09ky−4
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| 堂林 翔太(愛知・中京大中京)投手 180/79 右/右 |
「一振りで決めた!」 センバツでは、今後の成長を見てから評価を決めようと云うことで、評価を保留していた堂林 翔太。私は、平安戦の第一打席での、レフトポール際への当たりを見て、この選手の評価を決定した。私が求めていたのは、プロ仕様のヘッドスピード溢れるスイングが出来るかどうか?この一点にかかっていた。 (プレースタイル) この選手は、けして長距離打者ではない。彼の優れた点は、非凡な対応力と球の捌きであり、広角に打ち返す中距離ヒッター。それだけに、この選手評価するポイントの一つには、打撃だけでなく、守備・走塁なども含めた総合力が備わらなければ、中々高卒での指名はままらないだろう。 (守備・走塁面) あまり最後まで全力で駆け抜けるような、貪欲さは感じられない。ただ実際に試合では、ソコソコ盗塁を決め、この夏の愛知予選6試合でも二つの盗塁を決めるなど、動けない選手ではない。ただその動きを見ている限り、プロレベルならば中〜中の上レベル程度で、足を売りにして行くタイプには見えない。 打球への素早い反応・いち早くベースカバーに入る動き、牽制やクィックも鋭さからも、上のレベルでも内野手を意識出来る選手だと言えよう。ただこの選手のような中距離タイプは、やはり二遊間を担って欲しいタイプ。ただプロの二遊間を担う程、プレーにスピード感や繊細さがあるか?と云われると、微妙なラインかなと思えて来る。けして遊撃などがこなせないとは思えないが、名手級のように、長くプロの遊撃手を任せられる人材かは、個人的に疑問が残る部分もある。もちろん投手として、常時135キロ前後は投げられる選手なので、地肩に関しては問題ないだろう。遊撃手と云うよりは三塁手向き。もしくは、二塁あたりがこなせるようだと大きいのだが・・・。 楽天 (打撃フォーム) 春と比べて、打撃フォームに変化があったのか、見て行きたいと思う。 <構え> ☆☆☆ センバツでは、ベースに向かってクローズ気味に立っていた構えを、両足を揃えたスクエアスタンスに変えてきた。 グリップの高さは平均的で変わらないのだが、捕手側にあらかじめ引いていたグリップを、自然体にして変えている。春までは見られなかった揺らぎが見られるようになるなど、打席の中でリラックスしたり、硬くなるのを意識的に防いでいる印象を受ける。この辺は、センバツの時からは、明らかに変化してきた点だ。 ただ腰の据わりが以前よりも浅くなったのか?下半身にどっしり感がなく、少し頼りない。これは、スタンスがやや狭く腰の落としが浅いからだろう。そのため全体のバランスにも安定感がなく、少しその辺は春より悪くなっている。 構えた時に、もの凄く「鋭さ」などの集中力などを感じさせるとか、打者としての威圧感などを感じさせるかと云うと、その点では物足りない。ただ硬くならないことを意識出来たことは、評価に値するポイントではないのだろうか。 <仕掛け> 早めの仕掛け 春までは、中距離・ポイントゲッターが多く採用する「平均的な仕掛け」を採用していた。しかしこの夏は、更に始動を早めて「早めの仕掛け」を採用。よりアベレージヒッターとしての、色彩を強くした。 <下半身> ☆☆☆☆ 早めに足を引き上げ、回し込み踏み込んで来る。それだけ足を引き上げてから着地までの時間が稼げ、いろいろな変化に対応しうる足の運びとなっている。こういった「間」を、より作れるようになったことは大きい。春よりも、はっきり足を引き上げる意識を持てるようになってきた。 引き上げた足を、ベース側にインステップして踏み込むんで来る。これは、センバツの時から変わらないスタイルで、外角の球を強く意識したスタイルとなっている。ただ春課題であった、インパクトの際の足下のブレは改善されており、上半身と下半身のバランスの取れたスイングに進化している。 下半身の使い方は、明らかに春から進歩しており、上のレベルで通用する技術を身につけつつある。 <上半身> ☆☆☆ 彼の場合、打撃の準備段階であるトップ(バットを振り出す位置)は、比較的早く作れている。以前は、グリップをあらかじめ捕手側に添えることで遅れるのを防いでいたが、今はしっかり構えてからグリップの位置に持って来る、柔軟性のあるリストワークに変化している。ただ、アベレージ色の強い打者なので、どちらが自分に適しているのかは、試行錯誤して考えていって欲しい。 ただ相変わらずボールを呼び込む時に、前の肩が入り込むクローズ気味なスタイルになっている。内角の球には、素直にバットが出てこない窮屈な形に見えてしまう。しかしこの選手が、ここまでクローズスタンス・インステップと云う極端な形を取るのは、絶対的な内角の捌きへの自信からではないのだろうか。特に平安戦の一打席目に魅せたレフトポール際への大ファールを見ても、けして右方向に追っつける打撃だけではないことを、強く我々に印象づけた。 また外の球に対しても、あえてポイントを遅らせることを意識しているようで、センターから外角よりに、はじき返す打撃を徹底させている。 センバツ同様に、肘が下がって振り出してしまうので、腰の逃げは早くなりがちだ。その欠点を、バットのヘッドを立てることと、踏み込んだ足下をブレさせないことで、開きを抑え込みドアスイングにならないようにしている。スイング軌道は実にコンパクトで、かつ最後まで振り切ることが出来ている。 私が最も見たかったのは、スイングの鋭さと強さにある。冒頭でも述べたように、平安戦でのレフトポール際の大飛球では、非常に鋭くバットを振り切ることが出来ていた。まだ打球への押し込みが甘い部分もあり、打球への力感は薄いが、プロの基準を満たすヘッドスピードを身につけつつあることは間違いない。これで私の評価は、決定的になった。 フォロースルーなどを見る限り、ボールを遠くに運ぶタイプではないことは明らかであり、本人もそのことを強く自覚したスイングになっている。 <軸> ☆☆☆ 頭の動きが小さく、目線のブレは小さいのは非凡。彼のミート力を支える、大きな源となっている。また春先まで課題であった身体の開きの早さを、インステップすることと、足下の盤石さで抑えることが出来ている。ただ軸足に安定感がないところが、どうしても彼の打撃を頼りないものしている。 (打撃のまとめ) 春から大きな変化がないように見えたが、柔軟性を高めたり、始動を早めたりと、よりアベレージ色を高め、対応力をあげようと云う意識が感じられた。また最大の課題であった、ヘッドスピードにもスピードを増し、プロを意識出来るレベルまで到達しつつある。 (打撃の3大要素) 1,ヘッドスピードが基準を満たしているのか? 2,ボールがしっかり見えているのか? 3,的確にミートポイントで、常にボールを捉えることが出来ているのか? にあてはめて考えてみても、春まで基準を満たしていなかったヘッドスピードが、基準レベルに。元々非凡なものがあった、ボールを的確に追う目の良さがある選手。ボールを捌く、捉えるセンスは売りだけに、この点も問題ない。すべての部分で、プロにかかるべき基準を満たしはじめていると評価する。 (最後に) 最後に「心技体」の三つの要素から、プロ入りへの可能性を模索したい。まず「心」の部分、これが私は一番問題であるように思える。彼のプレーを見ていると、何か貪欲さや執着心が感じられず「野球で飯」を食うんだと云う気迫が、プレーからは伝わってこない。しかし春から夏にかけて、自らの欠点をみつめなおし、それに取り組み改善しつつある点は評価すべきポイントだろう。やや心配なのは、プロに入る入らないということよりも、プロに混ぜた時に首脳陣にアピールして行けるのか、何か集団の中で埋もれてしまわないのかと云う不安である。もう少し何事にも、綺麗にプレーしようとしないで、若いのだからガムシャラさが欲しい。本気で汚れたことがない人間は、けして本物にはなれない。 「技」的には、かなり癖のあるスタイルを取っているものの、あえてこれをやっているフシがあるので、それほど気にならない。春までは課題が気になったが、夏に向けて改善されている部分も増えてきており、今の課題も時間が解決してくれるところだろう。天性の球の捌きは、やはり見るべきものがある。 「体」に関しては、プロで遊撃手が出来る程なのか?と云う疑問や走力もさほどアピールする程でもないアベレージヒッターに、どれだけの評価を与えるべきだろうかと云う疑問を持つ。ただボールを見極める動体視力・ボールを捉えるセンスなどは、高校生のレベルを超越しており、その辺は高卒でプロに入るべき特別な才能を持った選手だと言えるのではないのだろうか。 その点を考慮すると、どうしても破格な評価は出来ないものの、高卒でプロに入れてみたい選手に成長したと評価する。今後プロの世界で、どんな存在感を示してくれるのか末永く見守ってみたい。 蔵の評価:☆ この記事が参考になったという方は、ぜひ! (2009年・夏) |
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打ち込めば見つかる捜し物!
| 堂林 翔太(愛知・中京大中京)投手 180/73 右/右 |
「将来性では、ダントツ野手!」 下級生の時から、名門・中京大中京で活躍。しかし昨秋の神宮大会では、エースナンバーを付けながら、登板がないまま敗れた。一冬越えたセンバツ、投手・堂林がどんな投球を披露してくれるのか注目された。しかし球速は、130キロ前後のまとまった投手。まさに、プロを意識するのであれば、その非凡な対応力を生かした打撃の方だと言うことを改めて強く実感することになる。今回は、野手・堂林の観点から、彼を考察してみたい。 (プレースタイル) 名門・中京大中京の4番を任される選手。しかし打者としては、けして本塁打連発と言うタイプではない。そのことは、新チーム結成以来39試合で、2本塁打と言う数字からも伺うことが出来る。彼の素晴らしさは、その非凡な対応力にあるのだ。 (守備・走塁面) 今回のセンバツでは、はっきりタイムは計測出来なかった。しかし39試合で8盗塁を記録するように、けして動けない選手ではない。ただ足を売りにするほど、絶対的なものは感じない。 今大会の一番の注目点は、けして長距離打者ではない彼が、プロを意識するのであれば、二遊間を担えるだけのセンスの持ち主かと言うところにあった。打球への素早い反応・ベースカバーの素早さなど、その身のこなしを見ていると、上のレベルでも二遊間を期待してみたいだけの、素晴らしい反応・動きを見せている。元々内野手だっただけに、その辺には問題がない。 楽天 (打撃フォーム) いつものように「野球兼」の2009年4月11日更新分に、彼の打撃フォーム連続写真が掲載されているので、そちらを参照して頂きたい。 <構え> ☆☆☆☆ まず、写真1を見て欲しい。前の足が、軽く後ろ足よりもベース側に足を置く、クローズスタンス気味に立っていることがわかる。 構えには、大まかな分け方で三つに分類される 1,スクエアスタンス 前の足と後ろの足が、真っ直ぐ平行に立つ構え 2,オープンスタンス 前の足を後ろに引いた構え 3,クローズスタンス 前の足をベース側に持って行く構え ただここでは長くなるので、その効果・意味合いには触れないので、そういったモノに別れているとだけ覚えておいて頂きたい。 次にグリップの高さに注目して欲しい。肩のラインと、そこから伸びる腕の高さが水平の場合、ほぼ平均的な高さとなる。通常このポジションを、バットの重さを最も感じにくい0ポジションと呼ぶ。グリップを高く添える選手には、強打者タイプが多く、グリップを下げると力みが消え、リラックスして構えられるメリットがある。彼の場合、平均的な高さだと言えよう。 この時に注意したいのが、グリップの高さよりも、バットを後ろに引いて構えているのか?それとも自然体に普通に添えられているかに注目して欲しい。 バットを引いた場合 あらかじめグリップを引くことで、構え〜トップまでのグリップの移動距離を少なくし、ロスを軽減出来る。ただその反面、前の腕があらかじめ捕手方向に引かれるので、構えが固くなりやすい。そうなると柔らかくリストワークを動かす妨げになる危険性が生じる。このようにロスを軽減するスタイルは、ボールを当てに行くことを重視する、アベレージヒッターが多く採用するスタイルだ。 一見あらかじめバットを引いて構える方が、無駄がなく良いように思える。しかし上記に上がったデメリットも存在するため、もしこういった打撃をするのなら、リストを柔らかく使うタイプではなく、膝を使いミートする打撃が出来る選手に限られる。 しっかり腰が据わっているか? 次にチェックするポイントは、腰の沈み具合だ。特に下半身を使った安定感のあるスイングをするためには、腰がしっかり据わっていることが大事になる。彼の場合、しっかり腰が据わっているのがわかる。 バランス良く構えられているか? 次に注目して欲しいのが、極端な癖のある構えではなく、バランス良く構えられているかと云うことに注意したい。どの方向からポンと押されても、倒れないような構えが、良い構えだと云えよう。これは野球に限らず、すべてのスポーツにおいての「構え」の本質になる。何か見た目に違和感を感じられる構えは、私は良くない構えだと考える。彼の場合は、非常にバランスが良い構えとなっている。 両目で前を見据えられているのか? 次に注意したいのが、顔がしっかり正面を向き、両目で前を見据えられているかと云うことに注目したい。どうしても片目でボールを追ってしまうと、ボールを捉える時に錯覚が生じ、正確にボールを捉えられない。彼の場合、幾分クローズ気味なので、両目で前を見据え難いのだが、けして前を向けてないわけではないので、悲観することはないだろう。 身体を動かし、自分のリズムで打席に立てているか? あとは、身体を動かし自分のリズムで打席に立てているのかと云うことに注意したい。得てして何処も動かさないで構えている選手は、脆い・固い選手が多い。常に身体を動かすことで、投手とのリズムを計り、次の動作にも素早く移行する意味合いがある。彼の場合、あまりこういった動きが見られないのが気になる。 相手に自分の存在を示すことが出来ているか? 最後は、相手に与える雰囲気。凄く威圧感があるとか、何か集中力が感じられるとか、イヤらしそうだとか、何か打撃の意図やその選手の特徴が、他に伝わって来るような構えがいい。彼の場合、それほど怖さはないが、打席での集中力みたいなものは感じ取ることが出来る。 何より、脱力して構えられているか? ややそういった意味では、彼の構えには力が入っているかな?とも感じられる。もう少しリラックスして構えられると打撃にも奥行きが出てくるだろう。 構え全体としては、非常にバランスの取れた良い構えだと思う。あとは、力みなどが入らないリラックスした構えを意識したい。 <仕掛け> 平均的な仕掛け 仕掛けには大きく分けて、5つの種類に分かれる。単純に云えば、始動が早いほど、アベレージ打者の傾向が強く、遅く始動し出来るだけボールを引きつけて叩くタイプほど長距離打者の傾向が強いことを覚えておいて欲しい。この始動タイミングで殆どの打者は、打撃スタイルが決まって来る。 平均的な仕掛け 投手の重心が下がってきて底に到達したときに始動 これが、最も平均的なタイミングでの始動となる。このスタイルは、ある程度の対応力と長打力をバランス良く兼ね備える万能型。主に中距離打者や打点を多く稼ぎたいポイントゲッターが多く採用するスタイルだ。ただ一見完璧そうに見えるこのスタイルも、実はアベレージ打者なのか、長距離打者なのか、どっちともつかずの特徴の見えにくいスタイルに陥りやすい。個性のない打者の多くが、このスタイルを採用しているケースが多い。 <足の運び> ☆☆☆ 足の動きで注目すべきポイントは、足を引き上げるのか、摺り足にするのかの議論になることが多い。しかし私としては、それほどそれは大きな問題ではないと考える。むしろ大事なのは、足を地面から浮かし〜着地までの時間が長い程打てるポイントが広がり、幅のある打撃が出来る。そのことが、打撃の本質だと考えからだ。足を早めに高く引き上げ一本足打法で打つ王貞治も、地面に「の」の字を描くように動かす落合博満も、この足を長く浮かしている「間」の長さで、その非凡な能力を説明することが出来るのだ。彼の場合、写真2のように、それほど足を引き上げないまま足を回し込み、着地までの時間を稼ぎ「間」を作ることが出来ている。 次に注目したいのが、ステップして着地する位置である。「構え」のところで、オープンだろうとクローズだろうと、あまり詳しく書かなかった。それは、むしろ重要なのはこの着地する位置にあると私は考えるからだ。その着地とは インステップ ベース側に踏み込んで打つスタイル 基本的に強打者は、このインステップを採用するケースが多い。殆どの欧米・キューバの打者は、このインステップを採用する。これは、アウトコースの球を強く意識したスタイルだと考えて頂きたい。日本の野球でも配球の7割以上が、外角で構成されていることを考えると、この外角をより強く叩くことの出来る、インステップをもっと意識することが重要だと考えている。そうしない限り、欧米とのパワーの差を縮めることは出来ないだろう。彼の場合、写真3のようにベース側に踏み込んで来る。 インパクトの際に足下がブレていないか? ただしこれは、あくまでもセンターから右方向への打撃を行っている時、あるいは外角球を捌く時のことで、内角の球を巻き込み引っ張るような時は、足下を解放してあげて、腰の回転を促した方が好い。足下がブレるのは、上半身と下半身のバランスが悪いスイングをしているからだ。彼の場合、この際に足下がブレてしまっている。そのため身体の開きを我慢仕切れなかったり、インパクトの際にパワーロスが生じてしまう。 ただ打撃で重要なのは、実はその動作ではなく、ボールがしっかり見えているのかの眼と、ボールを的確にミートポイントで捉えられるかの二点に集中する。技術論の一番の欠点は、決定的にこの最も重要な二点について、みないで論じることだと私は考える。これは、ちょっと動画や連続写真を見ただけではわからない。実際にそのプレーを何度か見ないと、この打撃の本質を感じ取ることは出来ないからだ。 1,ボールがしっかり見えているのか? 2,的確にミートポイントで捉えられているのか? <リストワーク> ☆☆☆ 今度は、トップの位置に注目して欲しい。トップとは、構えた時に最もグリップが高い位置に来た時を云うのだと思うのだが、このトップが作れた時に、打撃の準備が完了したことを意味する。この準備がしっかり出来ないまま打ちに行くような選手は、消化不良の中途半端な打撃することが多い。ただ私の場合のトップの認識は、グリップを最も引いた時の形、すなわちバットを振り出し始める位置だと考えている。 この時に注意したいポイントは、 1,写真2の段階のトップの形を作るのが遅れないこと 彼の場合、早めにトップを作ることが意識出来、ボールに対して立ち後れることはない。 2,写真3のグリップを引いた時に、深くしっかり腕を引いて構えられていること この場合でも、彼は非常に深くトップを取っている。非常に深いトップで、スイングを後押ししている。 3,写真3の時に、グリップが身体の奥に入りすぎないこと 彼の場合、クローズ気味の構えのため、トップの段階に入るとグリップが内側に入り気味だ。そのためヘッドの滑り出しが良くない。 次に注意したいのが、スイング軌道だ。写真3のように、バットの先端とグリップを結ぶラインが、頭の後ろではなく首の後ろより下に下がって振り出されるようなスイングは、外角の球を捌く際には、トップ〜インパクトまでロスのあるスイングをすることになる。また肘が落ちてしまうと、腰の逃げを誘発し開きが早くなる。内角の球を捌く時以外は、これは評価出来ない。彼の場合、肘が早めに下がってしまっているのだが、バットのヘッドを立てることで、これを抑えることが出来ている。 ただ写真4の時に、バットの先端まで下がってしまうと、完全にドアスイングのようなスイングになり、バットの先端が波打ってしまう。最低でもスイングの際には、ヘッドが下がらない意識が欲しい。外角球を捌くスイングのポイントは 1,バットのラインが、肘を下げないで頭の後ろを通るように振り下ろす 2,ヘッドが下がらないように、バットの先端を立てる意識でスイングする そして何より大事なのが、スイング軌道の際のヘッドスピードが速いことである。技術云々を超え、プロ仕様のスイングとは、速いボールに負けない確かなヘッドスピードの速さがあることなのだ。そういった観点では、彼はドラフト候補としては、スイングの鋭さ・強さと言う観点では、やや物足りないものを感じる。 3,ヘッドスピードがあることが、何より大事 4,バットが最後まで振り切れているか 最後に注目して欲しいのが、写真5の際のグリップの位置である。このグリップの位置で、ボールを遠くに運ぶタイプなのか、打球が鋭く野手の間を抜けて行くのかは、おおかた見極めることが出来る。彼の場合、最後までバットを振り切ることは出来ているが、この時のグリップの高さからも、それほどボールを遠くに飛ばすタイプではないことが伺われる。 5,フォロースルーの際の、グリップの位置に注目する <軸> ☆☆ まず体軸を見る時に、最も重視して欲しいのが、頭の動きが小さいことだ。その理由は、 1,綺麗な軸回転を描くため 2,目線のブレが少なく、錯覚を防ぐため それほど足を大きく上げ下ろしするタイプではないので、目線の上下のブレは小さく頭の位置も安定している。また軸回転も綺麗に描けている。 今度は、身体の開きに注目して 基本的に、腰が早く開いてしまったり、外に逃げてしまう打者は、プロでは厳しい。それでも足下がブレないでスイング出来ると、腰の回転をある程度のところで止めることが出来、甘いアウトコースの球ぐらいならば、捌くことが可能なのだ。 1,腰の逃げは早くないか? 2,足下は踏ん張れているか? の2点に絞って、身体の開きに注目して欲しい。彼の場合、肘が早めに下がることで腰の開きを誘発し、踏み込んだ足下も踏ん張れていないので、その開きを抑えることが出来ていない。 1,打ち終わった時に、軸足が真っ直ぐ真上に伸びているのか? 彼の場合、写真5の軸足に注目してみると、形が崩れてしまっていることがわかる。 2,軸足自身に強さや粘りが感じられるか? 軸足の内側の筋力こそ、ボールを運ぶのに唯一関連性のある筋肉だと云われている。ここに強さが感じられ、仕掛けも遅く、フォロースルーの際に、グリップが高い位置に引き上がる人材は、プロでも長距離打者になれる可能性があると評価出来る。 また中々形が崩れないような選手は、粘り強くしぶとい打撃が期待出来る。例え体勢が崩されても、ここで踏ん張ればボールを拾うことが出来るからだ。彼の場合、粘り・強さとも、それほど非凡なものは感じなかった。 以上簡単に、私の打撃フォームのチェックポイントを説明してみた。こうやってみると彼の場合、技術的には、まだまだ改善すべき点が多ことに気がつく。。 ただ事細かく書いたが、打撃の本質とは、技術的な問題よりも (打撃の3大要素) 1,ヘッドスピードが基準を満たしているのか? 2,ボールがしっかり見えているのか? 3,的確にミートポイントで、常にボールを捉えることが出来ているのか? このことの方が、大事である。そういった意味では、ボールがしっかり見えており、的確にミートポイントで捉えるセンスには非凡な才能がある。その一方で、ヘッドスピードの物足りなさがあり、夏までにこの部分がいかに改善されてくるのかが、指名への大きな別れめとなってくるだろう。 (最後に) 今回の観戦ポイントは、プロで二遊間を担う程のディフェンスセンスがあるかと言うこと。そういった意味では、フィールディングや一つ一つの動作の鋭さからも、将来的にプロレベルでも二遊間を担える素材だと評価してみたい。 ただ走力・長打力などに欠ける部分が、この手の対応型の選手としては物足りないものを感じる。またスイングに強さ・鋭さがまだまだで、その辺も夏までに何処まで改善出来るのかで、指名の有無が決まってくるのではないのだろうか。 個人的には、まだ高卒プロと言う独特の凄みを感じるまでには至らず、夏までの成長を期待して見守りたいと思う。WBCでも主軸を担った稲葉 篤紀(ヤクルト−日ハム)外野手を育てた監督が、高校時点の稲葉より上と評するその才能が、本当の意味で開花するのは、一体いつなのだろうか? 蔵の評価:追跡級! この記事が参考になったという方は、ぜひ! (2009年・センバツ) |
(どんな選手?) 下級生の時からその素質を高く評価されていた選手です。投手としては、MAX141キロを誇りますが、どちらかと言う制球重視のまとまったタイプです。むしろその将来性では、打撃を推す声が多い選手です。 (打撃スタイル) 残念ながら神宮大会では、投手としての登板はなく、その成長した姿を確認することは出来ませんでした。打撃も1打席しか神宮大会では観られませんでしたが、外角低めのスライダーを、苦になくレフト前に振り抜いておりました。 チームの4番を座っておりますが、けして長打距離打者ではありません。圧倒的な打撃センスの高さで、チームの4番に座っております。新チーム結成以来の39試合で、2本塁打と言うことからも、そのことが伺うことが出来ます。 肩は強いのは間違いないと思いますし、39試合で8盗塁と言うことで、足を売りにする程ではないにしても、走力が全くないわけではなさそうです。外野手としてのみならず、フィールディングなどの動き次第では、内野への期待もしてみたい高い野球センスが売りです。 (今後は) 選抜では、投手・堂林のピッチングもさることながら、フィールディングや、その打撃レベルがどの程度なのかに注目したいところです。ただ長打のあるタイプではないですし、際だって足が速いわけではないので、外野や一塁・三塁タイプと言うよりは、二遊間を将来担えるセンスがあるのかが、一つ指名への大きなポイントになると思います。東海地区を代表する候補だけに、そのプレーぶりが注目されます。 (2008年・神宮大会) |