妹のマウンド 第2話

侵略

 愛にも専用のユニフォームとスパイクができた。しかし少年野球の枠に収まらない長身と男子にはない
胸とお尻のふくらみによって、ユニフォームはきつきつだった。
「あーんもー、これきっつーい」
 愛は自宅でユニフォームに着替える最中前のボタンをはめながら不満をこぼす。それでも、白地に青い
アクセントが鮮やかな憧れのユニフォームに身を包むと愛は気分も軽やかになった。
「おい愛、俺もう先に行く・・・ぞ・・・うっ・・・!」
 着替え終わった愛と哲夫がドアの前で不意にバッタリ顔を合わせた。階段を上っていた哲夫の目の前には
愛の、ユニフォームの前を窮屈に押し広げる胸のふくらみが大迫力で迫っていた。しかも2つの突起まで
プックリと・・・・・・愛はこれだけの発育を見せておきながらいまだにブラジャーをしない。そういうところには
まだ無頓着な、幼い心の持ち主だった。哲夫は目のやり場に困ってしまう。

 哲夫が先に玄関に出てスパイクを履く。隣には愛のスパイク。・・・大きい。とにかく大きい。愛はその身長を
差し引いてもかなりの足の大きさだった。27cmだという。足の大きい子はその後かなりの身長の伸びがある
というが・・・まだ大きくなるのかと思うと哲夫は憂鬱な気分になってしまった。

「お兄ちゃん待ってってばー!!兄妹なんだから一緒に行こうよー!!」
 一足先に家を出て練習に向かっていた哲夫に愛が走って追いついてきた。振り返った哲夫の視界には愛の、
ユニフォームの前をわっさわっさと躍動させるノーブラの大きな胸の弾みが飛び込んできた。胸の部分に
書かれたチーム名のロゴが上に下に引っぱられて激しく変形を繰り返す。その迫力に哲夫はまっすぐ立てなく
なってしまう。ある部分がまっすぐ立ってしまうからだ。
 ・・・俺は妹相手に何を考えて・・・しかも自分より遥かにでかいこんな暴力女に・・・哲夫は自己嫌悪に陥った。
「んもー!どうして待ってくれないの!?兄妹で、チームメイトなのにー!!」
 愛は哲夫の肩に腕を回すと力いっぱい自分のほうに引っぱり寄せた。哲夫は愛の怪力に人形のように
愛のもとに飛ばされる。こんな恥ずかしい目に外であわされたくないから先に行ったのに・・・

 むぎゅ。ぷに。
「お、お前もう4年生だろ!?それにそんなに大きいんだから少しは自分1人で行動しろ・・・ょ・・・・・・
(うわああぁ・・・愛のやつ、いつの間にこんなに胸が、むねがぁぁ・・・で、でででけぇぇぇ・・・・・・やわらかいぃ・・・
・・・って俺何考えてんだ!?妹だぞ!?でっでもぉ・・・ぁぁぁ・・・・・・)」
 愛にヘッドロックのような形でとらえられ顔面をその胸に押し付けられて哲夫は理性と欲望に激しく左右に
揺さぶられた。こんな、人の通るような道端で・・・妹に勃起するなんて・・・
「なんか最近お兄ちゃんつめたーい!!前はもっと優しかったのにー!!」
 むぎゅうううううう!!ぷにゅ!むにむにむにぃぃぃぃ。
 愛の柔らかなバストに哲夫の顔は半分埋まってしまう。目の前にはノーブラで浮き上がる突起が・・・
「ああぁ愛ぃぃぃ・・・僕はもぉ、もぉぉぉぉ〜・・・・・・、じゃなくて放せ!!放してくれえええ!!
お前恥ずかしくないのか!?これが妹が兄にすることかよおおぉ!?(ああぁ、気持ちいぃぃ・・・)」
「何が恥ずかしいっていうの?一緒に歩いてるだけじゃない!・・・それよりお兄ちゃん、どうしてまっすぐ立って
歩かないの?具合でも悪いの?」
 ぐいぐい、ぽにゅ。
 愛は全くの無邪気なまま、兄をその巨乳で圧迫して悩殺し続けていた。こんなことをされて哲夫はまっすぐ
立てるわけがなかった。それどころか、鼻血さえ噴き出してしまいそうだった。顔は既に真っ赤だ。
「顔色もおかしいよ・・・?大丈夫?練習でていいの??」
「もっもごぉぉ・・・う、うるさい!!誰のせいだと思ってるんだ!いいから放せってば!!・・・わかったよ、
これからちゃんと一緒に練習通ってやるから!!それでいいんだろ!?(だ、ダメだぁ・・・俺もぉぉ・・・・・・)」
「ほんとーー!?やったあ!!さっすがお兄ちゃん!絶対の絶対だよ!?これからも仲良く練習行こうね!!
冷たくしたりなんかしたらこうしちゃうんだから!!」
 ギュウウウウウウ!!ギリギリギリィィッ!!もにゅもにゅううううう!!
 ビンッッッ!!
「ああっ、あああああ!!愛いいぃはなしてええええ!!(ダメだぁ柔らかくて気持ちよすぎるぅうう!!
俺もぉたまんなああああああい!!)」
 結局、グラウンドに到着するまでの間ずっとそのまま哲夫は愛に悶絶させられ続けていたのだった・・・

「みんなも知っての通り、週末には中央との練習試合がある!各ポジションの選考を行うぞ!!」
 監督の林がメンバー全員を集めて宣告した。そう、今週末に南町ライオンズは隣町にある野球チーム、
中央ボーイズとの練習試合を控えているのだった。そのため、レギュラーの再編成を林は言い出した。
このチームは選手数の減少により現在は総員18名。もちろん、入ったばかりの文吉や愛も含めた数字だ。
バランスよく各ポジションに振り分けた場合2名づつにしかならず、お世辞にも層が厚いとはいえない。
良く言えば誰にでもチャンスは十分あるという感じだが・・・

「では、各ポジションに2人づつ付いてもらおうか。どちらか具合のいいほうを今度の試合に先発で出場させる
からな。下田兄妹は1人づつ実際に投げてもらうぞ。実戦形式で選ぼう」
 林は、半紅白戦といった形で実際に打撃や守備を見て選ぶつもりらしい。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ監督!!ピッチャーを選ぶ必要はないですよ!今までほとんど1人で投げてきた
僕に決まってるじゃないですか!!しかもこんな昨日入ってきた、女に、しかも僕の妹相手に・・・」
「全選手をゼロからスタートラインに立たせてみたくなってね。それに大切なのは過去の実績などではない。
今使えるかどうかなんだ」
「そんな!!こいつちょっと球が速いだけじゃないですか!!今まで3年間もピッチャーやってきた僕と同じ
ふうにこんな素人を扱うなんて納得いきま・・・」
「哲夫君。そんなに自信があるなら実際のピッチングで証明しなさい。それとも愛ちゃんとの競争に敗れるのが
怖いのかね?そんなことはないだろう。キャプテンなんだから」
「あたしお兄ちゃんと勝負したいなー」
「う、うるさい!!お前は黙ってろ!・・・わ、わかりましたよ!投げればいいんでしょ投げれば!!」

(まったく、ずっとエースを張ってきたこの俺を何だと思ってんだ・・・ちょっと女が入ったからってひいきしやがって
・・・おもしろくねぇ・・・・・・)
 哲夫は心の中でブツブツ言いながら肩慣らしを始めた。受けるキャッチャーは太郎。
 ズバッ!ズバン!バァァン!
「・・・お、おいてっちゃん!コースバラバラじゃねえか!何力入れすぎてんだよ!?」
「う、うるせえな!俺はいつも通りだよ!・・・お前こそ何1球1球顔しかめてんだ!?」
「な・・・何でもねえよ俺こそ!!(・・・しょうがねえだろ、まだ手ぇ腫れてんだからよぉ・・・・・・)」
 そう、太郎は昨日愛の剛速球を延々受け続けたことにより、手のひらが大きく腫れあがって捕球が困難に
なっていたのだ。哲夫のそれほど速くもない球を受けてもかなりの痛みが走る。正直言って今日は捕球など
したくなかった。にもかかわらず、今日はレギュラーを決める大事な日となった。

 ズドォッ!!
「な!?なんだぁあ!?」
 近くから響いてきたすさまじい衝撃音に哲夫も太郎も手を止め瞬時にそちらのほうを向く!
・・・見ると、太郎と正捕手の座を争うはずだった6年生の男子が捕球の構えのまま前のめりにグラウンドに
崩れて動かなくなっていた。グラウンドの土にマスクをこすりつけた状態で白目を剥いている。腹部の辺りから
コロリとボールが転がり出てきた。・・・まさか・・・哲夫たちはしたくない想像に震えた。

「ごめんなさ〜い!!大丈夫ですか〜!?」
 やはり愛の仕業だった。どうやら愛は哲夫の真似をして肩慣らしを始めたところ、投じた1球目をこの補欠
キャッチャーがいきなり捕球し損ねてプロテクター越しにみぞおちに直撃させてしまったらしい。
「お、おいしっかりしろ!!」
 駆けつけた同学年の太郎の呼びかけにこの6年生キャッチャーはかろうじて反応はするものの、言葉には
ならない。腹部を襲ったあまりの衝撃に呼吸すらままならないようだ。
「と、とにかくこいつを木陰で休ませろ!仕方ないから残りのメンバーで選考を行うぞ!」
 林にそういわれ、選手一同はとりあえずこの6年生の防具を外して安全な場所に移動させた。愛の恐るべき
パワーに男子たちは内心怯えきっていた。
(プロテクターを着けた6年生をボール1球でKOするなんて・・・一体何者なんだこの女!?)
 愛の同級生、文吉は震えが止まらなくなっていた・・・

 チーム内での選考試合が始まった。まずマウンドに立ったのは愛。
「さ〜がんばっちゃうよ〜!!」
 対する1番打者はセカンドでレギュラーについていた5年生の磯野克臣。
(・・・なんだかんだいったって、ちょっと球が速いだけだ・・・その分早くバット出せばなんとかなるだろ・・・
4年生の、しかも女なんかにいい気にならせてたまるか!!)
 克臣は気合を入れてバッターボックスに立つ。・・・ちなみに、受けるキャッチャーは愛の分も哲夫の分も両方
太郎が務めることになってしまった。チーム内でキャッチャーができるのは太郎のみになってしまったからだ。
(まったく冗談じゃねえよ手ぇ痛くてたまらねえっつうのに・・・でも痛いから受けられねえなんていえねえしな・・・
で、でもあいつの球受けたくねえ・・・イヤだ・・・・・・)
 受ける前から太郎は冷や汗をかいていた。そうこうしているうちに愛の第1球!
 ビュンッ!・・・ズッバアアアアアアアア!!
「ひっっ!!」
「ぐぁああっ・・・!!」

 克臣は早くも腰が引けてしまい、太郎は1球でもう涙をにじませていた・・・
「はっ・・・はえええ!!見えたかお前、今の球・・・!?」
「ぜ、全然見えなかった!アレが小学生の球かよ!?」
「スパイクはいてるからやっぱ違うんだよ・・・昨日のなんか比べものにならねえ!!」
 守備についているほうもベンチにいるほうも、男子たちの間でどよめきが広がっていた。
(・・・バットがだせないぃ・・・・・・こっ、怖いぃぃ・・・)
 1球で完全に戦意を喪失させられた克臣はあっけなく3球見逃し三振。その投球をスピードガンで計測
していた林だけは目を輝かせていた。
「ほほー素晴らしい!!130km!!磨けばさらに光る逸材だ!!」

 続く2番打者は克臣の同級生でショートのレギュラー、中島誠。しかし愛のうなりを上げる剛速球に手が出ず
速くもストライクワンをとられていた。
「中島、とにかくバット出せ!!」
「力じゃ勝負にならないけどバッティングはタイミングだぞ!」
「上手く乗せればいい当たりが出るぞ!女なんかに負けるな!!」
 ベンチから男子たちの声援が飛ぶ。もう力での勝負をあきらめてかかっているところが情けなかった。
(よ、よし・・・こうなったらこうだ!!)
 誠の取った行動とは・・・セーフティーバントだった。
 ビュンッッ!!
 ガキ!!ボグゥッ!!
「がああぁっっ!!」
 なんとか当たりはしたものの、結果はあえなくキャッチャーへのポップフライ。しかも出したバットが愛の剛球
に押し戻されて自分のすねを強打してしまい、誠はその場にのた打ち回っている。
「やばい!!スプレー持って来いスプレー!」
「誠大丈夫か!?立てるか?」
「なんて球投げやがるんだ・・・女じゃねえ・・・・・・」
 続いて3番の6年生、広尾忠も三球三振。いまだかつて体験したことのない速球に全くタイミングが合わない。
太郎のミットに収まった頃にスイングしていた。

 三者凡退にてチェンジ。次にマウンドに上がった兄の哲夫ははっきり言って冷静さを欠いていた。
(くっそぉぉぉ・・・妹なんかに負けてたまるか!!俺がエースなんだ!!俺の球を見やがれ!!)
 傍目から見てわかるほど哲夫は肩に力が入りすぎていた。愛より速い球を投げて認めさせてやる・・・
そんな思いに凝り固まっているのが手に取るようにわかった・・・
 しかし、そんな哲夫の思いの強さは全く投球に反映されることはなかった。それどころか、焦りから浮足立って
いた哲夫のボールは太郎の要求するコースから遥かにかけ離れたところにばかりいってしまい四球連発。
完全な1人相撲の様相を呈していた。
「てっちゃん落ち着け!!抑えりゃいいんだよ!何も対抗して速球ばっかり投げなくても・・・」
「うるさい!!そんなことわかってんだよ!!抑えてやるから見とけ!!くそっ・・・」
 すっかり頭に血が上ってしまった哲夫には何を言っても無駄なようだった。太郎も半ばあきらめてしまった。
ノーアウト満塁。冷静さを失った哲夫には荷が重すぎた。

 カキィン!カアアン!カッキイイイイイン!!
「ちっ・・・ちくしょおおおおお!!」
 フォアボールでランナーを溜め、カウント欲しさに甘く入った棒球を痛打される。見事なまでの悪循環に哲夫は
はまってしまっていた。1アウトも取れないうちから4失点。他の選手たちは今まで愛の超剛速球を目に焼きつけ
ていたため哲夫の大したことのないストレートなど止まって見えてしまっていたのだった。
 エースとしてのプライドをズタズタに引き裂かれてしまった哲夫はもはや回復不能。その後さらに2人に四球を
与え押し出しで1点献上、なおもノーアウト満塁。次にバッターボックスに入ったのは妹の愛だった。彼女はまだ
打撃に関しては未知数ということで、一応ラストバッターということになっていたのだ。

「お兄ちゃん、あたし負けないからね!ふふっ」
 愛はその逞しい腕で2度3度と豪快にバットを振り回して打席に入りなおした。すさまじい勢いのスイングに
合わせてその小学生離れした巨乳も左右にユサユサ。守備に付く野手一同は生唾を飲み込むのに必死だ。
 太郎がやや前屈みになりつつ哲夫の元にアドバイスに向かった。
「てっちゃん、いいからいったん落ち着くんだ。ちょっと深呼吸しろ、な」
「なんだよ、俺のどこが落ち着いてないんだよ!あんまりいいかげんなこと言うなよ!!」
「そういうとこがダメだっていうんだよ!いいか、お前はエースだ。こんなところで失点を重ねるような奴じゃない
ってことは俺が良く知ってる。冷静になりさえすればなんとかなるって!しかも次は素人の、お前の妹だ!
どうせバッティングなんてできやしねえって。とにかく低めに集めてダブルプレーを狙うんだ。そうすりゃ楽に
なるだろ?とにかく、落ち着いていこうぜ!頼んだぞ」
 目を血走らせて鼻息も荒い哲夫を必死になだめると太郎は元に戻った。しかし戻る途中またしても愛の胸が
視界に入ってしまいさらにユニフォームを突き上げてしまった。もしここで愛がキャッチャーフライでも打とう
ものなら太郎はまともに捕球の構えなどできそうになく、なんとか自分が動く機会などありませんようにと密かに
祈りながらしゃがんだ。・・・しかし、実は他の野手も同様だったのだ。

「妹なんかに・・・愛の奴なんかに・・・ナメられてたまるか!!」
 哲夫はすさまじい形相で投球動作に入った。それを見た太郎は頭を抱えそうになってしまった。
「あちゃ〜・・・やっぱりダメだあいつ・・・」
 ビュン!!
 正常な思考ができない状態の哲夫から放たれた球は、押し出しを恐れた、いわゆる置きに行った球だった。
本人の気合ほどスピードは感じられず、まさしく甘い球だ。
 ガッキイイイイイイイイイイイイン!!
「あぅっ・・・!!」

 愛以外の、その場にいた全員が間抜けな声を上げて口をあんぐりと開けたまま打球の行方を見つめていた。
愛の力任せの、基本もなっていないがとにかく豪快なスイングにはじき返された球はまっすぐ矢のように
宙高く高く射出され、糸を引きながら学校のフェンスを遥か高く超えていき、ようやく失速して学校近くの川に
飛び込んだ・・・
 愛の超特大場外満塁ホームラン。哲夫を含め全ての野手がその場にへたり込んでダイヤモンドを一周する
愛を見つめ続けていた。
「キャーやったあホームランだぁ!!あたしの勝ちだねお兄ちゃん!きゃははははは!!」
 その大きな体を躍らせて無邪気に笑いながらホームベースを踏む愛を、ベンチの男子たちはただぽかーんと
放心状態のまま迎えた・・・
「ねーねー喜んでくれたっていいじゃなーい!!女だからって気に入らないなんていうわけぇ!?
あたしはチームメイトなんだよぉ!?意地悪しちゃやーだ!!」
「あ・・・はぃ、おめでとぅ・・・すごいね愛ちゃん・・・」
 ベンチにいた男子たちはふくれっ面を見せる愛に怯えながらこわごわハイタッチに応じる。
(怪物だ・・・絶対女じゃない・・・)
 男子たちは心の中でみなそういう考えを抱いていた。しかし口には出さずハイタッチをする彼らに愛は機嫌を
すぐに直してまぶしい笑顔をはじけさせる。そうして表情のコロコロ変わるあたりはやはり普通の小学校4年生
の女の子だった。

「バッティングまでこんな非凡な才能を秘めているとは!!これは使える子が現れたもんだ!!
学校の金網ももうちょっと高くせねば危ないな!!ワハハハハハハハハハ!!」
 林だけは異様なまでにウキウキしていた。

 完全に自分を見失ってしまった哲夫はその後もつるべ打ちに遭ってしまい、1イニングだけで打者2順半の
20失点と惨めなまでに火だるまにされた。さらに愛には2打席連続で特大場外アーチを掛けられ、半泣きの、
いや泣き崩れる1歩手前でようやくアウトカウントを3つそろえることができた。
 普通の試合ならばこの時点で立派にコールドが成立するが、これは正規の試合ではなくレギュラーを決める
一環で行われたものであるためゲームは続行された。しかし、続けたところで参考になるものではなかった。
なぜなら、愛の側にいる野手は全く守備の機会を与えられなかったからだ。愛はその火の出るような剛速球で
その後の打者に1回たりともバットにかすりもさせず、全員三振。ほとんど見逃し。投げるほどに肩が温まって
調子の上がってきた愛の球速は試合終盤には139kmにも達していた。当然、太郎の手は限界を超えていた。
 一方の哲夫はその後も打撃練習よろしく滅多打ちにされた。もう1人の新人、小柄な文吉にまでランニング
ホームランを放たれエースの誇りは完膚なきまでに破壊された。そうこうしているうちに哲夫はマウンド上で
大粒の涙をこぼしながらへたり込んで動けなくなってしまい、そこで試合は終了となった・・・

「ひっぐ・・・うううぅ、ぐじゅっ・・・うわあああああああん!!・・・じゅるじゅる・・・・・・」
「てっちゃん・・・もう泣くなよ。今日はたまたま調子が悪かっただけさ」
「そうそう、こんな日もあるって・・・次頑張ろうぜ、次。な?」
 顔をぐしゃぐしゃにして鼻をすすり上げながら号泣する哲夫を同級生の太郎と忠は必死になって慰める。
慰めながらも、手のひらをアイシングし続ける太郎の姿は痛々しいものがあった。
「これにて今度の試合のレギュラーの選考は終了だ。今度は、先発は愛ちゃんに任せることにした。哲夫君、
泣いてる暇はないぞ。エースの座を取り返したければ精進するんだ」
「へへ。お兄ちゃん、頑張ろうね!!」
 愛の無邪気なその声に、哲夫の涙と鼻水はますます勢いを増していった・・・

「お兄ちゃんってばぁ、もう泣かないで。男の子でしょ?」
 練習からの帰り道。しゃくりあげ続ける哲夫の背中を愛はさすりながら優しい言葉を掛けた。
「う・・・うるさい!!お前に俺の気持ちがわかってたまるか!!ぐしゅ・・・うぶぶ・・・・・・」
 今日の試合での耐え難い屈辱。バラバラに打ち砕かれたプライド。剥奪されたエースと4番の座。そして、
何よりの誇りだった背番号1が昨日入ってきたばかりの女の、妹の背中に奪い取られてしまった喪失感。
そんな、自分から何もかもを奪い去ってしまった妹に優しく慰められるのが哲夫には耐えられなかったのだ。

「お兄ちゃん・・・ううん、やっぱり男の子は泣いてちゃダメ!こっち来て!!」
 グイッ!!・・・・・・ぱふ。
「う・・・むぐぐ!?」
「さあ、涙を拭いてお兄ちゃん。お兄ちゃんは強い子よ。涙なんかバイバイしなきゃ」
 むぎゅ、ぷにぷに。
「むごおおおおお!!」
 愛は泣きじゃくっていた哲夫を力いっぱい自分のほうに引き寄せると、その大きな胸に哲夫の顔を思いっきり
うずめさせて涙を自分のユニフォームでぬぐわせた。愛の怪力で抱きしめられ、哲夫の顔はその爆乳に
どっぷりと埋もれてしまった。

「あ、あ・・・い・・・むごむごぉぉぉぉ」
「お兄ちゃん、次から頑張ろうよ。ライバル同士、互いに成長し合えって監督さんも言ってたじゃない」
「はふ・・・は・・・ふ、あ・・・、愛いぃぃぃぃ・・・」
 哲夫は混乱していた。ただ慰めるつもりで無邪気に愛は涙を止めさせようと胸に抱きしめてくるのだが、
哲夫はもう思春期を迎えた立派な男の子だ。当然男らしい反応というものをしてしまう。
 自分より遥かに大きいとはいえ2歳も年下の妹にまるで姉が弟を相手にするような振る舞いをされる屈辱、
人の通る町なかでこんな破廉恥なことをされている恥ずかしさ、そして愛の小学校4年生にして87cmのバスト
にうずまってぱふぱふされる快楽、様々な感情が入り乱れて哲夫は何を考えていいのかわからなくなっていた。

「だからお兄ちゃん、もう泣いちゃダメ。あたし、お兄ちゃんに憧れて野球始めたんだよ。頑張ってる
お兄ちゃんが見たいの!だから・・・メソメソしないで。ね?」
 ぎゅうぎゅう。むにゅうう。
「愛、愛いいい・・・もぉぉ・・・(愛!・・・お前はお兄ちゃんをおかしくさせたいのか!?もうダメだ・・・
お願い、もう・・・もう・・・も・・・・・・もっとぉぉ・・・)あ、いや・・・やめ・・・」
 涙はとっくに止まっていた。今流れているのは・・・よだれだ。
「練習すればあたしからエースの座、取り返せるはずよ!あたしも頑張って取り返させないから!とにかく
頑張ろ?お兄ちゃんと熱く戦いたいの!もう2度と泣かないって約束して!!」
 むぎゅぎゅぎゅうううう!!こりこりっ。
 いつしか哲夫は愛に抱きしめられたまま宙吊りにされていた。おまけに薄手のユニフォームからプックリと
浮き出る乳首が哲夫の両頬をこりこりくすぐる。哲夫を激しい動悸が襲う!
「あっ愛!!もうわかった!!もう、もう泣かないからやめてええ!!」
 ぱっ。
「ハッ・・・はあっ・・・はあはあ・・・」
 やっと解放された哲夫は愛に鋼のような勃起を悟られまいとすぐさまその場にしゃがみ込んだ。
「ふふっ、わかってくれたんだね、お兄ちゃん。これからもお互い頑張ろうね!一生懸命練習して、ライオンズを
強くしようよ!ね?」
「う・・・う、ん・・・」
 愛に見下ろされながら、哲夫はわけのわからないまま返事をした。

 互いに練習して争って強くなる、そう約束はしたものの哲夫は正直なところ自信を喪失しつつあった。
妹とのこの体格差、今日の試合で見せ付けられた実力差、そしてたった今子供のような扱いを受けてしまった
劣等感、さらにそれに興奮、勃起までしてしまうとは・・・実の妹相手に・・・・・・
鼻歌を歌いながらのんきに歩く愛の後を哲夫はとぼとぼついて歩いて帰路に着いた。
「あっそうだ!そこでジュース買って行こうよ!今日はあたしのおごり!」
 いきなりそう言って愛はピンク色のかわいい財布から240円を出して近くにある自動販売機に向かった。
取り出し口からジュースを取るため屈んだ愛のヒップが哲夫の目の前にドンと突き出される。ユニフォームを
はちきれんばかりに張りつめさせる90cmの迫力に哲夫はまた圧倒され、ユニフォームの前をはちきらせん
ばかりにしてしまう。あらゆる面で哲夫は、小学4年生の妹に翻弄されていた・・・
(お、俺これからどうすればいいんだ・・・)

つづく