シービスケット

1930年代後半にアメリカで活躍した実在の競走馬の話です。

タイトルのシービスケットというのは馬の名前です。アメリカに
車社会がやってきて移動手段としての馬の時代が終わりかけた頃に
ブームを巻き起こした競走馬です。

ローラ・ヒレンブランドによる「シービスケット ある競走馬の伝説」
という長編小説が原作になっています。しかしこの長いストーリーを
映画にしてしまうとやはり時間的な制約からか時代背景が手薄に
なっている感じがします。

1929年、好景気と消費文化を謳歌していたアメリカで株式が暴落
し、経済恐慌といわれる時代が始まります。多くの人が挫折感を
味わい苦しい生活を強いられる中で、失敗から這い上がるように
して強くなっていくのがシービスケットであり、その馬のオーナーや
ジョッキー、調教師でした。

馬の走るシーンが見ものです。競馬のジョッキーの視点で撮られた
シーンは迫力があります。また、調教する際に紅葉の森を走る
のも美しいです。「すべての美しい馬」でも森や川を走るシーンが
がありますが、やはり自然の中を走るシーンは感動させられます。

ストーリーとしては…
いまひとつパッとしない成績しか残せなかったシービスケットは、
気性が荒い上に馬体も小さかったため安く売りに出されていました。
そんなときに大富豪のチャールズ・ハワーズ(ジェフ・ブリッジス)
に買い取られます。ハワーズは自動車で富を築きましたが、その
自動車により大切なものを失うことになり、途方に暮れてました。

ジェフ・ブリッジズが車に関わると、どうしても「タッカー」が思い
出されてしまいます。このハワーズ役は自転車屋から身を起こし
ますが、牧場を買い取って厩舎に車を入れたりする所や、マスコミ
への登場の仕方などは「タッカー」を髣髴とさせる気がします。

そのハワードに調教師として見出されるのがトム・スミス
(クリス・クーパー)で、スミスも時代に取り残されたような昔ながら
のカウボーイで、行き場を失っていたところでした。

そして、ジョッキーとしては全くダメだったジョニー・ポラード
(トビー・マグワイア)は厩舎で暴れまわっているところをスミスに
スカウトされ、シービスケットに乗ることになります。

こうして、何かしら挫折して心に傷をもつ1頭+3人が、その後も
失敗を繰り返しながら成長していくサクセスストーリーといった
ところです。

ジェフ・ブリッジスもクリス・クーパーもいい感じに渋いです。
特にクリス・クーパーの控えめな演技はかっこいいです。
そしてジョニー“レッド”ポラードを演じるトビー・マグワイアは
「スパイダーマン」の時と比べて、かなりの減量をしたようです。
ちょっとジョッキーとしては大きい気もしますが、その減量の
シーンも出てきます。

また、ハワーズの妻マーセラ役ではエリザベス・バンクスが出て
います。この人は「スパイダーマン」にも新聞社の事務員役として
出ていて、接点は少なかったですが、トビー・マグワイアと共演
しています。トビー・マグワイアがスパイダーマンの写真を売りに
行くと、小切手を現金化している女性の役です。

その他に、ポラードのライバルであり友人であるアイスマン役には
実際のジョッキーだったゲイリー・スティーブンスも出ていて、
さすがに上手いです。ウォーアドミラルとの対戦のときに
「あばよ、チャーリー」といって追い越すシーンはしびれます。

競馬はあまり詳しくはないですが、競走馬がどのように調教され
どのように扱われているのか、そして昔のジョッキーがどんな
暮らしをしていたのかというのも面白いです。

競馬のスタートがベルで行なわれることになったとき、そのスタート
のタイミングを会得させるために、スミスが取った方法などは馬が
どう調教されるのかが垣間見れる気がします。

乗馬でもブリティシュで乗る馬は競走馬と同じように教え込まれて
いるような気もしますが、ウェスタンで使われている馬もあんな風
に調教されているんでしょうか。。。

レース中に相手を罵倒したり鞭で殴ったりというのは、ちょっと
考えにくい気もするけど、ありそうです。ジョッキーとしては生計
がたたないポラードがボクシングをするあたりも、なんとなく
リアルに感じます。ジョッキーとボクサーというのは一見関係ない
ように思うかもしれないですが、ボクサーがジョッキーに転進する
というのは自分の周りの友人にもいました。

ボクシングというのは階級があるため、軽量級であれば体が小さく
ても不利になりません。一方で競馬のジョッキーも体重制限がある
ため、体の小さい人が多いです。高校のボクシング部なんかだと
学校を辞めて競馬学校に入り直す人とかいたりします。

アメリカとの国境の街であるメキシコのティファナはアメリカの
禁酒法の時代に発展したんですね。アメリカでは酒が飲めないから
国境を越えてメキシコで、というのは頷けます。
アメリカでは禁止だったギャンブルもティファナでは解禁されて
いたようで、映画でも歓楽街として描かれています。

特典DVDによると、この撮影には合計10頭のシービスケットがいて、
走っているシーン用に5頭、その他のシーン用に5頭もいたようです。
暴れまくって手に負えずに、厩舎に別の馬を一緒に入れておとなしく
なるあたりは微笑ましかったですが、暴れていたシーンとは別の馬
だったんですね。

ここでも馬の演技が光ります。「オーシャン・オブ・ファイヤー」
ヒダルゴも表情が豊かで上手かったですが、このシービスケットも
いい感じです。

レース中に足を負傷して牧場に戻ってきたときに、既に同じように
足を骨折していたポラードに寄り添うシーンは馬が話しかけている
ように見えます。リハビリで散歩したり昼寝をしたりしているときも、
ポラードと本当に会話しているみたいでした。

レースの迫力あるシーンも確かにいいのですが、個人的にはあの
牧場でリハビリしているのどかな場面が心に残ります。
あんな風に馬と友達みたいになれるというのは羨ましいです。

この物語は2時間くらいの映画だと描ききれないような気がします。
生き別れた(ことになってる)ポラードの両親や、登場したときには
既に謎めいていたスミスなど、登場人物たちのその後や背景をもっと
取り上げた方がよかったのではないでしょうか。
シービスケットはのんびりと余生を過ごし、死後はハワードの牧場
に葬られたようですが。。。

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