「週刊嘲笑」 201X年5月20日号より抜粋

「強さに走るオンナたち! コンバット女子高生急増中!!」

 女たちが強くなった。前世紀から飛び交い続けている言葉ではあるが、単に男性による封建社会が
崩壊して女性の発言力が強まった、などという問題ではない。近年では女たちは体力的にも大幅に
増強され、我々男たちを精神的にも肉体的にも脅かす存在になりつつあるのだ。スポーツ界では
女子選手が男子選手の記録を上回る競技も出始め、街では大女が小男に腕を組ませて引きずるように歩き、
家庭では妻から夫へのDV(配偶者間暴力)が社会問題化しつつある昨今、これまで築き上げられてきた
価値観はガラガラと音を立てて崩れて跡形もなくなってきているのだ。
 『男は強く逞しく、女は優しくおしとやか』そんなものはもはや前世紀の遺物なのか。

 取材班は若者の街、渋谷へとやってきた。来たるべき女性上位社会へ向けての若者たちの意識の変化を
探るためだ。・・・探るまでもなく、意識の変化はパッと見だけでわかったようなものだった。

 若い女たちは一昔前の世代とは比べ物にならないくらい逞しくそしてナイスバディを惜しげもなくさらして
自信に満ち溢れたようなオーラを発しつつ颯爽と闊歩している。我々おじさん世代は思わず赤面してしまい
そうなほどの薄着姿。ナマ脚、ヘソ出しは当たり前。よほど自分の体に自信があるのだろう。はしたない格好
と思いながらも、我々は彼女たちの歩く姿に知らず知らずのうちに視線が釘付けになってしまっていた。
日本の女性も変わった・・・

 それにひきかえ男どものだらしないこと。女たちの前に萎縮し、ヘコヘコしているのが遠目からもわかる。
渋谷の町を歩くカップルの大半は男よりも女のほうが大きい。ヒールの高いブーツなどを履いた女の場合、
男の頭が女の肩の部分にも達しないほどのカップルもいる。たいがい腕を巻きつけているのは男のほう。
男どもは女の連れというより、御つきの者といった感じさえした。情けない・・・

 さて、若い女たちをウォッチングしていて気づいたのが、彼女たちの服のカラーコーディネイトだった。
Tシャツ、タンクトップ、キャミソール、ミニスカート、パンツ、ショートパンツといろいろある中で、それらを
迷彩色でキメている女の子たちが結構多い。もちろん今までどおりのようなかわいらしい色使いのファッション
の女の子もそれ以上にいっぱいいるのだが、迷彩ファッションの女の子は確実に増加傾向にあるようだ。
それが今時の女の子たちの逞しい体をより一層格好よく演出し、男どもをますます萎縮させているのかも。

 そんな、いわば『コンバット少女』たちのうちでひときわ取材班の目を引いた1人の女の子に話を聞いた。
彼女は休日を利用して渋谷にショッピングにやってきたという高校2年生、リナちゃん(17)。
リナちゃんは我々より遥かに長身で肩幅も物凄く、ヤワな男では到底かなわなさそうな体格の持ち主である。
それでも顔はまだあどけない普通の少女で、茶髪に枯葉色の迷彩色ヘソ出しミニTシャツとショートパンツ、
そして茶色のロングブーツでキメていた。ガッチリしてそれでいてスラリとした超ナイスバディ!迷彩色
の服装だから、こんな女兵士の捕虜になりたい、などというMな男性諸君も多いことだろう。

 それでもバッグや携帯にはかわいらしいアクセサリーをジャラジャラ。こんな普通の女子高生な一面も
持ち合わせているリナちゃん。それにしてもリナちゃん、背ぇ高いね・・・
「えー、そんなことないよ。学校とかでもあたしよりおっきいコいっぱいいるしー」
 そうなのだ。ここ数年で女性の体格はすさまじい勢いで大型化の一途をたどり、男どもを軽く見下ろす
女は年々増加してきている。前世紀末に問題化し始めた環境ホルモンの影響か、対して男性は小型化に
歯止めがかからず男女間での体格差の逆転が起こっているようだ。このリナちゃんも178cmとのことだが
彼女より背の高い男をここから探すのは骨が折れそうだ。女では結構いるのだが・・・

 では女性の中でそれほど断然背が高いわけではないリナちゃんになぜ我々がひきつけられたのかというと、
それは彼女の体型である。広い肩幅は先ほど述べたが、全身の筋肉がハンパではない。ボディビルダー
ほどはさすがにないが、女性らしい体の線を失わせないしなやかな筋肉に覆われている。無駄な肉は一切
なく、出るとこは出て引っ込むとこは引っ込んでいるスレンダーさと強靭さが見事に両立したこれほどまでの
体型はリナちゃん以外にはいなかった。
 誌面に掲載するためカメラを向けるとリナちゃんは手のひらを大きく広げるギャルポーズ。これがまた
迫力を感じさせて格好いいのである。もともとこの、10年以上前から女子高生たちがやり始めた手のひらを
広げるポーズは女性たちの自信のあらわれだといわれているが、長身のリナちゃんがその大きな手で
やると威圧感すら感じる。その手に食べられてしまいそうな錯覚にも陥る。

 リナちゃんにもっと突っ込んだ話も聞いてみた。リナちゃん、趣味は?
「んっとぉ・・・おしゃべりとー、お買い物とー、それからトレーニングかな」
 納得・・・しかも並の鍛え方ではない。ピッチリとしたミニTの下には腹筋の割れ目がクッキリ。またリナちゃんは
腕や足の筋肉をグリグリ動かす癖があるらしく、あっけらかんとしゃべりながら彼女が躍動させる大きな力コブ
の動きに我々取材班の目は集中していった。
「やだーおじさんたちどこ見てんのー?その目超やらしくない?」
 そんなことを言いながらもリナちゃんは体を隠そうともせず笑いながら茶色のロングヘアをかきあげている。
「そんなにあたしの筋肉珍しい?っていうかおじさんたちマジ運動不足っぽい。ヤバすぎでしょ」
 ・・・確かに。我々取材班は日ごろの不摂生から見事なまでの中年太り。
「オトコだって体鍛えなきゃ。じゃ、あたしこれからジムだから」
 もっと詳しい話も聞くつもりだったのにリナちゃんはさっさと行ってしまった。ジム・・・?
我々は誰が言い出すでもなくリナちゃんに勝手にジムまでついていった。

 都内の某スポーツジム。運動不足解消を目的とした軽い体操のようなものからエアロビクス、スイミング、
本格的なウェイトトレーニング、そして護身術や格闘技に至るまで幅広く取り扱っているジムであった。
しかしそこで我々取材班が最も驚かされたことは、どのエクササイズも圧倒的に女性の会員が占めている
ことであった。このジムの主任インストラクター、市原真紀さん(24)に話をうかがった。
「そうですね、近頃ではどこのジムもほとんどの会員が女性です。特にウェイトトレーニングや護身術、
キックボクシング、柔術などのコースの方が増えています。高校生や中学生の女の子でもこちらのコースで
格闘技を身に着けたいという子も年々増えてますね」
 な、なんと・・・やはり、自分の身の安全は自分で守ろうということなんでしょうか?
「いえ、それはないと思いますよ。近年では女性に危害を加えようとする男性の方も弱体化が進んだようで
スポーツなんてやったことないとおっしゃる女性の方でも簡単にヒネっちゃうみたいなので(笑)、わざわざ
身を守るために格闘技をされるということではないですね。・・・やっぱり、強くなりたいんじゃないですかね。
女性が本来持っている闘争本能に火がついた・・・っていうんですか、実際教えてると男性よりも女性のほうが
飲み込みも早いし上達するんですよね・・・男性の方はあんまり長続きしなくて辞められる方も多いんですが、
女性の方は根性があるっていうか、とにかく熱心にトレーニングに励んでらっしゃいます。体を鍛えることと
勝負に勝つということに凄く喜びを感じてらっしゃるみたいですね。女性は本当に強くなりました。
男性の方々にも、もっと頑張ってほしいです」

 うーむ・・・事態は我々の思った以上に深刻なようだ。
「女性会員の方のほうが目的意識も高くてウェイトなんかでもどんどん重くして、小学生でも成人向けメニュー
をこなしたりする子もいるくらいなんですが男性の方はちょっと・・・成人でも小学校高学年用のジュニアコースが
なかなかこなせなくて私たち教える側としても苦労してしまう方もいらっしゃったりして・・・」
 ・・・市原さんは、そんな男たちをどう思いますか?
「え〜?(笑)んー何て言えばいいんだろ・・・やっぱりちょっとだらしないですよねー。時代は変わったとはいえ、
やっぱり男の人には強くあってほしいと思うんで。だからしっかりしてください!(笑)」
 それでは最後に何かメッセージを・・・
「はい、私たち○○スポーツクラブではただいま会員募集中です。経験のない人でも大歓迎です!
初心者の方でも男性の方でも私たちインストラクターが基礎から親切丁寧に指導いたします。
男の人たち、強くならなきゃダメですよ!(笑)」

 格闘技の部門に足を運ぶとさっきのリナちゃん発見!リングの上に立つリナちゃんはやはり格好いい。
ロングの茶髪を動きやすいよう後ろに束ね、よほど気に入っているのか、こんどは深緑の迷彩色の
タンクトップにショートスパッツ。しかしそのタンクトップというのがほとんどスポーツブラのような小ささで
一緒に練習する男どもはたまったものではないだろう。そして黒いオープンフィンガーグローブにレガース。
布面積の少ない大胆なコスチュームに演出された筋肉質の長身。まさに女豹だった。
「おじさんたち、まだなんか用あんの?」
 リナちゃんはニコニコしていたが、グローブをバシバシ叩きながらリングの上から見下ろしてくる迫力に
我々取材班は思わず腰が引けてしまった。

 リナちゃんはこれから軽くスパーリングをするという。その相手というのが160cmそこそこの小太りな男。
その素晴らしい肉体を誇示するかのように薄着のリナちゃんに対し、この男はトレーナー上下。自分の体を
さらす自信がないのだろうか。体格差といい、これはやる前から勝負は見えたようなものだった。
 カーン。

 終わった。一瞬であった。ゴングの響きが収まるより早かったかもしれない。
「リナ、手加減しなきゃ〜」
「ただでさえ男の練習生少ないのに、また減っちゃうじゃん」
「だって、あんな簡単にダウンするなんて思わなかったもん」
 完全に大の字で伸びている男子練習生を放ったままリナちゃんはリング下の女の子たちと談笑する。

 何が起こったのか。我々の眼にもよくはとまらなかったが、だいたいはこうだ。
 ゴングと同時に男子練習生に素早く接近したリナちゃんは、その男の太腿に剃刀のような鋭い左ローキック
を叩き込んだ。バシィンという音とともに男が泣きそうな顔で崩れ落ちたところにリナちゃんのこれまた鋭い
右フックが・・・ということのようであった。リナちゃんはボディを狙ったつもりが、あの男がローキック1発で
へたり込んでしまったため顎に炸裂してしまったのだろう。まさに秒殺だった。
 タンカが用意され、男子練習生は白目をむいたままジムから担ぎ出されていった。これは我々取材班の
主観だが、多分あの男はこのジムへ二度と足を踏み入れることはまずないだろうと思えた。怖くて。

 休憩時間に他の女の子たちと楽しくおしゃべりするリナちゃんはまさしく普通の女子高生だった。
あらためて彼女に話を聞く。
「格闘技って楽しいよ、頑張っただけ自分が強くなっていくのがわかるしね。今まで勝てなかった人に
勝っちゃったりしたらもうなんていうか、たまんないって感じ?友達とかもメチャメチャ強くなってきてるから
ウカウカできないし。やっぱ負けたら悔しいじゃん?」

 さっきのインストラクターの女性が言うとおり、イマドキの女の子たちの闘争心というものはかなりのものの
ようである。コンバット女子高生は確実に増えている。ところでリナちゃん、好きな男のタイプは・・・?
「えー、別にどうでもいいやー、みたいな?あたしこうやって体鍛えてるほうが何倍も楽しいもん。
あっでもぉ、つきあうとしたらぁ、んっとねー・・・あたしよりちっちゃくてぇ、ていうかたいていのオトコはあたしより
ちっちゃいんだけど、素直でかわいい人かな。年はあんまり関係なくて、あっでもあんまりおじさんはイヤ。
あたしがグイグイ引っぱってっちゃう。あたしについといで!みたいなね。
 そのかわり、オトコはこうあるべきでとか、オンナはおとなしくとかそういう古い考えの人絶対NG!
オンナのくせにどうこうとかサムいこと言う奴だったらケリ入れて泣かしちゃう!そんな奴に限って弱いし。
・・・ていうかね、あたしやっぱりオトコいらないし。トレーニングする時間もったいないもん」

 そ、そう・・・硬派なリナちゃんに我々取材班は圧倒されるのだった。・・・それではリナちゃん、最後に、
いよいよやって来る本格的女性上位時代を担う若者として、何か男性たちにメッセージをどうぞ。
「えーなにそれ、キャハハハハ!!オトコにメッセージ?んーそーだなー・・・
 つまんない意地張ってないで自分の弱さを認めましょう(笑)けっこういるんだよね、素直じゃないのが。
根拠もないくせにバカみたいに威張っちゃって。弱いくせに。やれオンナは家庭に入ってどのこうのとか、
オトコのプライドにかけてああだこうだとか、もう超ウザ!あんたいつの時代の脳みそ使ってんの、原始人?
みたいな。んで実際やりあってみたら、ちょっとつっついたらビクビク、ちょっと叩いたらメソメソ。ちょっと
やり過ぎようもんならマジ殺しちゃいそうになるし。それだけ泣かされてんのにすぐまた弱いオトコ同士で
陰口叩いたりしてさ。ウジウジグチュグチュしててマジでオトコらしいよね(笑)
 素直にしてればかわいがってあげるのに。ナマイキ言うからボコられるんだよーん(笑)キミたちオトコは
強い強い強いあたしたちオンナには一生頭あがんないの。だって弱っちーでしょ?21世紀のオトコ諸君、
床に頭くっつけなさい。そんであたしたちオンナがおしりにしいてあげちゃおう!オンナのおしりの下で守って
あげるよ。嬉しい?闘いならあたしたちにまかせて!キミたちはおうちでお洗濯でもしてようね。オトコらしく。
 なんか不満があるんならいつでも言っておいで?あたしが相手になってあげる。オンナの強さ、わかりやすく
わかるまでたっぷりと教えちゃう。リナおねーたまが手取り足取りじっくり叩き込んであ・げ・る♪そのかわり
あたしの個人授業はキビシイよぉ。オトコだからって手加減しないから。それ、しっかり頭に入れた上で
あたしたちに文句言いに来てね。どうせかないっこないんだから、忠告だよ。オトコたち、しっかり肝に銘じて
おくように!!
 以上、リナちゃんからオトコたちへのメッセージでした。・・・おじさんたち、これ雑誌に載せるの?
しっかり全文載せてね、これからのオトコたちの正しい道を語ってあげたんだから。おじさんたちも自分に
正直に生きてね、キャハハハハハハ」

 取材を終えて社へと戻る我々は、今日1日で思い知らされたあまりにも重すぎる事実の数々にただただ
足取りが重かった。我々の思っていたよりも遥かに女性たちは強く、逞しく、心身ともに大きく進化していた。
しかもその進化はまだまだとどまるところを知らず、さらに力強く、獰猛に我々男性社会を侵食蹂躙していく
だろう。それにひきかえ、その女性たちに敢然と立ち向かわなければならぬところの我々男性の退化ぶりは
どうか。しかもその退化もとどまるところを知らず、男の小型化、弱体化はますます加速していくだろう。
 女は愛嬌、男は度胸も今は昔、女は度胸と愛嬌、男は・・・何だろう・・・・・・忠誠心・・・?

 どうする?男性諸君・・・・・・・・・

おわり