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二神 一人(法政大)投手 184/84 右/右 (高知高出身)





                                 「微妙・・・」





 春、素晴らしい投球で、一皮むけた感のあった 二神 一人 。しかし、この秋、再び冴えない投球が続いている。その原因は、何なのか?

 今シーズンの二神は、大学選手権・全日本代表など、秋に向けての調整が万全とは言えるものではなかった。その疲労や調整不足からなのか、速球の伸びが明らかに鈍り、春ほど勢いのある球が行かなくなっている。元々、それほど実戦力の高いタイプではないので、悪いなりの投球は得意としない。そういった術や力で圧倒するスケールもないだけに、一つ歯車が狂えばと云う微妙なバランスの上に成り立っている投手だと云えるのだろう。




0分18秒〜1分00秒ぐらい

(投球から考える)

 オーソドックスなフォームから投げ込まれる速球は、常時130キロ台後半〜MAX144キロ。春に比べると、平均して5キロ程度遅くなっている。更に球の勢いが落ちただけでなく、球の回転も悪くなり質が低下しているところが気になる。

 カーブ・スライダー・チェンジアップ・フォークなどなど球種は多彩なものの、武器になると云うほどの球種は存在しない。それほど甘くない球を痛打されるフォームの綺麗さと、時々甘く入る球を痛打される勝負どころの弱さが、この投手の場合気になるところなのだ。

 春は、ボールにも勢いがあり、その辺の欠点を補うだけの勢いがあったが、ボールが走らない時に、それを補う技術が伴っていないので、どうしても誤魔化しが効かなくなる。


(成績から考える)


リーグ 試合数 勝ち 負け イニング 被安打 四死球 奪三振 防御率
3年春 26回 30 10 18 3.81
3年秋 23回 1/3 24 11 23 4.56
4年春 38回 1/3 31 37 1.41
4年秋 16回 2/3 23 11 4.86

 この秋の成績をみると、完全に元の二神に戻ってしまった感さえある。ただ以前と違うのは、明らかに球の回転が悪い点、ただ春身につけたコントロールは、さほど失われていない点だ。それでも走らない球を武器に投球しているので、被安打が上昇し、奪三振が極端に少なくなって、防御率も大幅に悪化している。

 プロの世界は、アマ時代よりも遙かに長く、肉体的な負担も大きい。それだけに、悪い時に悪いなりの投球が出来ないと、年間を通して成績を残すのは厳しいだろう。そう考えると、プロに入ったら、まず立て直しも必要だし、真の即戦力と成り得るかは微妙だと云わざるえない。


(スカウティング6原則から考える)

 選手の能力を考えるときに私は、「強さ」「速さ」「柔らかさ」「鋭さ・厳しさ」「イヤらしさ・怖さ」
「将来性」と云う6つのポイントを、心身共にあてはめ観ることにしている。

 特別突出している項目はないのだが、この選手で一番欠けているのは、投球における「イヤらしさ・怖さ」と云う部分。綺麗なフォーム・球筋を売りにする正当派右腕であり、フォームや投球自体に、イヤらしさや威圧感が感じられない。その割に、投球に細かさや踏ん張りが効くタイプではないので、打たれ出すと止まらない傾向も見られる。それが3年間の間、僅か2勝しか出来ずに伸び悩んできた大きな要因の一つでもあった。一皮むけたのは確かだが、まだそれが盤石なほど、安定したものではないことを、この秋示してしまったのだ。


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(最後に)

 今年は、極端に大学・社会人の人材が薄い年。それだけに、今年のメンバーに混ぜればトップクラスの力の持ち主であるが、微妙なバランスの上で成り立っている投手だと云うことを認識しておきたい。

 春の勢いを持ち直せば、開幕ローテーションの5,6番目あたりで、5〜8勝ぐらい行けそうな力は感じさせるが、立て直しに失敗すれば、ファームでも数字を残すのは厳しいかもしれないと云うタイプ。それでいて、それほど素材としての今後の上積み・スケール感のあるタイプではないので、無理に上位で指名するような選手には見えないのだが。これならば、ある程度投球の出来る高校生を最上位に持ってきた方が、得策であるように思える。

 春の万全な状態でも、上位指名はどうかな?と云う疑問を持っていたので、秋の内容を魅せられると尚更だ。ただ、立て直せばソコソコにと云う期待もあるので、評価は据え置きにしたいと思う。いずれにしても、3位前後ぐらいで取るのならばいざ知らず。無理して上位で取るほどの選手ではないような気がするのだが・・・。


蔵の評価:
☆☆


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(2009年・秋)







二神 一人(法政大)投手 184/84 右/右 (高知高出身)





                    「変革の時!」





 今まで、150キロ近い速球を持ちながら、結果に結びつけることが出来なかった 二神 一人。しかし今春のリーグ戦では、これまでの成績が嘘のように、進化した姿を見せてくれている。一体何処が変わったのか?今の力で、プロ入り後の活躍はどうなるのかな?最新の二神の投球を元に、考察してみたい。


(ピッチングスタイル)

 
オーソドックスな右の本格派で、フォームとしては少々綺麗過ぎるかなと言う印象は否めない。それでも、150キロ近い速球と変化球を織り交ぜた投球スタイルは、人材が薄い今年の大学・社会人候補の中では、トップクラスの内容を示す。

ストレート 143〜MAX148キロ

 下記の寸評にも記載した通り、それほど球威・球速は、昨秋から変わっていない印象を受ける。球の手元までの伸びは好いが、それほど打者が苦になるタイプの速球ではないだろう。甘く入れば、プロの打者ならば本塁打を打たれてしまうような素直な球質だと考える。

カーブ 

 昨秋までは、あまり見られなかった球種。ブレーキ自体も好く、上のレベルでも使える代物だろう。一辺倒な投球が目立った投手だけに、この球でカウントが取れるようになると緩急を付けると言う意味だけでなく、精神的余裕も生まれてきそうだ。

スライダー 110キロ台後半〜125キロぐらい

 やはりこの投手、元々速球とこのスライダーとのコンビネーション投手だ。ただこのスライダーは、あくまでもカウントを稼ぐための球で、それほど絶対的な威力はない。また高めに甘く入ることも少なくないので、その使い方には注意したい。

チェンジアップ・フォークボール

 チェンジアップ・フォークと別々に使い分けている印象だ。投球のアクセントとして、たまに織り交ぜるチェンジアップ。相手の空振りを誘うフォークボール。まだ多くは使ってこないが、この辺の球をもっと上手く織り交ぜると、投球の幅は大いに広がりそうだ。

その他

 牽制はそれなりに鋭く、フィールディングはかなり素早い。クィックも1.1〜1.15秒ぐらいと鋭く、投球以外の技術も高い。ただ立ち上がりなども悪く、元々それほど試合をまとめるセンスに優れていると言うタイプでもない。そうかといって素材型だとか言うスケール型でもないタイプなのだが。


<右打者に対して> 
☆☆☆

 基本は、両サイドに球を集めつつ、球速に変化を織り交ぜながら仕留める選手。特に右打者には、速球とスライダーのコンビネーションが中心になる。ただし時々真ん中近辺に甘く入ってくることもあるので、その辺がプロの打者が逃してくれるのかと言われると疑問に思うことはある。

<左打者に対して> 
☆☆☆☆

 アウトコースの高めに速球を集めてきつつ、カーブで緩急を付けたり、内角への攻めも魅せる。追い込むとフォークなども織り交ぜ、右打者以上に攻めのバリエーションや制球力がある、珍しいタイプ。


(投球のまとめ)

 球種を増やし、投球の幅を広げようと言う意識が見られる。まだまだプロを意識すると、不安の残す部分はあるが、制球力も向上し、投球レベルは飛躍的に向上している。

 この内容をコンスタントに示すことが出来れば、プロのローテーション投手の5,6番目も期待出来るかもしれない。更に今の変化球が磨かれてくると、今後の更なる飛躍も期待出来そうだ。


(データで考える)

 今度は、09年度春のこれまでの成績から、その成長ぶりを考えてみたい。


1,被安打は、イニング数の70%以下 △

 これまで登板した3試合では、27イニングで被安打は18。被安打率は、66.6%と今までよりも向上している。攻めのバリエーションが増えたことで、相手に的を絞らせない投球が功を奏しているようだ。

2,四死球は、イニングの1/3以下 ○

 なんといっても一番成長したところは、余計な四死球がなくなったことだ。登板した27イニングで、四死球はなんと0。それも、けして球威・球速を落としてでの成績ではないだけに、非常に評価出来るポイントだ。彼の最も成長を感じさせる部分だろう。

3,奪三振 ÷ イニング数 = 1.0前後 △

 27イニングで奪三振は27個。これは、昨秋もイニング数と同様の数の三振を奪えており、引き続き三振を奪うことが出来ている。特にフォークの落差も悪くないので、この辺の球を、もっと自在に操れようになる、奪三振率も更に上がるのではないのだろうか。

4,防御率は、1点台が望ましい ○

 今春のリーグ戦での防御率は、0.33。この数字は、現時点でリーグNO.1の成績だ。下記の寸評にもあるように、防御率の飛躍的な進歩が見られる。球の威力を、ようやく結果に結びつけられるようになってきた。

(データからわかること)

 球の威力を落とさないまま、制球力・安定感を向上させることに成功。攻めのバリエーションを増やすことで、相手に的を絞らせない。また球種が増えたことで、精神的な余裕も生まれ、速球やスライダー以外でもカウントを稼げるようになってきた。データの上からも、着実な成長を裏付けるものになっている。


(今後は)

 
まだまだ細かい制球力・チェンジアップやフォーク系などの投球など、発展途上の部分も多い。しかし、これが更に自分のものになってくると、更に投球内容を進化させることも期待出来るだろう。

 ただ心配な点は、やはり揺さぶりにやや弱い面が見られたり、フォームが未だにそれほど苦にならないタイプの選手。素直なフォーム・球質だと、プロでも結構痛打を食らうかなと言う心配は受ける。特に3月のオープン戦を見た時は、正直プロ入りはどうかな?と言う内容だった。それだけに一つ間違えると、プロとして微妙な部分もあることは、忘れては行けないだろう。

 ただ最終学年に向けて、自分の欠点を修正してきた意欲とセンスは素直に評価したい。力量的には、ローテーションの5,6番手ぐらいで、毎年5〜7,8勝ぐらいを期待したいタイプだ。昔巨人で活躍した香田勲男投手に、なんとなくイメージ的にはダブるものがある。

 更に凄みを増すようだと、最上位12名の中に入ってきても不思議ではない投手。今の二神には、それぐらいの勢いがある!


蔵の評価:
☆☆


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(2009年 春)




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二神 一人(法政大)投手 184/84 右/右 (高知高出身)





                「あと一歩、殻が破れないのは何故か?」





 体重が乗ったフォームから繰り出される速球は、常時145〜140キロ台後半。そんな手元までグッと伸びてくる速球を持ちながら、通算3勝しかあげられていない投手がいる。その男の名前は、二神 一人。今最も六大学で速い球を投げる一人でもあるこの男を、今回は取り上げてみたい。

(投球スタイル)

 滑らかな体重移動をする、オーソドックスな右投手である。下記の高校時代のコメントと比べても、球速は格段に伸びたことがわかる。

ストレート 145〜MAX149キロ

 元来リリーフタイプかは微妙だが、チームにおかえる彼の立場を考えると、リリーフでの登板が多かった。そのためキャパ全快で投げれば、常時145キロ以上の手元までしっかり伸びてくる速球を投げ込むことが出来る。速球の勢い・伸びは確かで、球質を兼ね備えた見事な速球を投げ込んで来る。

スライダー 115〜120キロ台前半

 リリーフでの登板だと、速球で押してくることが多い。そのため、それほどスライダーを多投しない。特別キレがあるわけではないが、速球との変化・カウントを整えるのに使われている。高校時代は、カーブでカウントを整えることが多かったが、今はその球は見当たらない。

フォーク 130キロぐらい

 追い込むと縦に落ちるフォークがあるようだ。ただ、まだ絶対的な精度はないようで、投球においてもそれほど目立つ球種ではない。こういった縦の変化に磨きがかかって来ると、投球の幅は、広がって来るだろう。

その他

 クィックは、1.1秒前後とかなり素早い。今回は、あまり牽制やフィールディングの能力がよくわからなかったが、その動作を見る限り下手ではなさそうだ。試合をまとめるセンスも悪くなさそうで、投手としての総合力は悪くない。球は速いが、けして素材型でもスケール型でもない。

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<右打者に対して> 
☆☆

 ちょっと今回は、サンプルが少なくはっきりしたことは言えない。ただこの投手は、基本は両サイドに球を散らすタイプの投手だろう。ただ速球が高めに抜けることが多く、意外に制球が定まらないことも多い。

 特に速球が高めに抜けるだけでなく、スライダーの制球力が意外に悪い。そのため安心してカウントが取れる球が、少ないのが気になる。普通右投手ならば、右打者のアウトコースにスライダーを集めて来るのが普通なのだが、この投手は、あまりそういった配球が見られない。

<左打者に対して> 
☆☆☆

 左打者に対しては、ある程度速球とスライダーを外角に集めて来る。時には内角を突き、追い込むとフォークと云う縦の変化もある。むしろ右投手には珍しいのだが、左打者の時の方が制球が安定しているように見える。

(投球のまとめ)

 意外にまとまっているようで、制球にバラツキがあるし、頼れる変化球に欠ける部分があるのが課題。もう少し確実にカウントが取れる変化球、勝負どころで使える縦の変化が欲しい。そうすれば、自慢のストレートも生きてくるはずだ。



(データから考える)

<リーグ戦実績>


リーグ 試合数 勝ち 負け イニング 被安打 四死球 奪三振 防御率
3年春 26回 30 10 18 3.81
3年秋 23回 1/3 24 11 23 4.56

 下級生の頃から登板はしているが、実績らしい実績はそれほどない。今回も、いつものファクター別に、この数字を考えて行きたい。

1,被安打は、イニング数の70%以下 ×

 大体イニング数と同等から、それ以上の安打を打たれている。150キロ近い球速を連発出来る投手にしては、球の威力で圧倒仕切れていないことが伺われる数字だ。そこには、球質とはまた違う要因が考えられる。その原因とは、単調な配球であったり、ストライクゾーンの枠内での制球力、そしてタイミングの取りやすい、あるいは身体の開きの早いフォームなど、その要因は幾つか考えられる。

2,四死球は、イニングの1/3以下 ×

 現状イニング数に対し、40%前後の四死球率になっている。けして四球連発と云う程ではないが、このぐらいの数字だと、安心して見ていられると云う程ではない。本当の制球力がないので、ちょっとした四球が、失点に結びつくことが多いのだろう。

3,奪三振 ÷ イニング数 = 1.0前後 △

 3年秋のリーグ戦では、ほぼイニング数と同等の奪三振を奪えるようになってきた。その要因は定かではないが、縦の変化に磨きがかかったのか、速球の勢いが増したのかは定かではない。今後もこの傾向が続くようだと、楽しみだろう。

4,防御率は、1点台が望ましい ×

 想像以上に防御率が悪いのが気になる。不用意に出したランナーが、そのまま失点に結びつくケースが多いのでは。もう少し踏ん張りの効く、投球を身につけたい。

(データからわかること)

 さすがに140キロ台後半のストレートを投げ込める選手だけに、奪三振が多いのは確か。しかしその割には、被安打・防御率が悪いのが気になる。また制球力も、本当の制球力がないので、好い時は問題がないが、ちょっとしたことで四球を出すことが多い。この辺をもう少し改善するためには、やはり安心してカウントを整えられる変化球に、磨きをかけたい。3年秋までの実績に乏しいのは、データやその投球からも、なんとなく頷ける。


楽天


(投球フォーム)

 今度は、課題の多い投球を改善する意味でも、実際の投球フォームを見て考えてみたい。いつものように「野球兼」の
2009年1月30日更新分に、彼の投球フォーム連続写真が掲載されているので、そちらを参照して頂きたい。

<踏みだし> 
☆☆☆☆

 まず写真1を見て欲しい。両足の横幅は肩幅程度と平均的だが、足を引いて立てている。すなわちバランスよりも、勢いを重視した立ち方で、スピードに重点を置いた立ち方だと言えよう。ワインドアップで振りかぶった時の背中の反り具合からも、背筋はかなり発達しているのがわかる。またお尻の肉の盛り上がり方からも、下半身もしっかり鍛えられていると思われる。

 写真2までの足を引き上げる勢いがあり、スッと高い位置まで引き上げられている。フォーム序盤から高いエネルギー捻出をしており、現状は短いイニングにエネルギーを集約する、リリーフタイプのフォームになっている。

<軸足への乗せとバランス> 
☆☆

 今度は、写真2の軸足の膝から上に注目して欲しい。膝から上が、ピンと真上に伸びてしまい、膝に余裕がないのがわかる。膝から上がピンと伸びきって余裕がないと

1,フォームに余計な力が入り力みにつながる

2,身体のバランスが前屈みになりやすく、突っ込んだフォームになりやすい

3,軸足(写真右足)の股関節にしっかり体重を乗せ難い

などの問題が生じる。彼の場合、軸足一本で立った時に、すでに前のめりになっており、かなりバランスの悪いフォームだと言えよう。

<お尻の落としと着地> 
☆☆☆☆

 写真3では、引き上げた足を空中でピンと伸ばす動作がない。そのためお尻が、しっかり一塁側に落ちないでいる。お尻をしっかり落とせない投手は、ブレーキの好いカーブや縦に腕を振るフォークの修得に苦労しやすいことにつながるからだ。彼の場合、元々カーブを武器にしていたが、上のレベルではこのフォームでカーブを投げようとしてしまうと、打者から腕が緩み見破りやすくなってしまうのかもしれない。またフォークも投げるのだが、身体への負担も大きいかもしれない。

 ただ写真3の時点で地面に着きそうな足を、写真4の段階まで前に一伸びして着地のタイミングを遅らせることが出来ている。着地を遅らせる意味としては

1,打者が「イチ・ニ〜の・サン」のリズムになりタイミングが取りにくいからだ。「ニ〜の」の粘りこそが、投球動作の核となる。

2,軸足(写真後ろ足)〜踏み込み足(前足)への体重移動が可能になる。

3,身体を捻り出すための時間が確保出来るので、ある程度の変化球を放れる下地になる。

通常フォームと言うのは、上半身の回転と下半身の回転が一致し、最大限のエネルギーが発揮出来る箇所がある(ボクシングのストーレートを打つとイメージしやすい)。野球の場合、その回転の一致を見つけることが、最も理想的なフォームであるように思える。彼の場合、このエネルギーを一致する位置を、完全に見つけることが出来ている。

 ステップが広すぎず、狭すぎず。すなわち重心が立ち投げにならない程度で、それでいて深く沈みすぎない箇所と言うのが必ず存在する。そのため日本古来の指導だと、膝小僧に土が着く程の重心の沈み込みが良いとされたが、それに関しては私は沈み込み過ぎだと考える。どうしてもステップが広過ぎると、踏み込んだ足と軸足の間にお尻が沈んでしまい、前に体重が乗って行かないからだ。その辺は、フィニッシュの動作を見ていると、何処が適正だか見えて来る。ただ間違っても重心の沈み込み過ぎを回避するために、お尻を一塁側に落とさないで良いと言う、浅はかな指導だけは避けてもらいたい。お尻の一塁側への落としとは、その深さではなく、むしろ横のポジションニングを指しているからだ。

<グラブの抱えと軸足の粘り> 
☆☆☆☆

 写真6のフィニッシュまで、グラブをしっかり最後まで内に抱え込めている。グラブを内に抱える意味としては、外に逃げようとする遠心力を内に抑え込み、左右の軸のブレを防ぐ。すなわち両サイドへの制球は安定しやすいことになるのだ。

 また写真5の右足スパイクを見てみると、足の甲でしっかり地面を押しつけることが出来ている。足の甲で地面を押しつける意味としては、

1,浮き上がろうとする上体の力を押さえ込み、球が浮き上がるのを防ぐ

2,フォーム前半で作り出したエネルギーを、後の動作に伝える

などの働きがある。制球を司る2大動作がしっかり出来ており、制球があまり良くないのは、首を傾げたくなる。

<球の行方> 
☆☆☆

 最大の欠点は、写真3の時点で前の肩と後ろの肩を結ぶラインが、打者に真っ直ぐに向かって伸びてしまっている点である。これだと打者からは、球を隠すことが出来ない。そして写真4の着地の時点では、打者から球が見えてしまっていて、かなり身体の開きが早い。150キロ近い伸びのある非凡な速球を投げ込んでも、それを生かし切れないのは、この身体の開きの早さにあると云っても過言ではないだろう。

 ただ写真4の時点では、しっかり肘が高いところに引き上げられており、身体の負担を軽減出来ている。また写真5の腕の振りを見ると、腕の振りに無理がなくボールを放ることが出来ている。またこの時のリリースポイントに注目してみても、実にボールを前で放すことが出来ている。ボールを長く持つ意味としては

1,打者からタイミングが計りにくい

2,指先まで力を伝えることでボールにバックスピンをかけ、打者の手元まで伸びのある球を投げられる

3,指先まで力を伝えることで、微妙な制球力がつきやすい

などがあげられる。ここで疑問が生じるのは、グラブの抱えも軸足の粘りもよく、更に球持ちも好いのに何故制球がもう一つなのか?考えられるとすれば、軸足一本で立った時には前傾になったり、それでいてその後着地までには粘りのあるフォームを実現するなど、かなり体軸が忙しくフォームの中で、動いているからではないかと考える。ただこういった例をあまり見たことがないので、これからの課題にしてみたい一人だ。

<フィニッシュ> 
☆☆☆☆☆

 写真6のフィニッシュでは、腕は力強く振り下ろされており、身体に絡んで来る。また地面も強く蹴り上げられ、前にもしっかり体重が乗っていっている。また投げ終わった後に、大きくバランスを崩すこともない。フィニッシュとしては、理想的だと言えるだろう。

(投球フォームを考える)

 最初のバランスの悪さが、体軸を忙しく傾かせるなど制球を乱す要因がある。ただ速い球を投げると云う意味では、かなり理想的なフォームになっている。ただ投球の4大動作である、着地・球持ち・開き・体重移動において、「開き」については、大きな課題を残す。あとは、かなり理想的なフォームだけに、これを見事改善出来ると、大変楽しみな投手だと云えよう。





(最後に)

 変化球の精度を増し、「開き」の速いフォームの改善に成功すると、相当な活躍が見込める投手だろう。ただその部分を、改善出来る自信がある球団でない限り、かなり癖のあるフォームなので、獲得はお薦め出来ない。

 特にフォームの構造上、カーブなどの緩い球・フォークなどの縦の落差には、リスクを伴うフォーム。緩急・縦系の修得に苦労して、代わりの球を修得出来ないと、配球的に伸び悩むだろう。その辺が、現時点で非凡な速球を持ちながら、今一歩殻が破れないでいる大きな要因ではないのだろうか。この一年で化けることが出来るのか、09年度注目の上位候補である。


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(2008年・秋)




迷スカウト支えるスポンサー



打ち込めば見つかる捜し物!



二神 一人(高知・高知高)投手 183/76 右/右

 ワインドアップから振りかぶる本格派で、常時135キロ前後の速球と110キロ弱のカーブを織り交ぜて来る投球スタイル。特にカーブの割合が多く、右打者の外角のストライクゾーンは、圧倒的にカーブでカウントを稼ぐことが多い。その一方で速球が指にかかり過ぎて低めのボールゾーンに行き過ぎるところが気になるところか。

 特に気になるのは、前肩の開きが速く、その球速の割に打者が苦になりにくいところだ。球速的には、高校時代の先輩である土居龍太郎(ベイスターズ)あたりと、あまり差はないが、ここからどんな成長を遂げて行くのか注目したい本格派右腕だった。