5年3組物語 第6話

秘密の保健室

 人のいない静まり返った昼休みの保健室で、秋野さくらは1人ため息をついた。
「あ〜あ、また伸びてるぅ・・・」
 誰もいないことを確認して、こっそりと身長を測ってみたのだった。
5年生になったばかりの時期に行われた身体測定の時点で185cmにも達しており
クラスの女の子たちからは、小学生の間に190cmを絶対超えると言われ続けていたのだが・・・

「もう、身長なんていらないよぉ・・・」
 すごいとかかっこいいとか他の女の子には言われることもあるけど、
さくら自身はこれだけ大きい自分がイヤになりつつあった。
外を歩けばジロジロ見られてしまうし、建物の出入り口はいちいち屈まなければ通れない。
公共施設でも小学生料金は絶対に通用しないし、小学生だというのに女子プロレスに勧誘されたことさえある。
そして何より、男の子からは必要以上に避けられてしまうことが。

 これから自分はどれだけ伸びてしまうのか、もしかしたら2mにもなってしまうんじゃないかと
憂鬱な気持ちを抱えながらさくらは保健室のドアをくぐって外に出た。頭を下げなければ当たってしまう。
「さ〜くらちゃん♪」
 むにゅっ。
「きゃっ!」
 いきなり死角からガバッと抱きつかれて両側からバストをわしづかみにされてさくらは息を飲み込んだ。
「さくらちゃん、体とおんなじでここもおっきいんだね〜」
「きゃ、やめ・・・なんだ、智恵理ちゃん。おどかさないでよぉ」
 背後から突然さくらを抱きしめたのは同級生の相沢智恵理だった。
「保健室でなにしてたの〜?さくらちゃん。ねぇねぇ」
「な、なんでもない・・・ただちょっと、その・・・」
 こんな大きな自分がわざわざ身長を測りに来たなんて決して言いたくなかった。
自分の大きさを自慢したがっていると思われてしまいそうで。

「わかった、背測りにきたんでしょ」
「そっ、そんなこと、ない・・・」
「いいじゃん隠さなくたって。おっきくなるのが楽しみでいっつもこうして測ってるんだよね?」
「ち、ちがうったら・・・」
 いつも自分の大きさと力の強さを男子相手に見せ付けて楽しむ智恵理とは一緒にされたくなかった。
さくらは男子いじめなどにはまるで興味などない、優しい少女なのだ。
「ところでさぁ、何cmになってたのぉ?」
「そんな・・・別に変わってない、よ・・・」
「ウソばっかり。あたしたちから見ても明らかに大きくなってるよぉ、さくらちゃん最近。
4月の頃はあたしとちょっとしか変わらなかったのに、こんなに違うじゃん。今」
「そ、それはちょっとだけ・・・あん、いいから揉まないでったらぁ」
 智恵理はさくらを後ろからガッチリと抱きしめ、右手で左の、左手で右の胸をそれぞれわしづかみにして
やわらかくもみしだいてくる。加えて人差し指で、これだけのサイズに発育しながらいまだにブラジャーをつけていない
さくらのバストの先端をくりくりと転がすようにいたずらっぽく刺激する。
くすぐったさと快感が全身を駆け抜けてさくらは力が入らない。膝がガクガクと震える。
「ぁ・・・あふんっ、相沢さん、もうやめてったら、お願い・・・」
「ふふっ、さくらちゃん、ほんとは気持ちいいんだ。・・・ね、何cmになったの?身長。
ちゃんと言わないと、やめてあげな〜い」
 むぎゅっ!くにっ、くりゅ・・・
「ぁっ、はあぁ・・・わ、わかった、言うからぁ・・・あっん・・・ひゃ、ひゃく・・・」
「ひゃく・・・何cmなのかなぁ?」
 くりくりくりくりくりくりぃぃぃっ!
智恵理はさくらの反応をおもしろがって、さくらの2つの突起を指先で円を描くように高速で転がす。
「く・・・ふぅっ!やめ・・・ひゃ、ひゃく、きゅうじゅぅ・・・にせんち・・・ぁ、ああああぁ」
 全身を駆け巡る甘い電流に喘ぎながら、さくらは途切れ途切れに自分の身長を白状した。

「え〜〜〜192cm〜〜〜!?さくらちゃん、でか〜〜〜〜っ!!」
 智恵理の大きな驚きの声が、1階の廊下中にとどろいた。
さくらが顔を真っ赤にしながら智恵理のほうを振り返り、慌てて人差し指を口の前に当てる。
「あ、相沢さん・・・そんなに叫ばないでよ・・・他の人に聞こえちゃう」
「いいじゃん、聞こえたって。さくらちゃんはおっきいんだから堂々としてればいいの。
それにしても伸びたねえ。5年生になったばっかりの頃は185って言ってなかった?もう7cmも伸びたんだ〜。
あたしもまだ伸びてるけど、さすがにさくらちゃんにはかなわないな〜」
「そんな・・・あたしもう、背なんて伸びなくていい・・・これ以上大きくなりたくないよぉ」
「あら、ダメよさくらちゃん、そんなつまんないこと言っちゃ。ここまできたら目指せ2m!だね。
さくらちゃんにはもっともっとおっきくなって、チビ男子たちなんて踏み潰していってほしいなぁ」
「あ、あたしそんなかわいそうなことしたくないもん・・・
相沢さんも、そろそろ男子いじめるのやめてあげなよ・・・弱いものいじめなんてよくないよ・・・」
「違うよ、あれは弱いものいじめなんかじゃないの。あいつらが生意気だったりエッチだったりするから
懲らしめてあげてるだけじゃん。弱いくせに逆らうあいつらが悪いんだよーだ。
さくらちゃんもせっかくこれだけ背高くて力も強いんだからさぁ、あたしとか亜由美とかと一緒に
自分の立場をわかってないバカ男子どもにおしおきしまっくちゃおうよ!」
 日ごろからさくらはこうして、智恵理たちクラスの一部の女子から男子いじめへの参加を呼びかけられ続けて
いるのだった。おそらく全国の小学生の中でNo.1の長身と、怪力少女たちがなぜか集結している5年3組でも
5本の指に入るパワーの持ち主のさくらではあるが、その体格と力を人に向けるようなことは今までしなかった。
さくらは体こそ大きいが、人に暴力を振るうことなどできない性格なのだった。
自分の力を男子にぶつけてしまったらどんなことになるか・・・そんな弱いものへの配慮と思いやりができる
心の優しい、中身は普通の小学5年生なのである。

「そ、そんなことよりさ・・・もう離してくれない?相沢さん」
 さくらは恥ずかしさで耳まで真っ赤にしながら智恵理に胸から手をどけてくれるよう頼んだ。
智恵理の言うとおり正直に身長を告げても、智恵理はまだその手を離してくれていなかったのだ。
「ふふっ、ごめんねぇ。さくらちゃんのおっぱい、揉み心地が良かったからつい、ね」
 そういうと智恵理は、脱力しているさくらの巨体を片手で簡単にクルリと反転させて互いに向き合う体勢となった。
「さくらちゃんには背の高さじゃ負けるけど・・・ここの大きさなら負けないよ!」
「きゃっ!」
 今度は正面からさくらを、両腕で抱きすくめた智恵理。その両腕の太さ、逞しさ、力強さに
さくらの192cmの肢体も一瞬折れそうにしなった。
智恵理が背伸びをして、さくらのバストに自分のバストを合わせてぐりぐりと押し付けていく。
「さくらちゃん、おっぱいは何cmあるの?測ってみた?」
「ぅ、ううん。身長しか測ってないからわからない・・・よ・・・ぁふ・・・」
 さくらは恥ずかしさのあまり嘘をついた。身長のついでにバストサイズも測ってみたのだが、
これだけは人には言いたくなかったのだ。90cmもあることなんて・・・
「あたしはおととい測ってみたよ。93cmだった。どぉ?おっきいでしょ」
 ぐいぐい、ぷにゅ。
智恵理はさらに力を込めてさくらを抱きしめる。バストサイズの比べっこのつもりなのだろうか。
2人の体操服の前面に大きく縫い付けられた、『5−3 相沢』『5−3 秋野』とマジックで書かれたゼッケンが
90cmと93cmの柔らかい巨乳に挟まれて激しくこすれあう。
(この小学校では女子児童のほとんどが、体育の授業がある日はこうして体操服にブルマーの上から
黒い吊りプリーツスカートのみを着用して登下校、学校生活を送るのが通常となっている。
体育の時間への準備といえば教室でスカートだけを脱いで机の上に置いておくだけだ。)
体操服とゼッケン、数枚の布越しに2人の4つの突起がくりくりと刺激しあう。
トマトのように顔を赤く染めてもじもじと身悶えるさくらを見つめながら、攻める智恵理も顔をうっすらと
紅潮させてきた。

「なぁに?気持ちいいの?さくらちゃん」
「あっ・・・ん、やめてってば・・・人が見てるよ・・・」
 顔を真っ赤にしたさくらが指差した先に目をやって、智恵理も我に返って動きを止めた。
その廊下を通りかかった教頭が、2人の様子をやや離れた場所から食い入るような表情で見上げていたのだ。
160cmもない教頭からは、180cmオーバーと190cmオーバーの巨大女子小学生が
互いにその砲弾のようなバストを擦りつけながらじゃれあっている様子はさぞ刺激的な光景だったのだろう、
その存在に気づかれて指を差されてもまだ、息を荒げ目を血走らせて熱い視線を注ぎ続けていた。
動揺からか、さくらの広い肩から肩紐がずり落ちて黒いプリーツスカートが足元にバサッと落下した。
教頭の視界にはさくらの、使い込まれて光沢を放つ紺色のブルマーを破裂しそうにと押し広げるヒップと
自分のベルトの位置よりもはるかに高い場所から伸びる、健康的に日焼けした長い脚が突如飛び込んできた。
2人の少女の視線に気づいているのかいないのか、教頭はさらに目を充血させ口からは一すじの涎が・・・

「んもう、やだっ!相沢さんのバカ!!」
 さくらは恥ずかしさのあまり、スカートを拾い上げるのも忘れてそのまま走って逃げていってしまった。
「あっ、さくらちゃん・・・もう!全部あんたが変な目で見てたせいだからね!さくらちゃんがかわいそうじゃない!
変態!ロリコン!」
 智恵理は自分の行為も棚に上げて、教頭を20cm以上も高い場所から見下ろして罵倒した。
その迫力に、教頭はただ言葉を詰まらせてその場にへたり込んでしまう。
小学5年生の女の子に怒鳴りつけられて縮み上がってしまうその姿には教頭の威厳など微塵も感じられなかった。

 さくらは教室に戻ろうと階段を登りながら、ようやく落ち着きを取り戻そうとしていた。
そして、またひとつため息をついた。
(はぁ〜・・・なんで私ばっかりこんなに大きくなるんだろ。このままどんどん大きくなっちゃったら、
絶対嫌われちゃう・・・どうしよう・・・)
 誰にも内緒にしていることだが、さくらは今、生まれて初めて恋をしているのだった。
同じクラスにいる1人の男子に、なぜか妙に胸がときめいてしまっている。
その男子とは・・・

 と、そこで、廊下の角を曲がって5年3組の教室の前に戻ってきたさくらは硬直してしまった。
目の前に広がっていた、目を疑いたくなるような光景に。
教室の前で、2人の女子がなにやら白いものをボール状に丸めたものでキャッチボールに興じている。
その2人の間を、1人の男子が泣きわめきながら走り回らされている。
・・・それも、裸で。

「キャッ!!智美ちゃん、めぐみちゃん、一体何やってるの!?」
「あっ、さくらちゃん。・・・見ての通り、キャッチボールだよ。さくらちゃんも一緒に参加してみる?」
 七瀬めぐみがさくらにその白いものを投げ渡す。広げてその正体を確認したさくらは一瞬にして真っ赤に染まった。
それは、男子がよく下着として穿く、ブリーフだったからだ。
「いやっ!!」
 思わずさくらは目を背けながらその白いブリーフを力いっぱい放り投げた。
それを、キャッチボールをしていたもう1人の樋渡智美が手馴れた手つきで捕獲する。
「か、返してよおおお」
 泣いて声をうわずらせた小さな男子が、靴下と上履きのみの惨めな姿で智美に駆け寄り懇願している。
「だーめ。えいっ♪」
 智美は笑いながらブリーフをめぐみのほうへと放り投げる。
「お、おねがいぃ・・・返してくださいぃ!!」
 男子生徒は今度はめぐみのほうに走って行ってパンツを取り返そうと必死にジャンプする。
しかしめぐみはブリーフを持つ手を目いっぱい高く上げてそれを許さない。
めぐみとその男子の身長差は30cmある。精一杯のジャンプも虚しく、一向にめぐみの手には届かない。
「ほぉら、がんばってね。あとちょっとだよぉ」
 真っ赤になって泣きじゃくりながらジャンプを繰り返す男子を見下ろしてめぐみは笑う。
小さな男子が飛び跳ねるたびに、その股間から生えた皮かむりの小さな豆のような物体が
上下にぷるんぷるん揺れる様がおかしくてたまらないらしい。
同時に、股間からもう1つ生えている、2つの玉が入った袋が、男子の飛び跳ねるたびに太腿に当たって
廊下に響くぺたん、ぺたんという音に智美も笑い転げている。

 これがこの2人、智美とめぐみのいつもの男子遊びの形だった。
クラスの女子の平均からは決して大きくない2人は、智恵理や亜由美のように力で蹂躙するタイプの
男子いじめよりも、こうして恥辱にまみれさせるタイプのほうが得意なのだ。
特に智美の、男子のパンツを素早く脱がしてしまうテクニックは女子の間で神業とも呼ばれているほどだ。
智美にかかればどんな男子も風が通り過ぎるかのように瞬く間に全裸に剥かれてしまう。
その技で、智美たちは男子を日々辱めて遊ぶ。
男子の服を全て脱がせて、彼らの手が届かない高い場所に隠したり。
後ろから男子にそーっと近づき、ズボンもパンツも引き下ろして他の女子の目の前で下半身丸出しにさせたり。
水泳の授業中何人もの、男子の水着を水中で本人の気づかぬうちに奪い取ってしまったり。
先生のズボンのベルトを知らない間に素早く引き抜き、教室の真ん中でズボンを足首のあたりまで落とさせて
笑いものにしたり。
彼女たちにしてみれば、脱がしたパンツでキャッチボールをしてからかうなどごくありふれた普通の遊びだった。

「こ、こんなこと今すぐやめてあげて!!亀井君がかわいそうじゃない!」
 さくらは男子のあられもない姿に顔を覆っていた両手を思い切って離すと、叫んだ。
これ以上は、見ていられなかった。なぜなら、今こうして智美とめぐみにいじめられているチビ男子、
亀井文太こそが、さくらの初めての恋心を抱いた相手だったからだ。

「え〜?こんなチビ全然かわいそうじゃないよ」
「そうだよ。このチビガメが思わずいじめたくなっちゃうのが悪いんだよ。
チビガメってさぁ、全身からいじめてビームが出てるんだもん。こいつから誘ってるみたいでさぁ。
かまってあげなきゃそっちのほうがかわいそうだよ」
「きゃはは言えてるー。いじめて〜っていうオーラ感じるよね。そのせいでつい、ね」
 智美とめぐみは、何ら悪びれる様子もなく当たり前のようにさくらに返答した。
ちなみにチビガメとは、日々面白がって男子いじめを繰り返す女子たちが誰ともなく言い出した
亀井文太への愛称だ。
小さな男子ばかりの中でも最も小さな137cmの身長と、動作も鈍くて運動神経もなく鈍くさい様子を
亀井という苗字に引っ掛けて作り出された、屈辱以外の何物でもない仇名だった。
そして日頃いじめられることによる恐怖感に満ちた弱気な表情が、ますます女子たちの嗜虐心を煽る。
それがめぐみの言うところの、『いじめてビーム』なのだろう。

「っていうかさくらちゃん、今日はどうしたの?やけにかばうんだね。チビガメを」
「・・・え?」
「そうだよね。さくらちゃんだってあたしたちがこうして男子と遊んでるの毎日見てるじゃん。
別に珍しいわけじゃないし、いつもは何も言わないのにね」
「あ、いや、それは・・・」
「これが他の男子だったら別に何も言わなかったんじゃない?ねぇ、さくらちゃん。
・・・ははぁ、わかったよ。さくらちゃんひょっとして、チビガメのこと、好き?」
「!!・・・な、何いきなり・・・そそそんなことは、そのあの・・・」
 図星を突かれて、さくらは誰の目から見てもわかるほどに取り乱した。
先ほど取り戻した平静もどこへやら、またまた顔は耳まで真っ赤に染まる。

「きゃはは、さくらちゃんったらリアクションわかりやすすぎ。おもしろ〜い♪
へぇ、さくらちゃんはチビガメにラブラブなんだ〜」
「ち、違うよぉ、そんなんじゃないってば・・・」
「ふふ、今さら否定したってムダだよ。もう真っ赤に火照っちゃって。ほんとは好きなのバレバレじゃん。
別にあたしたち、いけないって言ってるわけじゃないんだから。
クラスで1番のチビ男子と、多分日本で1番でっかい小学生のさくらちゃんって、けっこういい絵じゃない?」
「そうだよね。これからの世界の男女関係を暗示するみたいな、ナイスなカップリングかも♪」
 智美とめぐみは勝手なことを話し合って、さくらと文太の超身長差カップルの誕生を囃し立てた。

「チビガメはどうなの?さくらちゃんのこと、好き?」
「うぅ・・・えぐ・・・グシュッ・・・」
「いいかげんに泣きやみなさいよ、うっとおしいチビね!だからいじめられるんでしょ!
・・・さくらちゃんは好きだって言ってくれてるんだよ?スタイル抜群でナイスバディのさくらちゃんがさ!
ハッキリ言って、あんたみたいな泣き虫のカメなんかにはもったいないぐらいなんだからね!!」
 鼻をすすり上げながらいまだ泣き続ける文太に苛立っためぐみは、怒鳴りつけながら文太のブリーフを
窓から外に放り投げてしまった。
そして文太の頭を掴むと強引に上を向かせ、さくらとの視線を合わさせようとする。

 192cmのさくらと、137cmの文太が至近距離で向かい合う。2人の間には、
同学年であるにもかかわらず55cmもの差がある。
文太の首はほとんど真上を向いていた。それでも、さくらの顔の全ては文太の視界には入ってこなかった。
さくらの体操服を窮屈に持ち上げる、90cmにも達するバストが間にあるからだ。
さくらというより、『5−3 秋野』とかかれたゼッケンに見下ろされているような錯覚。
ゼッケンの、体操服との縫い目からパチパチと悲鳴が聞こえるようなすさまじい迫力で突き出されている胸が、
文太の体にひとつの異変をもたらした。

 ビンッッ!!

「キャッ!!」
 さくらは思わず、また両手で顔を覆った。
それまで文太の股間から力なくぶら下がっていた、皮に包まれた豆粒のような物体が
瞬時にして大きさを増し、先端を自分の顔に向けるような角度で突き出されたのだった。
幼少の頃自宅の風呂で見た、父親のもの以外の男性器を目の当たりにすること自体今日が初めてだったのに
(いつもクラスで男子が裸にされるときは目を背けていたので見ることはなかった)、
しかもそれが大きく勃起する瞬間をその目に焼き付けてしまったのだ。
「うわっ、何考えてんの、チビガメ!!」
「やらし〜、最低!」
 両脇で智美とめぐみから怒声を浴びせられる文太。しかし、文太自身も理解できない現象だったのだ。
(ぼ、僕の体・・・どうなってしまったんだ!?)
それは、文太が生まれて始めて勃起を覚えた瞬間だった。
股間と・・・胸が熱い!
さくらの胸、ブルマーに包まれた大きな腰、高い位置にある股下、そこから伸びる脚の迫力・・・
目の前にいるさくらの全てが、文太の胸を狂おしいほどに刺激し、攻め抜いた。
胸と股間を中心に全身を熱いマグマのように駆け巡る、生まれて始めて芽生えた性的衝動と
膨張し続ける生殖器を包む包皮に走る張り裂けそうな激痛に、文太は呻いた。

「おーいさくらちゃーん、スカート忘れてるよー・・・って・・・な、何?」
 さくらのあとを追って教室前に戻ってきた智恵理も、そこにある光景に戸惑わずにはいられなかった。
さくらの前で、いきなり文太が上履きと靴下だけの裸でちんちんをおっ勃てている奇妙な光景に。
「ね、ねぇ、何してるの?みんな・・・」
 さすがの智恵理も言葉に詰まっている。
「あのね、さくらちゃんがチビガメのこと大好きなんだって。そしたらいきなり、チビガメが発情しだしちゃって・・・」
 智美が、説明になっているのかいないのかわからないようなことを言う。
「へー、さくらちゃんなかなかいい趣味してるんだね。けっこうお似合いかも。
・・・ところで、なんでチビガメは裸なの?・・・もしかして、さくらちゃんが・・・」
「ち、違うよ!私がこんなかわいそうなことするわけが・・・」
 赤くなったまま首と両手を大きく振り否定するさくら。しかし智恵理は聞く耳を持たなかった。
「さくらちゃん、いくら好きだからってものには順序があるんじゃない?さくらちゃんのエッチ。
あんまりガツガツしてるとチビガメに嫌われちゃうよ?」
「違うってば!私じゃないの!信じて!私は男の人裸にしちゃうなんて・・・」
「ふーん。まぁどっちでもいいや。さくらちゃんがチビガメのこと愛してるのは間違いないみたいだし・・・」
「あ、愛してるなんて、そこまで、その・・・」
「本当のことなんでしょ。好きなら好きってはっきりしなさい。
ほら、くっついちゃえ!!」
 ドンッ!!

 智恵理の怪力で背中を突き飛ばされ、192cmのさくらの巨体も思わずつんのめってバランスを崩した。
そしてその前には、転倒しかけるさくらの影に全身覆われるようにして、棒立ちのまま怯える文太が・・・
(きゃ、危ない!!お願い、よけて!亀井君・・・!)
 ドサアアアアアン!! ゴンッ・・・
 さくらがその言葉を口に出す前に、文太は大木のように倒れかかったさくらの巻き添えとなって
さくらの巨乳に顔を完全にサンドされた状態で下敷きにされ、硬い廊下に後頭部を強打した・・・

 文太はベッドの上で目を覚ました。どうやらここは保健室のようだった。
鈍痛の残る後頭部をさすりながら布団をめくってみる。いつの間にか体操服を上下とも着ている。
「よかった・・・目が覚めたんだね」
 カーテンの開く音がして、外からさくらが安心したような表情でのぞき込んできた。
こうして横になっていると、さくらの巨大さにあらためて驚かされる文太だった。
「亀井君の体操服とパンツ、外に捨てられてたから私が拾ってきて着せてあげたよ。
ひどいことするよね、あの子たちも。二度とこんなことしないように、私からもお願いしておくから・・・
あっ、まだ安静にしてなくちゃダメよ。頭打ってるんだから」
 上体を起こそうとする文太を、さくらは優しく制した。
「ごめんね、私が上に乗っちゃったせいで・・・
それと、こんなところでこんなこと言うのもおかしいけど・・・この際だから言っちゃうね。
私、亀井君のことが・・・好きなの」
 さくらは胸に手を当てて顔を赤らめながら、胸に秘めていた思いを告白した。

「亀井君は、女のくせにこんな大きい私にこんなこと言われたら・・・迷惑?」
「そっ、そんなことないよ!秋野さんは、こんなどんくさい僕にも優しいし、それに・・・」
 言いかけたところで、文太の体にはまたあの異変が起こった。
ベッドの傍の椅子に腰掛けているさくらの、小学生離れしたどころではない迫力の肢体と
優しげな表情、そして自分のことを好きと言ってくれた興奮に、ブリーフと短パンが強烈に持ち上げられる。
その瞬間をまたも目撃してしまったさくらも、また妙な気分になってしまい顔をさらに紅潮させた。
「はぁ、はぁ、うぅ・・・」
「か、亀井君・・・どうして、そこがそうなるの・・・?どうしたら、おさまるの・・・?」
 それは今日生まれて初めて襲われた生理現象であり、本人である文太にもわからなかった。
「なんだかよくわからないけど・・・あ、秋野さんを見てると、つい興奮して、いつの間にか・・・」
「私のせいで、こんなに・・・?うーん、私に何かできることって、ないかな・・・」

 次の瞬間、文太は己が目を疑った。
さくらが恥ずかしがりながらも意を決したような表情で、文太のズボンとパンツをまとめて一気に
足首の辺りまで引き下ろしてしまっていたからだ!
「!!あ、秋野さん!?や、やめ・・・」
 また、女の子の前にさらけ出されてしまう恥ずかしさに、今度は文太が真っ赤に染まる。
「こう大きくなってるときの亀井君って、なんだか息も荒いし、苦しそうなんだもん。
私のせいで苦しんでるんだったら・・・私が苦しみから解放してあげる。・・・私が、小さくしてみせる」
 下腹を打ち付けるほどに反り返って脈打つ文太のペニスを見つめながら、さくらは自分に言い聞かせるように
宣言した。好きな男の子のために、恥ずかしさと戦っているような表情だった。

「けど、どうしたらいいんだろ、これ・・・お願い、ちっちゃくなって」
 さくらは文太のペニスに語りかけるように囁きながら、おっかなびっくり指先でそれを2度3度と突っついた。
そのたびにそれはビクン、ビクンッと熱く脈打ちながら反発の動きを見せる。
「きゃ、すごい、硬い・・・それに熱い・・・」
「ぁ・・・はぁぁ、あぅ・・・」
「亀井君、大丈夫?痛いの?」
 違う。突っつかれるたび文太には、高圧電流のようなすさまじい快感が全身を駆け巡っているのだ。
密かに憧れていた女の子の指先から与えられる、経験したことのない気持ち良さに言葉が継げない。
「わ、どんどんおっきくなってるみたい・・・一体どうしたらいいの?
え、この穴ってなんだろ・・・男の人はここからおしっこするのかなぁ。
え?え?何?この先っちょから出てきた、ぬるぬるしたの・・・」
 さくらは体つきこそ大の男でも到底かなわない大きさを持っているものの、
中身はまだ何も知らない、無垢な小学5年生に変わりないのだ。
大事な恥ずかしい部分を、同級生の女の子に観察されている状況。
文太は快感に震えながらも、やはり恥ずかしさから消え入りたいような気持ちも同居していた。
「わぁ、ぬるぬるしてきたら、なんだかこの皮が剥けそうになってきた・・・」
 にゅるっ、ぬちゅ。
「ひぅっ!」
「先っちょが、ちょっと出るようになったみたい。・・・すごい、男の人って不思議・・・」
 ズルッ、ズルゥッ!
「はぁっ!あぁああ!!」
 さっきまで恐る恐る指先で突っつくだけだったはずのさくらが、いつしか文太のペニスの先端から
にじみ出ていた透明な粘液を先端に塗りつけ、ペニスそのものを握り締めて包皮をスライドさせるように
上下にしごきたてていた。
苦しむ文太をどうにかしてあげようという思いからのさくらの行動だったが、
恥ずかしさはいつの間にか吹き飛んでしまっていたようだ。
「はぁはぁ、あぉぉ・・・秋野さん・・・僕、もう、もう・・・あぁぁぁぁぁぁ」
 未知の快感と、このまま行けばどうなってしまうのか、おかしくなってしまうのではないかという恐怖感が
入り混じって、文太はシーツを握り締めながらうわずった声でただあえぎ続けていた。
さくらは、もはや好奇心のほうが上回ってしまったような様子でますますその手の動きを激しくしていく。

「亀井君?どうしたの?もしかして、これ・・・気持ちいいの?」
 じゅるっ、ちゅぷ!ぬちゅうっ!ズルッ、ズリズリズリィッ!!
「ああっっ!アア―――――――――!!」

 びゅくん、ぶっぴゅるるるるるるるるる―――――――――――――――――!!
 じゅぷん、どくっ、どぷぷぷぷぷぷぷぷうううううううぅぅっっっ!!
 びくん、どぷ、びゅるっ、びゅるっ、びゅるるるるるる・・・・・・

 文太に、壮絶な精通の時が訪れた。
脳みそも骨も白く沸騰して全部残らず蕩けてしまったかのような快感とともに、
白濁した熱い液体がとめどなく次から次へとほとばしり出て行く。
保健室の天井、ベッド、シーツ、カーテン、窓ガラス、さくらの手、いたるところに叩きつけられ湯気を放っている
文太の初めてのホットカルピスの量が、その快感のすさまじさを物語っていた。
「な・・・なんなの?今の・・・亀井君・・・」
 右手を真っ白い粘液に埋め尽くされたまま、さくらは呆然と文太の顔とようやくしぼんでくれたペニスを
交互に見渡しながら問いかけた。
しかしその問いかけに文太は答えることはできなかった。
精の全てを数秒間で一滴残らずぶちまけてしまった文太は、その直後には再び深い眠りに
落ちてしまっていたのだから。


つづく