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小川 龍也(千葉・千葉英和)投手 182/70 左/左





                「投球の基礎は出来ているが」





 今年の春季大会あたりから、この男の名前が、にわかにクローズアップされるようになってきた。最後の夏には、プロスカウトも集結し、一躍関東では、夏に最も株を男といった印象が強い。その男の名前は、小川 龍也。下記の寸評にもあるように、すでに野手としての私の評価は記してある。今回は、投手 小川 龍也の投球について考えてみたい。






(投球内容)

 ゆっくりしたフォームから、テンポよくポンポンとストライクを先行してくる好投手。球に凄みはないが、安定した制球力・球の出所の見難いスリークオーター気味なフォームが、この投手の最大の特徴だ。

ストレート 常時135キロ前後〜MAX143キロ

 ピュッとキレのある球質の速球で、その球速は常時135キロ前後ぐらいだろうか。ストレートの球質は軽く、球速的にはドラフト候補としては中の下ぐらいだろう。ただこの投手の速球は、球の出所の見難いフォームに加え、手元でピュッと差し込まれる感じ。両サイドにしっかり投げ別けられる制球力もあるので、それほど球威・球速が物足りないことは問題ではない。

カーブ 

 左腕らしい大きなカーブで、カウント・緩急を稼げるのが大きい。この球が、かなりの確率でストライクが取れ、また真ん中〜低めのゾーンに落ちてくる。たまに思わず投げ込まれてしまうと、打者は手が出ない。

スライダー

 投球のカウントを整えるのストレート。この投手のスライダーは、低めに切れ込み空振りを誘う決め球タイプ。ただ私が観戦した試合では、相手打者の技量が高く、この球をことごとく見逃されてしまった。レベルが高い相手だと、曲がりが早いのか見極められてしまうところが残念。ただ低めのゾーンに集まり、高めに浮いてこないところは評価出来る。

その他

 スクリューの球は、現時点では見られなかった。また牽制は殆ど見られず、左投手にしては上手くないのだろうか?ただクィックは1.0秒前後〜1.1秒ぐらいと極めて高速、更にフィールディングでも、素早い反応が見られるなど、野球選手としてのポテンシャルは高いのだろう。



<右打者に対して> 
☆☆☆

アウトコース高めのストライクゾーン〜ボールゾーン中心に速球を集めて来る。またインハイにも速球を集められるなど、高めながら速球を両サイドに集める制球力がある。

またアウトコース低めにカーブやスライダー、インコースのボールゾーンに切れ込むスライダーが最大の武器。この球が、ストライクゾーンからボールゾーンに逃げて行くようだと、上のレベルでも通用する武器となるだろう。現状、スライダーをそこまで自在には操ることが出来ていない。たまに投げるカーブが、低めに集まるのも好い。ただ右打者からは、少し球が見やすいのか、高めの甘い球は痛打されやすい。


<左打者に対して> 
☆☆☆☆

 左打者の外角高めに徹底的に球を集めてくる。アウトコース低めに速球やスライダーが切れ込んで行くこともある。まだ右打者同様に、スライダーを上手く振らせるまでには至っていない。また右打者との違いは、内角への攻めは殆ど見られない。ただし、少し肘の下がったスリークオーターなので、左打者には背中越しから来るようなイヤな球筋で、その効果は大きい。無理に内角を突かず、外角に球を集めていれば痛手は食らわないだろう。


(投球のまとめ)

 球のどころの見難いさと安定した制球力は、投手としての基礎がほぼできあがっている印象さえある。ただスライダーの生かし方、球威・球速不足でもあり、まだまだドラフト候補となると、指名ボーダーラインの投手と云う印象が強い。これからの、更なる実戦力向上が、上のレベルでの活躍には不可欠だろう。

(プレースタイル)

 詳しくは、下記の寸評にも記載した通りだ。ただもっと集中力のあるタイプかと思いきや、ランナーを背負うと、基礎にが確立されている投球も、だいぶ不安定になるなど精神面でのムラを強く感じさせる。

 投手としてのきめ細やかさなどはさほどなく、プレーへの貪欲さも並の高校生といった印象は否めない。高校からプロに入ったとしても、その投球とは裏腹に意外に時間のかかるタイプかもしれない。





(投球フォーム)

 申し訳ないが、今回は画像・映像なしになるが、いつもと評価の仕方は変わりないので想像力を働かして読んで頂きたい。

<踏みだし> 
☆☆☆

 足の横幅、足の引きは小さ目にしながらも、プレートを斜めにまたぎ、あらかじめ打者に向かって前の肩と後ろの肩が結ぶラインが斜めになるように立つ。そこからノーワインドアップで投げ込んで来る。

 その際に、ゆったりとした始動で足を引き上げるフォームながら、足を引き上げる高さはそれなりに高い。静かながら、ジワ〜と来る感じのフォームになっている。このゆったりとした「間」が、この選手の持ち味の一つなっている。

<軸足への乗せとバランス> ☆☆

 
軸足の膝から上に注目してみると、膝がピンと真上に伸び気味で余裕がない。
 写真2の軸足の膝から上に注目してみると、膝に力みが感じられ余裕がないのがわかる。膝から上がピンと伸びきって余裕がないと

1,フォームに余計な力が入り力みにつながる

2,身体のバランスが前屈みになりやすく、突っ込んだフォームになりやすい

3,軸足(写真右足)の股関節にしっかり体重を乗せ難い

などの問題が生じる。ただ彼の場合、それほど力みやバランスが悪いとは思わないのだが、やはり好いとは言えないだろう。

<お尻の落としと着地> 
☆☆☆

 お尻の三塁側への落としは、好く出来ている。お尻をしっかり落とせない投手は、ブレーキの好いカーブや縦に腕を振るフォークの修得に苦労しやすいことにつながるが、彼の場合はその心配はないだろう。

 ステップが広すぎず、狭すぎず。すなわち重心が立ち投げにならない程度で、それでいて深く沈みすぎない箇所と言うのが必ず存在する。そのため日本古来の指導だと、膝小僧に土が着く程の重心の沈み込みが良いとされたが、それに関しては私は沈み込み過ぎだと考える。どうしてもステップが広過ぎると、踏み込んだ足と軸足の間にお尻が沈んでしまい、前に体重が乗って行かないからだ。その辺は、フィニッシュの動作を見ていると、何処が適正だか見えて来る。ただ間違っても重心の沈み込み過ぎを回避するために、お尻を一塁側に落とさないで良いと言う、浅はかな指導だけは避けてもらいたい。お尻の一塁側への落としとは、その深さではなく、むしろ横のポジションニングを指しているからだ。

 ただ残念なのは、着地までの粘りがなく、実にあっさり地面を捉えてしまっている点だ。着地を遅らせる意味としては

1,打者が「イチ・ニ〜の・サン」のリズムになりタイミングが取りにくいからだ。「ニ〜の」の粘りこそが、投球動作の核となる。

2,軸足(写真後ろ足)〜踏み込み足(前足)への体重移動が可能になる。

3,身体を捻り出すための時間が確保出来るので、ある程度の変化球を放れる下地になる。

 通常フォームと言うのは、上半身の回転と下半身の回転が一致し、最大限のエネルギーが発揮出来る箇所がある(ボクシングのストーレートを打つとイメージしやすい)。野球の場合、その回転の一致を見つけることが、最も理想的なフォームであるように思える。ただ彼の場合、まだその一致となる箇所を見つけきれていない。

<グラブの抱えと軸足の粘り> 
☆☆

 グラブも最後まで内に抱えきれず、最後は後方にグラブが抜けてしまっている。グラブを内に抱える意味としては、外に逃げようとする遠心力を内に抑え込み、左右の軸のブレを防ぐ。すなわち両サイドへの制球は安定しやすいことになるのだ。

 また足の甲の押しつけも、その時間が極めて短い。これは、やはり着地までの粘りが極めて短いことが原因ではないのだろうか。足の甲で地面を押しつける意味としては、

1,浮き上がろうとする上体の力を押さえ込み、球が浮き上がるのを防ぐ

2,フォーム前半で作り出したエネルギーを、後の動作に伝える

などの働きがある。

<球の行方> 
☆☆☆☆

 構えた時から斜めにプレートをまたぐことで、打者に正対しない意識が持てている。そのためグラブも斜め前に差し出し、前の肩と後ろの肩を結ぶラインが、打者に中々正対しない。そのためボールを長く隠すことが出来ている。また着地した時でも、ボールを持っている腕は隠れており、球の出所が見難いフォームとなっている。彼の最大の持ち味は、この球を隠す時間が極めて長いことがあげられる。

 腕の角度も思ったよりあるのだが、それほど無理に引き上げている印象はなく身体への負担は大きくないのでは?また球持ちも悪くなく、グラブの抱えや軸足の粘りがもう一つでも、指先の感覚で制球を左右出来るタイプの投手なのだ。ボールを長く持つ意味としては

1,打者からタイミングが計りにくい

2,指先まで力を伝えることでボールにバックスピンをかけ、打者の手元まで伸びのある球を投げられる

3,指先まで力を伝えることで、微妙な制球力がつきやすい

などがあげられる。彼の良さは、この実戦力を司る技術が、極めて高いことにある。

<フィニッシュ> 
☆☆☆

 振り下ろした腕は、身体に絡んでいる。そういった意味では、上半身を鋭く振り、腕を強く振ることが出来ている。

 ただその反面、体重移動に課題があり、前にしっかり体重が移っているフォームではないような気がする。その辺は、着地が早すぎてステップ幅も狭く、上手く体重移動が出来ていない。この辺を改善出来てくると、もっと生きた球が手元まで届くことになるだろうし、投げ終わった後のバランスも、もう少し良くなるはずだ。

(投球フォームのまとめ)

 投球フォームの4大動作である、着地・球持ち・体重移動・開きの観点で見ると「開き」の遅さに特筆すべき点はあるが、まだま「着地」・「体重移動」には大きな課題を抱えている。もう少しわかりやすく云うと、上半身の使い方は上手いが、下半身の使い方が上手くないフォームなのだ。


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(最後に)

 いろいろ考察してみて思ったのだが、心技体三つであてはめてみると、最もわかりやすい。「技術」的な部分では、高卒投手としては投球の基礎も出来ているし、実戦的なフォームも持ち合わせており、極めてプロでも使えるタイプの投手だと評価したい。

 「体」とは、彼が将来的に持ち得る可能性、すなわちポテンシャルの高さと現在の基礎体力などの意味。現時点での身体つきは、まだまだ高校生のそれではあるのだが、負担の少ないフォーム故に、スタミナ不足は感じられない。ただこれが、下半身主導のフォームを意識すると、そうは行かないかもしれない。また持ち得るポテンシャルとしては、けしてA級の素材ではなく、むしろ打ち難さを全面に出した嫌らしいタイプで、どうしても高卒プロでと云うほどのスケールは感じさせない。

 では最後に「心」の部分であるが、まだまだ普通の高校生といった感じで、高卒でプロに行くようなギラギラした「鋭さ」があるわけでもなければ、もの凄く貪欲に何かを吸収してやろうといったタイプにも見えなかった。また意外にクレバーな投手かと思いきや、結構状況次第で投球に波が見られるなど、精神的に不安定な部分も感じられた。野球に対する姿勢は悪くはないと思うが、高卒でプロに入る選手かと云われれば少々不安になる。

 以上「心技体」の三つの要素で考えると、意外に早く使えそうなタイプと思いきや、プロでは伸び悩むタイプかなあと思えて来る。面白いタイプだとは思うが、今が「旬」かと云われると?で、ここは強豪大学や社会人チームで、もう少し基礎的な部分をしっかりさせてからでもプロ入りは遅くないかなと思えて来る。非常に悩んだが、ドラフト指名とは「可能性ではなく、確信で!」と云うのが私のポリシー。まして高校生あることを考えると、今回は指名リストから外させて頂きたい。


この記事が参考になったという方は、ぜひ!


(2009年・夏)




コジマ 安値世界一への挑戦



 今日は、全く登板する気配はなく、終始野手として試合に専念しておりました。試合では、3番・右翼手での出場です。前回の試合では、本塁打ありの4安打・5打点と大活躍だったようですが、今日は4打席でヒットなしと、かなり内容も悪かった気が致します。

(守備・走塁面)

 青葉の森球場に着いた時に、丁度試合が始まった直後で、試合前練習を観ることが出来ませんでした。そのため守備・地肩に関しては、正直よくわかりません。ただ一塁までの塁間は、4.3〜4.4秒前後と左打者の基準である4.2秒に比べると劣る印象です。試合でも盗塁を試みますが、失敗。上のレベルだと足を売りにするのは厳しいかなと言うのが率直な感想です。ただベースランニングでの走る姿やスピード感はそれなりで、更に一塁まで緩めないで走り抜けるプレースタイルには、好感が持てました。

(打撃内容)

 基本的には、ミート型の打者なのだと思いますので、長打を売りにするタイプではないのでしょう。今日は、

1打席目 内角高めのストレートを強引に引っ張ってセカンドゴロ
2打席目 外角低めのカーブを引っかけてセカンドゴロ
3打席目 内角低めのストレートをファーストゴロ
4打席目 外角高めのストレートを引っかけてセカンドゴロ

 これを観る限り、前回結果を残してしまったかばっかりに、かなり打撃が雑になっていたのかなと思いました。かなり悪球打ちなども目立ち、選球眼など球の絞り込みに、課題を感じさる内容でした。

 スクエアスタンスで構え、身体は特に揺らがない構えです。また肉体的にもまだ発展途上で、まだ身体にビシッとした芯が通っていなく、緊張感と言うか「鋭さ」が、打席から漂ってきません。ヘッドスピードも際だつものはなく、それほどレベルが高いとは思えない投手の球を、ことごとく引っかけていた打撃には、今日を観る限り高卒プロの雰囲気はありませんでした。

(プレースタイル)

 ネクストでは、前の打者の対戦をじっと見つめるなど、打席での集中力は感じさせる選手です。ただ投球の合間・合間に身体を動かしたり、素振りを入れたり、投手のフォームに合わせてタイミングを図るような意識はありません。また打席に入る時も、ラインを意識することなく踏んでしまうところや、足場のならしにもこだわりがなく、打撃への意識はそれほど高くない選手のように思えます。

けして野球への姿勢が不真面目だとかは思いませんが、ごく普通の高校生なのかなと言う印象で、集中力・真剣さはある選手なので、基礎を教えれば、それを吸収して行ける下地はありそうです。ただ現時点では、肉体的な完成度・精神的な成熟度からすると、高卒でプロに入って来る気構えが、何処まであるのかな?プロで飯を食うんだと言う、意識はまだまだ実感出来ていない選手なんではないかと感じました。

(今後は)

 私が今日観た限り、野手としては?高卒プロはないと評価します。肩はそれなりに強いのでしょうが、足に関しては並以下でもあり、何より打者としての、こだわりがプレーからは感じられません。

 勿論投手としては皆様の言うように、面白い素材なのでしょう。ただ意識づけは、普通の高校生だけに、よほど超A級の図抜けた能力がないと、一線に出てくるのには、時間がかかるタイプなんではないのでしょうか。ただプロのスカウトも、今日複数球団足を運んでいたように、最後までチェックに余念のない素材。ぜひ関東では観ておきたい投手の1人ですね。


(2009年・夏)