたが、やはり希少価値の高い実戦派左腕としての評価は高い。そこで今回は、投手・宮本の今後の可能性について模索してみた。



リーグ 試合数 勝ち 負け イニング 四死球 奪三振 防御率
1年春
1年秋 14 20 0.00
2年春 10回 2/3 18 4.22
2年秋 36回 38 2.75
3年春 10 61回 2/3 16 55 0.73
3年秋 10 45回 2/3 21 42 2.96

 本格的な主力投手になったのは、2年秋のシーズンから。3年春にはベストナイン輝く。特筆すべきは、1年秋〜2年秋まで、イニングを上回る奪三振をあげていたこと。ただ防御率を観てもわかるように、意外に防御率が低くないし、高市あたりと比べると、負けも多い。結構投げさせてみないとわからないと言う不安定さはつきまとう。

(投球分析)      ストレート 135〜140キロ台前半
            シュート  130キロぐらい
            スライダー 120キロ前後の
            カーブ   110キロ強

            平均球速差 15〜20キロぐらい
            最大球速差 25〜30キロぐらい

 左のスリークオーター気味のフォームで、球種は135キロ〜140キロ台前半の速球に、110キロ強のカーブ、120キロ前後のスライダー、130キロぐらいのシュートボールなどがある。フィールディングなどにも優れ、天性マウンド捌きも手伝って、野球センスに優れた選手だと言えるであろう。

 主に速球とスライダーとのコンビネーションの印象が強く、以前は単調な印象を受けたが、110キロ台のカーブを上手く織り交ぜることで、30キロ近い球速差が生まれるようになった。これにより投球の幅が広がり、グッと投手らしい投球ができるようになったと言えよう。しいて言えば、落ちながら曲がるスライダーで空振りを誘うのだが、縦の変化に欠ける部分があるところだろうか。ただ今のフォームだと、そういったものを望むのは厳しいかもしれない。

<右打者に対して> 
☆☆ アバウトな制球力を改善出来るか

 右打者には、クロスに食い込んで来る速球とスライダーが持ち味。アウトコースに速球やシュート系の球種も織り交ぜるが、それほど多くは観られない。内外角に散らすのが持ち味なのだが、その制球力はアバウトで真ん中近辺の甘いゾーンにも結構入って来る。またスライダーが指にかかり過ぎて、地面に突き刺さるような球も少なくない。カーブも含め、緩急・球の威力で抑えるタイプで、コースにしっかり投げ別けて仕留めるタイプではないようだ。このアバウトさが、上のレベルで通用するのかは微妙なラインだろう。

<左打者に対して> 
☆☆☆ 単調なコンビネーションも、制球力は安定

 左打者に対しては、アウトコース真ん中低めに、カーブやスライダーを中心に、ストライクゾーンとボールゾーンの微妙な出し入れで勝負してくる。インコースを厳しく突くことはないが、左対左の有利さも手伝って安定している。制球力も無理に内角を突かないで、甘いゾーンへの球は減る。攻めのバリエーションとしては単調だが、安全面では完全に左打者への攻めの方が上だろう。対左打者用の投手としての価値観は期待出来るかもしれない。

(フォーム分析)

<踏みだし> 
☆☆☆☆ 躍動感のある踏みだし

 写真1は、宮本投手がワインドアップで振りかぶった時のものである。まずは足元に注目して欲しい。両足のスタンスをしっかり取りバランス好く立てている。また写真右足をしっかり後ろに引くことで、無理なくエネルギーを捻出しやすいフォームだ。写真2の足を引きあげる時にも勢いがあり、その高さも好い。フォームに躍動感がある踏む出しになっている。

写真1              写真2
 

<軸足への乗せとバランス> 
☆☆☆☆ 膝に余裕があるのが好い

 今度は写真2の軸足(写真右足)の膝に注目して欲しい。膝から上がピンと伸びきることなく、余裕があるのがわかるだろうか。膝に余裕がないと

1,フォームに余計な力が入り力みにつながる

2,身体のバランスが前屈みになりやすく、突っ込んだフォームになりやすい

3,軸足(写真右足)の股関節にしっかり体重を乗せ難い

などの問題が生じる。そういった意味では、宮本投手は中々好い立ち方になっている。

<お尻の落としと着地> 
☆☆☆ 着地への工夫のあとがみられる

 写真3では、引きあげた足を二塁方向(我々の方向)に送り込むことで、身体が突っ込まないように修正されている。ただ足を送り込み過ぎると、お尻が三塁側(左投手は)にしっかり落ちない。お尻が三塁側に落ちる意味としては

 身体をしっかり捻り出すスペースを確保して、ブレーキの好いカーブや縦に落とす変化球を投げるための充分なスペースと時間を確保する意味がある。

 宮本投手の場合、ブレーキの好いカーブや縦に落差のあるフォーク系の球が修得し難いのは、こういったフォームを土台にしているからだ。これを今さら修正せよとは言わないが、典型的なスライダー投手のフォームとなっている。

 ただもっと大事なのは、着地のタイミングを遅らせることである。着地を遅らせる意味としては

1,打者が「イチ・ニ〜の・サン」のリズムになりタイミングが取りにくいからだ。「ニ〜の」の粘りこそが、投球動作の核となる。

2,軸足(写真後ろ足)〜踏み込み足(前足)への体重移動が可能になる。

3,身体を捻り出すための時間が確保出来るので、ある程度の変化球を放られる下地になる。

などがあげられる。着地までの時間を稼ぐ意味でも、宮本投手は前への足の逃がし方に工夫を感じる。まだまだもの凄く粘りがあるとまでは言わないが、一応のレベルまで到達している。更に粘りが出てくると嫌らしい投手になれるだろう。

写真3              写真4
 


<グラブの抱えと軸足の粘り> ☆☆☆ グラブと足の動きを更に追求して

 写真5と6のグラブの位置に注目して欲しい。写真6では投げ終わった後でも、身体の近くにしっかりグラブを抱えることが出来ている。グラブを抱える意味としては

 外に逃げようとする遠心力を、グラブをしっかり抱えることで内に抑え込む働きがあるのだ。これにより体軸が左右にブレるのを防ぎ、両サイドの制球力は安定しやすくなる。

 宮本投手は、そういった意味では好く出来ているのだが、もう少し腰のあたりにグラブを添えられると、もっと制球力が安定し、軸のブレが小さくなるのではないかと思う。

 今度は写真5の左足元のスパイクに注目して欲しい。写真では、足の甲で地面を押し付けることが出来ている。足の甲で地面を押し付ける意味としては

1,浮き上がろうとする上体の力を押さえ込み、球が浮き上がるのを防ぐ

2,フォーム前半で作り出したエネルギーを、後の動作に伝える

などの働きがある。宮本投手の場合、この足の甲の押し付けの時間と深さが短く浅い。もっと長く、そしてしっかり押し付けられるようになると高めに上吊る球も減るだろう。

写真5              写真6

 

<球の行方> ☆☆☆ 球の出所は見難いが、リリースに問題あり

 写真7の時に注目して欲しいのは、前の肩と後ろの肩を結ぶラインが、打者に真っ直ぐ伸びていないかである。この角度がある程、打者は球の出所が見難いことになる。写真7では、両肩を結ぶラインが斜めになっており、打者からは球が長く隠れていることになる。また写真8の着地を迎えた時点でも、ボールを持った腕は背中越しに隠れており、打者からは球の出所は見難いはずだ。

 写真9をみると、腕の角度は思ったよりも高く、それほどスリークオーターと言う程ではないように思える。ただ写真9でもわかるように、腕が外回り振られ、その腕を分と振ってリリースするタイプなので、指先まで力が伝えられず制球力がアバウトになってしまう。球を長く持つ意味としては

1,打者からタイミングが計りにくい

2,指先まで力を伝えることでボールにバックスピンをかけ、打者の手元まで伸びのある球を投げられる

3,指先まで力を伝えることで、微妙な制球力がつきやすい

などの問題が生じやすい。彼の制球力のアバウトさは、まさにこのリリースに問題があると考えられる。


写真7              写真8              写真9

  

<フィニッシュ> ☆☆☆ 上体の流れをどう修正して行くか

 元々リリースが早いのもあるが、体型的に投手体型ではないのだろう。振りおろした腕が身体に絡みついてこない。足の蹴り上げは、エネルギーの捻出がしっかりしているので、地面を蹴り上げて上がってきているのは好い。ただし投げ終わった後に、上体が流れるなど制球力を乱す要因は多い。

 上体を流れるを防ぐには、やはりグラブの抱える位置を低く置き、外に逃げようとする遠心力をしっかり内に抑え込むことで、上体が外に振られるのを抑え込む必要があるだろう。またもう少しスタンスなども工夫して、着地した時に安定感のあるフォームにしたい。

写真10



(最後に) 左対策の中継ぎなら面白いのでは

 やはり課題は制球力にある。アマレベルで制球力に苦労するようだと、格段にレベルの上がるプロの打者に対しては、更に苦労する可能性が高い。基本的に、私は制球力の悪い左腕は評価しないことにしている。ただ元々野手っぽい投げ方をしていた彼も、以前よりも随分と工夫の跡がみられる気がする。それだけ野球への意識は高いのだろう。そうでなければ、けして図抜けた才能の持ち主だとは思えない彼が、ハイレベルな早稲田のエースの座までは、登り詰められなかったはずだ。

 さて私が評価する野手への可能性を最後に少し。左投げの投手と言うことで、一塁か外野手に限定されてしまうポジション。これらの打撃重視のポジションは、長打力がない限り極めて守備・走力のレベルが高いものが求められる。左の好打者タイプはアマに数多いるが、そんな彼等が中々指名されない理由はここにある。そういった需要と供給のバランスから考えて、まずは投手としてプロ入りを目指す方が現実的だと考える。野手への可能性は、投手宮本がプロで大成出来なかった時でも遅くはないだろう。天性の野球選手・身体能力の高さからも、ソコソコの野手にはなれると確信しているのだが・・・。

 もしプロで持ち味を発揮するのであれば、私は対左打者を中心としたリリーフでの活躍である。そこになら活路を見出せる可能性は高いのではないか。勿論そこで実績を残せば、先発への道も開かれて来るだろう。いきなり先発を期待するとかそういったチームムではなく、左対策の中継ぎが欲しい球団ならば、指名してみるのも面白いかもしれない。


(2006年 2月12日更新)






                    「投打に秀でた素材!」



 高校時代から全国に名を馳せた逸材で、1年生ながら、投打に将来を嘱望される逸材として注目される左腕投手。大学入学後は、野手として登録されていたが、本人が、投手としての未練を捨てきれず、投手としてリーグ戦に登場してきた。

(投球スタイル)

 140キロ前後の速球(最速143キロ)の速球は、ややナチュラルにスライドして来る独特の癖球。115キロ程度のカーブと120キロ台程度のスライダーあたりの球とのコンビネーション左腕。正直、制球力はアバウトで、ストライクゾーンの枠の中で、勢いよくストライクを先行出来ると言ったレベルで、コースによる投げ分けよりも、球の威力、緩急差で仕留めるタイプの投手だと言えよう。

 今回は、イニングも短くサンプル(特に左打者の)も僅かなので、その傾向をはっきり述べることは出来ないが、右打者のアウトサイド真ん中から高め〜真ん中近辺のゾーンに、速球やスライダーが集まる傾向が強い。それでも、ある程度抑えられてしまうのは、この投手の投球や球の勢い、球の威力そのものによるところが大きい。ただ心配なのは、現時点で、もう少しキャパを落とした先発時には、どの程度の球威を維持し、制球力を誇れるのかと言うところに疑問が残る。

(投球フォーム)

 ノーワインドアップから軸足の膝をピンと伸びるほどに、重心をしっかり乗せることが出来ている。ただし、軸足の膝に余裕がないので、どうしても軸足と背中のラインが一直線に直立気味になり、その後、前へ突っ込んだフォームを誘発することになる。

 ただし、引き上げた足を、やや二塁側にまわし込むことと、深い重心の沈み込みを起こすことを可能にし、身体の突っ込みを抑え込むことに成功しつつあった。

 残念だったのは、ある程度突っ込みを修正出来つつあった身体のバランスが、着地脚の一早い地面の捉えで、前脚がブロックしてしまい、滑らかな体重移動を阻害し、上体が立ち投げ気味になり、腕を捻り出す時間も確保出来なかったと言うことである。

 腰高のために、軸足の地面の粘りが利かず浮いた状態になってしまい、リリースも中途半端な状態から無理矢理球を投げ込もうとしているために、肩をブンと振った負担の大きな投げ方とリリースの浅いフォームになってしまっている。

 そのためボールの押し込みは期待出来ずに、真ん中から高めのゾーンにボールが集まる傾向が強いし、腕をブンと振ってリリースする投手は、かなり制球がアバウトになる傾向が強い。

 またリリースの時も、右打者側に身体が向いており、独特のナチュラルスライダー気味の速球を生み出す要因になっているのかもしれないが、これでは、左右のコースの投げ分けも、つきにくい可能性は高い。

(投球フォームのまとめ)

 現状、今のフォームでも、肉体的成長などで、もう少し球速、球威を伸ばしてゆくことは可能かもしれない。ただし、今のフォームのままだと身体への負担、あるいは、制球力などの問題を解決して行けるのかには、疑問が残る。元々、それほど身体的に恵まれたタイプの投手ではないだけに、球の威力をプロの世界で追い求めてゆくには、少々キャパ的に苦しいものがあるのではないのか?

 プロに投手として入ることは出来ても、長く活躍してゆくには、現時点では、多少の成長をしても難しいのではないのかと思う、高校時代感じた、将来性への不安は、技術的な考察からも、拭うことは出来なかった。

 もし投手としての、こだわりを持って、これからも邁進してゆくのならば、まず、着地脚の逃がし方を研究すべきである。出来るだけ着地脚が地面を捉える時間を稼ぎ、しっかり腕を捻り出す時間と、軸足から着地脚への体重移動を行われる時間を確保することが必須条件だと思う!

 球種的には、スライダーに良さがある。とかく140キロ台の速球に目を奪われがちだが、個人的には、スライダーのキレの方に興味を奪われた。この球を活かす投球術を磨いてもらいたいと思います。


(打者としての可能性)

 高校時代から、左腕でありながら、まとまりのある即戦力に近い能力があった使いやすいタイプの左腕であった。その使いがっての良さをあえて捨て、可能性の高い野手への可能性を選択させた早稲田の首脳陣の眼力の高さには、敬服したい。

 ただ、本人の割り切りなしにコンバートは成功しない。本人が、あくまでも、投手としての「こだわり」がある以上は、やはり投手として、やらせてゆくしかないのだろう。

 私は彼を、野手としての可能性の方を押したいと思う。ただし、鳥谷、由田など先に取り上げたように、早稲田の左打者に見られる、前脚を引いた軽いオープンスタンスを取り底推進で、小さくステップ(これは、早稲田でも最もアクションが小さい)し、トップは深くても、バットヘッドは余計に身体の奥に入らないのは、指導の賜である。

 斧で木を切るような、ダウンスイングの切れ味は素晴らしく、始動は遅く、球筋をじっくり見極めてから、極めて脚の動きはロスなく、それでいてトップは深く、踏み込みの良さをもった力強いスイングが出来るからである。

 しいて言えば、ステップが小さすぎ、着地脚が地面を捉えるのが早いので、打撃の融通性に欠けるきらいがある点だろうか。フィールディングも悪くないし、肩も強いはず内野手になれるかは、わからないが、強肩の外野手には成り得るだろう。一塁までの塁間も、緩めても4.25秒前後、基準以上の脚力もあるようだ。

 いずれにしても、投打に大学球界を引っ張ってゆける素材の確かさはある。後は、本人が如何に上のレベルを目指して、今後も精進し続けるかだろう。まだまだ1年生、されど19歳、この時期の頑張りが、将来の大きな財産となるはずだ!

(11月5日 更新)