ディジタルICで作るラジオ
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はじめに

出力バッファのないタイプのC-MOSインバータ(4049、74HCU04、74VHCU04など)は、例えば発振器などで、アナログアンプとして使われることがあります。次のように抵抗を接続すると、倍率20〜30あたりまで反転出力のオペアンプのような使い方ができます。


利用例としては、「トランジスタ技術」2003年8月号特集第7章のD級アンプ(CQ出版社)や、ヘッドフォンアンプなど、オーディオアンプへの応用を良く見かけます。非常に興味深いものに、アナログシンセサイザへの応用例というのもあります。

アンバッファーの74HCU04は安価で入手しやすい標準的なデバイスです(品揃えが半端なマルツ仙台上杉店でさえ手に入る)。2009年のゴールデンウィークのある日、これでラジオ(中波のAMラジオのことですが)を作ったら面白いんじゃないかと思いつきました。wwwでも見かけたことがありませんでした(後日、こちらを見つけました。[ちょっと道草3]をご覧ください)。

まず考えたのは、次のような回路(高周波1段増幅・ダイオード検波・低周波2段増幅)です。


(動作したものを参考として示しますが、保証はしません。)

これでは当たり前すぎて面白くなかったので、前から興味を持っていたアナログスイッチを乗算器代わりにミキサとして使う方法を試してみることにしました。SDRやSSBのメリゴ方式で見られる回路で、クロックで入力をスイッチング(1あるいは0を乗算)する方法です。

これで同期検波してみようと思いました。

(追記:2013/3/10)
上記の1-D-2受信機、簡単に動くはずだと思って作らなかったのですが、興味を持っていただいた方がいらっしゃったので、手持ちの部品を使ってブレッドボード上で試作してみました。これといって特徴のない、普通のストレートラジオです。回路図上ではSP(スピーカ)になっていますが、イヤホンを鳴らすのが精いっぱいです。

ただ、1-D-2では我が家のロケーションでは感度が足りませんでした。がんばってもゲート4つではスピーカを鳴らせないので、パワーアンプのゲートを1つ高周波増幅にまわして2-D-2にしたほうがいいようです。


(動作したものを参考として示しますが、保証はしません。)



同期検波について

SONYのBCLラジオ、山水のチューナTU-X1でおなじみの同期検波は、AM波を検波するのに搬送波と同期した信号を掛け算してベースバンドの信号を取り出す方式です(こちらの解説が参考になります)。回路構成が複雑になる反面、混信を減らせる、ひずみが小さいという特徴があります。AMステレオの復調でも同期検波が使われています(AMステレオに限らず直交振幅変調された信号の復調に必要な技術です)。

これらは中間周波からの検波に用いられていますが、受信した信号から同期検波で直接ベースバンド信号を取り出す方式もあります。それがホモダインシンクロダイン(歴史についてはこちらを参照)で、ダイレクトコンバージョン受信機の一種と言えます。アイディア自体は非常に古いものです。

搬送波に同期した信号を、ホモダインではリミッタを通すなどして入力信号自身から生成します。シンクロダインでは発振器を用いて信号を作り出しますが、それを入力に同期させます。いずれにしても同期検波は「搬送波に同期した信号」が命なわけですが、入力信号から直接生成するのが技術的に難しく、スーパーヘテロダインと組み合わせて中間周波から生成する形で発展してきたのだと思います。


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ラジオ館では

H. Matsuo, 2009/11/7