6年3組物語 第16話

快楽の幼児退行

 岡本美智雄はこの町にあるF保育園の保育士。
彼には最近、とても気になる存在がいた。

「こんにちは〜」
 夕方、いつものようにその女の子がやってきた。
この保育園に通う1人の園児を、彼女はこの時間帯にいつも迎えに来るのだ。
背の低い美智雄からすれば仰ぎ見るほどの大きな体にはあまりにも不釣合いな赤いランドセルを背負い、
彼女は妹らしき園児の子のお迎えに現れる。
「お姉ちゃん!」
「奈々子ちゃん、今日もいい子にしてた?」
 彼女は巨体をしゃがみこませて奈々子という名の保育園児の目線にまで降りて頭をなでなですると、
その子を連れて帰っていく。
「いつも、ありがとうございます。また明日」
「先生、さよーならー」
 今日も姉と思しき彼女は美智雄に向かって丁寧に頭を下げ、妹の奈々子も元気に手を振りながら帰路についた。
その姿を、彼はいつまでも目が離せず見送り続けてしまう。
たまらない…保育園の仕事をしながら、美智雄は毎日この夕方が来るといつも落ち着かない。
彼女がこの保育園に妹を迎えに来そうな時間帯になると、子供たちの世話もおろそかになりがちなほどそわそわしてしまう。
そして近くの小学校の下校時間帯となると、学校帰りなのだろう、彼女はランドセルを背負ったまま幼い妹を引き取りに来る。
そのたびに美智雄は、胸を高鳴らせてしまうのだ。

 初めて彼女を見たときの衝撃は今でも覚えている。
この春からここの保育士となった美智雄が、彼女とのファーストコンタクトを交わしたのは4月のこと。
奈々子のお迎えとして、180cmオーバーは間違いない大女が突然現れたのだった。
傾いた西日をバックにした彼女の影にすっぽり覆われるようにして、160cm足らずの美智雄は腰を抜かしかけた。
驚く美智雄の目をさらに奪ったのが、まっすぐ前にドンと突き出て存在を主張するような豊かなバストだった。
よく読む青年誌の巻頭グラビアでも、ここまでの迫力で圧倒してきたものは記憶にない。
歩くたびに衣服の下でゆさっ、ゆさっと重量感たっぷりに揺れる爆乳に、美智雄の視線は釘付けとなった。
その身長差から、彼女の胸は美智雄の視線のより近くに位置しているのだからなおさらだ。
だがいつまでも、預かっている子の保護者として現れた女性の胸ばかりを凝視し続けているわけにもいかない。
目線を少し上げ、その大女の顔に目をやると…
まだ全然年齢の行っていない、まだ幼さの目立つ少女の顔をしているではないか。
挨拶をしてきた彼女の声、口調も、明らかに成人のものではなかった。
「お姉ちゃん!」
 戸惑い固まる美智雄の脇をすり抜けて、奈々子がその巨大な少女に駆け寄り、飛びつく。
「奈々子ちゃん、お行儀よくできたかな?お友達とも、仲良くできた?」
「うん!奈々子、今日もいい子だったよ!」
 保育園の年長組でも大柄な奈々子をその少女は軽々抱き上げ、クルクル回りながらあやす。
「先生、ありがとうございました。明日も妹をよろしくお願いしますね」
「先生、さようなら!バイバーイ」
「ぁ、ああ、はい……、……!!」
 別れの挨拶の間にもその驚きが抜けきっていなかった美智雄に、さらなる驚愕が襲い掛かった。
奈々子の手を引き、背を向けて立ち去っていくその長身少女の背中には…赤いランドセルが!
さっきまで向き合っていたときには、彼女のその迫力ボディにばかり気を取られていて
両肩にあった赤く太い皮製のバンドはほとんど目に付かなかったのだ。
だがそうして後姿を目の当たりにして、まざまざと見せ付けられた。彼女の、正体を。
(そ、そんな…ほんとかよ……あれが…しょ、小学、生……!!)
「ねぇねぇ、先生、先生〜」
 茫然自失としてその場に立ち尽くしている美智雄を、まだ残っている園児たちが不思議がって
彼の袖を引っ張り呼びかけ続けていた…

 次の日以降も、奈々子の迎えにはその超大型女子小学生が来た。
親が忙しくて来られないのかその理由は家族でもない美智雄には当然わからなかったが、
いつしか彼女の来訪は美智雄にとって楽しみに変わっていた。
朝から、夕方の訪れを待ち焦がれてしまうほどに。
同じく園児たちの間でも、彼女は人気者となっていた。
『奈々子ちゃんの、とっても大きなお姉ちゃん』と。
そして実際に彼女がやってくると、彼の胸は高鳴ると同時にある苦しさも生み出していた。
とにかく一度視界に入れると離せなくなる生唾もののボディに、股間がおとなしくしてくれないからだ。
園児たちと一緒に体を動かすことの多い保育士として、美智雄が園内でいつも着用しているのは、ジャージ。
勃起などしようものなら、それがあからさまにわかってしまうほどにテントを張ってしまう。
自分の下腹部あたりに目の高さがある園児たちの前で、絶対そんなものを晒すわけにはいかない。
生汗を浮かべながら、ついつい変な姿勢で彼女を迎える美智雄だった。


 気になるあまり、彼は彼女がどんな人物なのか時間をかけて独自に調べた。
そして、これだけのことを突き止めた。
弘瀬奈々子の姉、弘瀬香澄。F保育園の近くにあるY小学校の6年生。
共働きでどちらも帰りの遅い両親に代わり、幼い弟や妹を親のように世話してあげている、
姉、弟、妹、妹の4人の子の長女らしい。
Y小学校といえば美智雄も噂は知っている。
とてつもなく大きな少女たちがなぜか集まっているクラスがあるという話。
そのクラスの中では、あの香澄さえも普通の小学生として溶け込んでしまうほどの…と。
学校の中の香澄を一度見てみたくなり、休みの取れたある平日に美智雄はY小学校へと足を運んだ。
部外者なので中に入っていくわけにもいかず、金網越しに中をうかがった。
時間帯はちょうど4時間目を終えて給食が始まろうかという頃で、
なんというグッドタイミングか、香澄を含めた児童数名が給食当番として校舎外に出てきた。
皆、服の上に給食当番用の長袖付き白エプロン、そして同じ白の帽子を着用している。

 …噂は本当だったんだと美智雄は息を飲んだ。本当に、とんでもない長身少女ぞろいだ。
いつも保育園で見上げてしまう香澄が、特別大きく見えずに集団の中で紛れている。
あの中にもし自分が入ったら…完全にあの大きな人影の中に埋もれ、
大人と子供が逆転してただ彼女たちのあとを追いかけることになるのだろうと、美智雄は惨めな気持ちになった。
(それにしてもなんて大きさだ、女の子たちと男の子たちが、まるで先生と生徒じゃないか…!)

 加えて彼は、あることに気が付いた。
同じ給食当番として一緒についていっている男子児童たちが、香澄にベタベタとくっついて歩いているのだ。
まるで、園児が保母に、子が親に甘えるようにして。
遠くから眺めているので彼らがどんな会話をしているのかはわからないが、
その男の子たちの表情はなんとも甘ったるく蕩けていて、同い年の子に接する態度とは到底思えないものだった。
対する香澄はそんな彼らを気持ち悪がるでもなく、とても優しい笑顔で見下ろしながら手を引いて給食室に連れて行っている。
美智雄には信じられなかった。小学校高学年といえば異性を意識し始め、とかく格好を付けたがる年頃。
同級の女子に対してはたとえ好意を抱いていても表には出さず、わざときつい態度を取ったり嫌がらせをしたりと
そんな粋がった態度を取るもののはずだ。美智雄も彼らと同じ時分には、そうだった。
それがどうだろう。今彼らが晒している、デレデレとした顔は。
いくら香澄のことが好きでも、他の女子数人が一緒にいるあの状況で、あそこまで情けなく蕩けた顔をするなんて…
事実、香澄とともに給食当番をしている残りの女子たちはそんな彼らの様子に呆れ顔だ。
(ど、どういうことなんだ……)
 香澄たちが自分の見ている地点から見えない場所に歩いて行ってしまった後も美智雄はその場から離れることを忘れて、
金網の向こうに視線を注いだまま呆然と立ち尽くしていた。
またも、穿いているズボンの一点を強くきつく突き上げてしまいながら。


 美智雄がこの日改めて驚きとともに目に焼き付けた少女、それがY小学校6年3組出席番号15番、弘瀬香澄。
会社経営の父と看護婦の母を持ち、多忙な両親を補うように、幼い頃から家のことを手伝いながら大きくなった子だ。
家事はもちろん、1人の弟と2人の妹の世話も見事にこなす。
そんな忙しく大変な日々を送っているにも関わらず、彼女が愚痴をこぼしたり物事に怒ったりする様子は
家族や友達の誰も一度として見たことがない。いつも、周りを和ませるような柔和な表情だ。
非常におっとりとして、心優しい少女。口調も実にゆっくり、のんびりとした癒しの雰囲気を与える。
そして特徴は何と言っても、美智雄も虜にされた182cmの長身と、それ以上に見る者を圧倒する胸。
バストサイズはクラスで第3位の102cm。
ランクで上に位置する良子とジェニーが特別なだけで、香澄もやはり女子小学生、いや一般女性の枠を大きく飛び越えた
グラマラスボディの持ち主であることに誰も異論は挟まないはずだ。
そんな体は当然、男としての欲望が育ち始めた高学年男子の目には猛毒と呼べるものだった。
ある者は偶然を装って、またある者はスケベ心丸出しで彼女のボディにタッチする。
だがそんな彼らに対しても、香澄は怒りの感情など微塵も出さない。
全てを許す、天女のような優しさで逆に彼らを受け止め、慈しむように抱き、頭を撫でてあげる。
小さな男の子ならエッチな悪戯はして当然のこと、女の子はそれを包んであげるようじゃなきゃとでも言うかのように。

もし3組にいる別の武闘派女子に、同じことをしようものなら間違いなく半殺しにされるであろう。
しかし香澄は違う。甘い香りのする柔らかい胸に包まれて、彼女特有のおっとりとした優しい囁きに酔わされて、
その上でさらに与えられる、実に繊細なタッチの、なでなで…
香澄の爆乳の間にサンドされた男たちはほぼ例外なく、夢のような空間の中で心が幼児に帰る。
「マ…ママ〜……」
 意識しないうちに、そう口走ってしまう。
同級生の女の子の柔らかさとぬくもりの中で、年頃の男の子の自尊心、格好付けも何もかも忘れてしまい
精神年齢が10歳弱逆行したような甘えん坊の顔で、ただただ陶酔し続ける。
そんな情けなさすぎる男子児童たちの姿に周囲の女子児童たちのほとんどは蔑みの色をあらわにしながら、
同時に彼らをそうさせてしまう香澄の不思議な力にいつも感心の溜め息を出してしまう。
「は〜…やっぱすごいよね、香澄ママは。どうやってあんなテクニック覚えたんだろうね」
「弘瀬さんちは弟とか妹がいっぱいいるらしいから…自然に身に付いちゃったんじゃない?」
「あたしも、一回甘えてみようかな…なんて」
 香澄ママ。いつの間にか、周りで定着した香澄への愛称だ。
母性にも似た優しさで男の子たちをフニャフニャにしてしまう様子から、同学年の女の子たちは親しみを込めてそう呼ぶ。
心優しい香澄はそれに異を唱えるでもなく、そんな呼びかけにもいつもどおり笑顔で振り向く。
そして、香澄にかわいがられて骨抜きにされている最中以外はさすがに自我を持っている男子たちも、
さすがに面と向かって香澄にそう呼びかけるのは恥ずかしくてできないが、心の中ではそう呼んでしまっているのだった…


 Y小学校で驚きの光景を目にした美智雄はますます香澄のことが気になってしまい、
ある日曜日の午前、香澄の家を訪ねてみることにした。
保育園で園児の住所録を見て、奈々子の住んでいる場所がわかったのでそこにいるのは間違いないと思って。
…訪問して、どうするつもりなのか?何の用事で来たと言うのか?
香澄を見たい一心で出発した美智雄は、その住所まで歩いている最中にそれに気付き、
歩きながら懸命にその理由を考えている有様だった。
(べ、別に合わなくてもいいんだ!少しだけ彼女の姿が見られて、それができたらすぐ帰ってもいいし…)
 ついに美智雄は香澄の家近くのどこかで物陰に隠れて、香澄を見るだけ見て帰るということまで考え始めた。
それはストーカーと呼べる行為なのだが、それを客観的に見ることのできる頭は今の美智雄にはなかった。
もう美智雄は、自分をごまかせなかった。美智雄は間違いなく、香澄に恋をしていた。
多くの子供を預かる立場にある大人の男が、小学生の女の子相手に…
よく見るテレビのワイドショーなどで嫌悪感たっぷりに取り上げられることの多いシチュエーションだが、
美智雄の抱く感情はそれとはまた異なるものだ。
はっきり言って美智雄にとっては、香澄が小学生であることなどあまり重要ではなかった。
ロリコン事件によくある、中年男が女子小学生を性的陵辱の対象として扱うようなことを望んでいるのではない。
美智雄が望むのは自分が下の身分になってしまうこと、つまり香澄に『かわいがってもらいたい』ことなのだった。
元々そういう願望が潜んでいたのか、いつも幼い子供たちを世話する身分であることの反動なのかはわからない。
しかし、香澄のその(外見、内面ともに)大きすぎる存在が強く引き金を引いたことだけは間違いない。
あの大きな体で包み込まれたい!大きく突き出して弾むあの胸にうずまりたい!
一度でいいから…あの日に見た同級生の男子みたいに、優しく扱って欲しい!
想像するだけで、歩いている姿勢に異変が出るほど股間が熱く硬くなってしまう美智雄だった。

 F保育園、Y小学校からともに1kmほど離れた地区にある民家に、弘瀬と表札のあるのを発見した。
住所録から取ってきたコピーと住所を見比べる。間違いない、この家だった。
どこか隠れて覗き見できる場所を探さねば…そうキョロキョロしていた美智雄に、
「あっ!おはようございます、保育園の先生!」
 いきなり掛けられた声に、美智雄は心臓が飛び出そうなほどドキッとした。
その家の庭にある物干し竿に掛けられたシーツの陰から、突然美智雄のお目当てである香澄本人が現れたのだった。
どうやら洗濯物を干している最中だったらしい。子沢山の家なので、その洗濯物も膨大な量だ。
いきなり自分を見つけられてしまった美智雄はここまで足を運んできた理由が説明できるわけもなく、ただ言葉を詰まらせていた。
返答に困りながらも、美智雄は香澄の相変わらずの姿に視線が離せない。
忙しい両親に代わって今日も立派に家事をこなす香澄は、Tシャツとジーンズの上にエプロンという姿。
しかしそのエプロンも、内側から押し上げてくる存在感抜群の102cmの果実にピッチリとした圧迫を受け続け、
今にもちぎれ飛んでしまいそうに見える。
「奈々子の様子を、見に来てくれたんですか?わざわざありがとうございます」
 美智雄を見つけて明るい笑顔を見せながら歩み寄ってくる香澄の一歩一歩に合わせて、
窮屈に張り詰めたそのエプロンも表面に書かれた英字ロゴが読めないほど上下にゆっさゆっさと激震している。
その破壊力満点の映像に、美智雄の思考回路はほとんど打ち砕かれていた。
「ぁ…ぁ…ぁぁ……」
 言い訳を考える余裕も、もはやない。
ただ胸の動きに合わせて、美智雄の眼球が上下しているだけだ。
「でもごめんなさい。下の子たちはみんな遊びに行っちゃって、今は私1人なんです」
 少し申し訳なさそうに、香澄は言った。

 香澄はもう自分のすぐ目の前にまでやってきた。
どう説明するつもりなのか。香澄に甘えたいけどそんなことを頼めるわけもなくてただその姿を眺めに来ました、
そんなこと、とても正直に言えるはずなどない。
だが、すぐ眼前にそびえる香澄の182cmの長身、顔に近い高さに突き出されている102cmの球体。
『今は私1人なんです』
 香澄のさっき口にしたその言葉が、美智雄の脳内を反響しながら駆け巡る。
そして、プチンという音が響いた気がした。

「ぅ、ぅ……わぁぁぁーっ!!」
 美智雄は思考というものを一切放棄し、欲望のまま香澄の胸の谷間に飛び込んでいった。
まさに全速力の勢い。大きな香澄のバストの奥の奥まで、一気に美智雄の顔面が潜り込んでいく。
「きゃ」
 小さく、そしてほんの少しだけ驚きを含んだような香澄の声が聞こえた。
本能の赴くままの、美智雄にとってラグビーのタックルにも似た全力での突進だったが、
それを受け止めた香澄の足は一歩たりとも後退しなかった。

 普通の衣服に比べて厚手に作ってあるエプロン越しでもその感触は十分に美味なものだった。
こんなに柔らかく、心地いいものを美智雄は知らなかった。
「うむ…むぐ、ぐむぉおおお―――っっ!!」
 もう、身分も何もかもどうなってもいい…
自分にとって魅力的すぎる香澄の前で、美智雄は全てを忘れ、また同時に全てをさらけ出し、
一心不乱に香澄に抱きつき、全力で甘える。その柔らかさ、ぬくもりを全て味わおうと谷間の中で顔を猛烈にスイングする。
ズリッズリッと顔面とエプロンの擦れる音、そして理性を捨てた美智雄の奇声が深い香澄の奥でくぐもって聞こえる。
「あら、あら…」
 自らに対する美智雄のそんな破廉恥な奇行を前にしながらも、香澄は嫌な顔一つせずに受け止め続けている。
何も、そんなことをするのはおかしいことでも何でもないような目で見つめながら。
自分の幼い妹が通っている保育園の先生、大の男が小学生の自分に対してこんな情けない真似に及んでいるというのに。
胸の中に挟まりこんでおかしな叫び声を上げながらひたすら酔い痴れている小男を
香澄は優しい目で見下ろしながら、しばらくただ好きなようにさせ続けていた。

 重量感たっぷりの、しかも夢のような感触を持った香澄のバストを両手いっぱいに揉みしだき、
さらにその間に顔を突っ込んで、柔らかさも暖かさも甘い香りも数分間にわたって味わい続けた美智雄は
次第に我に返り始めたらしく、今まで自らがやってきた行為の重大さに気付いてバッと顔を上げた。
(教え子の姉に対して、何をしているんだ!しかも相手は小学生の…)
 衝動に駆られてのこととはいえ、こんなことは常識で許されることではない。
取り返しのつかない過ちを犯した思いで、顔面蒼白になりながら美智雄が見上げた先には…
「ふふふ…甘えんぼさんなんですね。美智雄君は」
 全てを許し、受け入れるような慈愛に満ちた表情で微笑を下ろしてくる香澄がいた。
「…!!」
 美智雄は驚き、戸惑った。こんなことをした僕に、非難も何もせずに笑いかけてくるなんて…
それに、どうして僕の名前を…と。
香澄は、奈々子が保育園で今の組に入るとき、保護者向けに配られたプリントをしっかり読んでいたのだ。それで知っている。

 とにかく今までの行いは香澄に対して申し訳ないこと、すぐに離れて謝らなければと思った美智雄だったが、
気付いたときには香澄の両腕が自分に背中に回されていた。
「恥ずかしがらないで、好きなだけ甘えていいのよ」
 敬語での呼びかけをやめた香澄の言葉と同時に、美智雄の小さな体は軽く抱き寄せられる。
その力強さに美智雄はときめき半分のうめきを漏らした。
さらに驚くことに、美智雄は香澄自身の手で再び彼女の胸の谷間へと導きこまれた。
やわらかくて深い谷に口を覆われるようにしながら美智雄の見上げた香澄は、
見ているだけで力の抜けてしまいそうな、蕩けるように優しくぬくもりに満ちた視線を送ってきていた。
とても、小学生が大人を見る目ではない…彼女は一体何者なんだ…美智雄はドキドキしながら思ったが、
今与えられているこの安らぎ、不思議な快楽の前に、張り詰めていた何かが急速にほぐされていくような、
得体の知れないながらもずっとこうしていたい気持ちに、心が支配されていく。

「最初はちょっとビックリしちゃったけど…そうだったの、甘えたかったのね、美智雄君も。
いいのよ、何も恥ずかしがることなんてないわ。男の子だもん。
いい子にしてたら、いつだっていっぱい、好きなだけ甘えさせてあげる。
『ママ』って呼んでもいいわよ。ね、美智雄君♪」
 このまま見つめ続けていたら本当に子供として洗脳されてしまうかもしれない、
そんな恐怖に似た気持ちを覚えながらも全く視線が離せない。
そして、彼女の発するおっとりとして甘くきれいな声が、脳の奥深くにまで浸透してきて
芯からトロトロに蕩かされてしまうように響いてくる。
しかしその溶かされていく経過が、何とも甘美だった。
どこまでも柔らかくて豊かな感触に包まれたまま、怯えもプライドも全部蒸発させられていく愉悦。
手馴れた手つきで、かわいがるように美智雄の頭を優しくなでなでしてあげる香澄。
それを受ける美智雄の顔が、如実に弛緩していく。

 限りない心地よさの中で、美智雄は思い知った。
(この子は…いや、この人は…!保育士として未熟で半端な僕なんかより、よっぽど子供の扱いに長けている!!)
 加えて、わからされていった。
(香澄さん、いや香澄ママはこうやって…今まで何人もの男を幼児化させてきたのに違いない…
あの日に見た同級生の男子とか…いや、ひょっとすると…もっと年上の男も、何人も……)

 美智雄がそうやって巡らせている思考も、眠気にも似た快楽に包まれてだんだん低下してきていた。
羽のように優しく繊細な手つきで撫でられるたびに、思考能力を奪われていくような感覚。
美智雄は頭の中で思うことを、言葉として整理していくことも危うくなってきた。
しかし、彼自身は幸せだった。
彼女の手であやしつけられることで、教えられたのだ。
退化する、快感を。

 美智雄はもはや自分の体重を自分で支えることすら忘れ、一回り以上年下の香澄に完全に体を預けた状態で
大人の男としての意地も見栄も全てなくしてしまい100%子供に帰ってしまった顔で涎まで垂らしながら、
目の前の優しい香澄ママに甘えてただ言葉にもならない甘ったるく気味の悪い声を漏らすだけだ。
その姿は、160cm弱とやけに大きな乳幼児としか言いようのない、無様極まりないものだった。
「マ、マ……ママぁぁ〜〜」
「ふふ、なぁに?美智雄君」
 心を完璧に幼子に変えられてしまった美智雄の甘えきった声と相反するようにして、
彼の体の子供に帰りきれないある一部分だけは興奮の度合いを最高潮にまで高め、ズボンを鋭角に盛り上げてしまっている。
白いお漏らしへの、カウントダウンが始まっていた…


 つづく