| 大場 翔太(東洋大)投手 182/77 右/右 (八千代松陰出身) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
「ドラフトの目玉に相応しいか?」 2007年度の大学・社会人ドラフトの目玉投手。そう呼ばれているのが、この 大場 翔太 だ。今までの彼のイメージは、球の勢いこそあるが安定感に欠け、何処かドラフトの目玉投手としては物足りないものを感じさせていた。しかし春に9勝・秋に8勝と、この一年間でなんと17勝をも勝ち星を稼ぎ、東洋大学初の春・秋リーグ戦連覇の立役者になった。そんな成長著しい大場を、今回はいろいろな角度から検証してみたい。 (データから考えてみる) <リーグ戦成績>
今回は、大学球界屈指のレベルの高いリーグ戦が行われる東都リーグで、彼が残してきた実績を元に、いろいろ検証して行きたいと思う。 1、奪三振 ÷ イニング数 = 1.0以上 大学生の場合、社会人よりはレベルが劣るため、イニング数を越える数の奪三振が一つの目安になる。このファクターに関しては、最終学年で完全にクリア出来ている。奪三振率の高さは、大学生としては驚異的だ。 2, 四死球数 ÷ イニング数 = 1/3以下 春は、若干1/3を越えてしまっているが、秋に関しては、なんと1/4以下にまで制球力を増している。下級生の時から課題であった制球力の不安定さを、この一年間で随分と改善出来たことになる。 3,被安打数 ÷ イニング数 = 70%以下が望ましい この一年に関しては、6割強ぐらいに被安打率を減らし、このファクターも問題なくクリア出来ている。元々力むと高めに甘く入る欠点があったのだが、随分と改善されてきた印象だ。 4,防御率は、1点台が一つの目安 頭角を現した2年春に防御率1点台を記録。その後伸び悩んだが、春はエースとして再び1点台(リーグ3位)。秋は、見事最優秀防御率で、有終の美を飾っている。名実共に、大学球界のエースとなった。 (データから考えると) エースと云う重責を背負いながら、見事この一年間は、申し分のない実績を残した。着実に成長した証だろう。連投や全国大会、全日本招集など、体調管理も大変だったろうが、見事な活躍だった。まさにデータでも文句の云いようがない程である。プロへのも不安要素は、大きく払拭された! (実際の投球から考える) (投球スタイル) それほど上背はないので、マウンドに立った時の威圧感はない。それでも常時145〜150キロを先発で記録する速球は、手元での伸びは際だつものはないが、球威・球速・ボリューム感には目を見張るものがある。特に勝負どころで、ズバッと好いところに決まるあたりは、好い投手の証だ。 変化球は、スライダーとのコンビネーション。昔から気になるのが、高めに甘く抜ける球が多いと云うこと。このスライダーの甘さを、プロの打者が逃してくれるのかが一つのポイントになりそう。 もう一つの変化球が、フォーク。特に右打者相手に、この球で三振を奪うケースが目立つ。この球の精度が上がったことが、最終学年での投球の幅を広げている。 一つ課題をあげるとすれば、カウントを稼ぐ球の制球力が甘いことが多い。追い込むと好い球が行くのが、それまでにあっさり痛打を浴びるケースが多い。また精神的に余裕がなくなると、身体が突っ込んだり、高めに球が浮くなどの、下級生の時の悪い癖が見え隠れする時がある。その辺のセルフコントロールが、プロのマウンドでも出来るかが、もう一つの課題だろう。 あとは、牽制の時のモーションが大きいので、あまり上手くない。クィックも1.25秒強ぐらいと、さほど上手い部類ではない。そういった投球以外の部分は、プロ入り後、もう少しレベルを引き上げたい。 (投球フォームから考える) いつものように「野球兼」の2007年10月22日更新分に、彼の今年の投球フォーム連続写真がある。また昨年のものも下記の寸評で分析しているが、今回はその違いに焦点を当て考えてみたい。 (フォームの違い) 最大の違いは、ランナーがいなくてもセットポジションから投げ込んでいたのが、ワインドアップで投げ込むようになっていること。それでいて制球力を増しているところが大きい。ただ基本的な動作は、殆ど変わっていない。今年のものは、大学選手権の時ものであるから、秋に制球力を増した要因が、何かフォームの変化にあるのかもしれないが、秋のフォームの映像がないので今回は好くわからない。もし神宮大会あたりの映像を見て、大きな変化があったら、ここの部分を修正したいと思う。 (最後に) プロで一年目から二桁勝てるのかと云われたら、現状は8勝前後ぐらいの投手かなと云う印象は受ける。例年の目玉級投手達に比べると、個人的にはワンランク落ちる印象を持っている。ただこの一年で成長は、確かに認めるし、その数字は素晴らしいものがある。最終学年を最高の形で終えることが出来た候補は、意外に少ない。そう考えると、まさに右肩上がりでプロ入り出来ることは大きいだろう。プロ入り後、更にワンランク伸びる投手として、現在足りないものを補ってくれると信じ、高い評価を記してみたい。 (2007年・秋) 蔵の評価:☆☆☆☆ |
| 大場 翔太(東洋大)投手 182/77 右/右 (八千代松陰出身) |
「一時の不調を脱出!」 その名前ばかりが先行して、昨年度の大場は、高めに浮く速球をことごとく痛打されてのピッチングが続いていた。しかし今季は、かなり球が低めに集まるようになってきたのだ。大場は、球威・球速を増すことよりも、コンスタントに低めに押し込めることで、成長を示したのだ。 (ピッチングスタイル) コンスタントに145キロ前後をマーク。MAX149キロを記録するなど、投げ降ろして来る速球の球威・球速は、やはり今年の不作と云われる大学・社会人球界でもは、まさにトップランクの投手であることは間違いない。 以前は、真ん中高めに球が集中し、その球をねらい打たれることが多かった。しかし今は立ち上がりや力むと高めに浮く傾向は残るものの、コンスタントに低めや甘くないゾーンへ球が集まるようになってきている。 変化球は、125キロ前後の曲がりながら落ちるスラーブ的なスライダー。落ちきらないことも多い気もするがフォーク(あるいはチェンジアップであるのかもしれないが)。それにカーブなどがある。 フィールディングはそれなり上手いが、クイックは1.2秒台前後と平均的。何より気になるのが、ランナーを刺すような鋭い牽制を見せないところが気になる。
<右打者に対して> ☆☆☆ アウトコース高めと低めのゾーンに、速球・カーブ・スライダー・フォークなどを集めて来る。時にはインハイを突いたりなど、かなり球が散り、真ん中高めに集まることがなくなった。 ただ気になるのは、ヒットの多くが右打者から打たれる点だ。それも甘くないゾーンの球を打たれるケースが多いことからも、やはり課題である開きの早いフォームは、充分に改善仕切れているとは云えないだろう。 <左打者に対して> ☆☆☆☆ この投手は右打者にしては珍しく、左打者への投球に優れる。左打者へは、アウトコース低めに速球とチェンジアップ・インコース低めには速球とスライダーで投げ分けて来る。時折高めに抜ける球もあるが、コンスタントに両コーナー低めに集められるため、左打者への痛手は少ない。 SHOP OF 蔵 (最後に) 投げ降ろすような角度のある速球は、球威・球速・ボリューム感の意味でも上位指名級だろう。すでにキャパをかなり使い切ってしまっている投げ方や、心理的に余裕がないと、制球を乱す傾向があるので、即戦力としては微妙なところだ。 ただ昨年よりも、確実に制球力を中心に投球内容は良化している点などを考えると、まだまだプロ入り後伸びる可能性は秘めている。即戦力としては多大な期待をしなくても、2、3年後に中心選手へと云う考えの球団ならば、上位指名もありだと思う。秋までに、更に進化した姿を見せてくれれば、文句なしの評価を与えることも出来そうだ。 (2007年・春季リーグ戦) 蔵の評価:☆☆☆ |
ご存じ今春リーグ戦で9勝というありえない?勝ち☆をあげ、シーズン奪三振記録をも塗り替えた“東都の鉄腕”。均整の取れた体格で、セットやノーワインドアップがやたらと増えた印象もある昨今?しっかりと振りかぶったワインドアップから、腕がよく振れるフォームで、BESTな状態とまではいかないのかもしれないが、リーグ戦の疲労を感じさせない安定感のあるピッチングを見せた。 《球種とスピード》 ストレート(1〜3回) 141〜144` ストレート(4〜6回) 144〜147` (7回以降は退散…) スライダー 120`強 フォーク 120`台後半 序盤は「随分楽に放ってるな…」といった印象。連投も相次いだリーグ戦で体得した?省エネ投法かとも思ったが、エンジンがかかってきた4回以降俄然SPEED・球威とも格段にUP↑威力のあるボールをビシビシ!投じ始めた。変化球は上記の他にチェンジアップ気味のボールがあるようにも見受けられたが、腕の振りの速さがストレートと変化球であまり変わらないので、或いはストレートよりSPEEDの落ちるフォークを、振りの変わらなさからチェンジアップと見間違えたのかもしれない。 《投手スタイル》 威力のあるストレートに変化球を程よく配分し、両コーナーを突く左右の制球力は持ち合わせている。来年プロでも即ローテーション入りして10勝ぐらいする力はあると思うし、それだけの質のボールだとも思う。そして、今春のリーグ戦での経験から、先発投手として試合をまとめるセンスのようなモノも体得したのではないかと見る。 ただ、今日も序盤から三振を取りまくっていたが(合計で14個とのこと)、プロでも先発して同じように三振を奪いまくるタイプかというと微妙な気も。キレ型というよりは球威型に感じられたし、変化球も水準以上だが飛び抜けてスゴイ!ボールという気はしなかった。ただ、上の項で述べたように、腕の振りがストレートと変化球であまり変わらないように見受けられたので、そういった意味で打者のタイミングを外し三振を重ねる可能性はある。 (2007年 6月13日 DINAMO-JIN 氏) |
| 大場 翔太(東洋大)投手 182/77 右/右 (八千代松陰出身) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
「高めに浮く癖が解消されれば!」 先日ご紹介した宮西 尚生(関西学院大)投手もそうなのだが、この 大場 翔太 も、速球を投げ込むと、力んで球が打ち頃のゾーンに集中する欠点を持っている。速球投手の一番の見せ場とも言うべき高めの速球であるのだが、現状、この2人のレベルでは、プロレベルの打者を、このゾーンで押さえ込むのは厳しいだろう。そのことを考えると、もう少し平均して、球が低めに集まらないと即戦力としては期待しづらい。そこが、まず2007年度の目玉に相応しい投手かの大きな別れ目だと言えるであろう。 (ピッチングスタイル) 全身をめい一杯使ったフォームから繰り出される速球は、常時140〜MAXで140キロ台後半をマークする時もある。ただその速球を「イチ・ニ・サン」のタイミングで待っていると、簡単に打ててしまう代物なのだ。 変化球は、スライダー・チェンジアップ・フォークのような縦に落ちる球種と意外に多彩。細かい制球力よりも、勢いで押すタイプで、元来は先発よりもリリーフで持ち味が出そうなタイプだ。 速球 平均140〜145キロ弱 MAX140キロ台後半 全身の力をみなぎらせて投げ込む勢いのある速球は、球威・伸びとも悪くない。しかしその球が、イチ・ニ・サンのタイミングで投げ込んで来るので、速球が来るとわかれば力負けしない打者ならば、打ちやすい球だろう。また球全体が上吊ったり、甘いところに行くことも多いので、球質・球威・球速の問題と言うよりも、フォームや制球力に、むしろ課題があると言えよう。 スライダー 125〜120キロ台後半 右打者のアウトコース・左打者のインコースのクロスの球筋にのみ使う傾向が強い。ただ近代野球の投手としては、スライダーのキレ自体それほど非凡なものはない。むしろカウントを取る、投球の幅を広げると言った意味で大きな役割を果たしている。 チェンジアップ 120〜125キロ弱 主に左打者のアウトコースでカウントを取る時に使う球。右打者にもタイミングを外すのに使って来る。タイミングを外すと言う意味では、それなりの効果を発揮している。 フォーク(縦スラ) 120キロ台後半 この球がフォークなのか?縦のスライダーかは定かではない。ただ上手く抜けた時は、かなりの落差があり、打者の空振りを誘うことが出来る球種である。まだ絶対的なレベルには達していないが、更に精度を磨くと、速球が高めに集まりやすい投手だけに、より有効な武器となるだろう。 フィールディング・牽制・クイック ちょっとこの試合の模様だと、この部分はよくわからなかった。ただクイックに関しては、1.5秒台と平均的なレベルにはあるようだ。 <リーグ戦成績>
2年春からは、東洋大の事実上のエース。しかしその実績は、2年春以外それほど図抜けた数字は残していない。特に、3年になって制球力が悪くなっているところが気になるところ。防御率もドラフト候補ならば、最低でも2.50以内には抑えたいところなのだ。このことからも、試合を作る先発よりも、持ち得るキャパを全快に発揮するリリーフの方が向いている印象は、数字の上から読み取ることが出来る。 (投球内容) <右打者に対して> ☆☆☆ 以前よりは、かなり球全体が浮くのが減ってきた印象はある。アウトコース真ん中〜高めのゾーンに速球とスライダーを集め、時々チェンジアップを織り交ぜつつ、追い込むとフォークで仕留めようとする。やや変化球の球速帯が近く、緩急に欠ける部分があるのと、力むと速球が高めに浮く部分を修正したい。 <左打者に対して> ☆☆☆ アウトコースに速球とチェンジアップを集めてカウントを整える。インコースにスライダーを食い込ませ、アウトコースの踏み込みを封じている。追い込むとフォークか速球で仕留めて来るのは、右打者と同じ。課題も同様で、高めに浮いた速球を巻き込まれるケースが目立つ。右・左打者に対しても、やや制球力がアバウトなのは変わりない。ただ真ん中近辺に、それほど球が集まらないのは好い傾向だろう。 (投球フォーム) いつものように「迷スカウトの足跡!」2006年 12月21日更新分に、彼の投球フォーム連続写真があるので、そちらを参照して頂きたい。 <踏みだし> ☆☆☆ 本人も制球力に注意しているのだろう。ランナーがいなくてもセットポジションで構えている。足を引き上げる勢い、高さは並ぐらいだと評価したい。 <軸足への乗せとバランス> ☆☆☆ 写真2を観ると、軸足の膝から上はピンと伸びきることなく余裕があるのが好い。ただランナーがいない場面にしては、膝の折れが早く、もう少ししっかり体重を乗せてみたいところだ。 <お尻の落としと着地> ☆☆☆ 写真3を観ると、お尻の一塁側への落としは悪くない。見分けの難しいカーブやフォーク系の縦の変化も、習得しやすいフォームだと言えよう。着地までは大きく前へステップすることで、ある程度は着地のタイミングを遅らせることが出来ている。 <グラブの抱えと軸足の粘り> ☆☆☆☆ 写真6を観ると、グラブをしっかり身体につけて抱えられているわけではないが、比較的最後まで身体の近くに留めようと言う意識はあるようだ。この辺の動作がもっとしっかり出来てくると、左右のコーナーワークも安定してくるのでは? 彼の素晴らしいのは、足の甲を実に見事に地面に長く深く押しつけられている。これにより、フォーム後半にしっかりエネルギーを伝えることが出来ている。この部分に関しては、特筆ものだ! <球の行方> ☆☆☆ グラブで前をかきわけるようにリードするが、球を隠す意識がなく身体の開きが早い。そのため、140キロ台後半の速球でも、打者が見やすいので苦にならない。また写真4のテイクバックの時点では、肘が下がってしまい、写真5では左肩が下がる程、腕に角度をつけてしまい肩への負担も大きい。 ただ腕に角度があるのは確かだし、写真5観ても球持ち自体は中々素晴らしい。 <フィニッシュ> ☆☆☆☆☆ 非常に強く腕を振り下ろし、身体にも巻き付いてくる。地面を強く蹴り上げ、前へもしっかり体重が乗っている。それでいて、投げ終わった後にバランスを崩すようなことはない。持ち得る能力を、ほぼ限界まで出し切っている印象だ。フィニッシュとしては、理想的だとさえ言えるであろう。 (最後に) 一辺倒で、球が浮きやすい欠点はあるものの、縦の変化球なども有効で、好いところと悪いところが同居している素材だと言えよう。投球フォームの核である「着地を遅らせること」「球を長く持つこと」の2大要素は出来ている投手。あとは、身体の開きを改善出来てくると、実戦派投手としても手がつけられなくなりそうだ。 ただ投手としては、すでにキャパの殆どを出し切っているので、素材としての奥行きは乏しい。あとは、先にあげたような課題を克服しつつ、実戦力を如何に磨いて行くかに成長はかかっている。来年は、文句なしの実績を示し、高い評価でのプロ入りを目指して欲しい。 (2006年 12月22日更新) |