「隔週芸能」200X年6月16日号より抜粋

「正義のスーパーヒロインに密着!おしおきされたい男の子の視線が熱すぎて困ります!?」

 日曜日の朝といえば、今も昔も子供向け特撮番組が定番。正義の味方に変身して悪い奴らをバッタバッタと
やっつけていくその姿に胸を熱くさせた読者の皆さんも多いのではないでしょうか。しかし、その特撮番組にも
時代の流れとともに大きな変革の動きがあるのをご存知ですか?・・・これまでお決まりだった、悪がはびこり
平和が乱されれば正義のスーパーヒーローが必ず現れ、鮮やかに悪を退けか弱い女子供を守り抜く・・・
そんなおなじみの展開も今は昔。今時の特撮はといえば、悪が現れれば必ずそこに立ちふさがるのは
正義の使命を帯びた戦う女の子。とびっきりかわいく、それでいて力強い少女たちが豪快かつ華麗な
アクションで悪を討ち、か弱い男たちを守り抜く。時代は正義のヒーローからヒロインへとシフトしたのです。

 男性から心身ともに力強さ、逞しさが感じられなくなっていく昨今、これからはその役目を担っていくのは
やはり女性たちのようです。実際、モニターの向こうで刺激的なコスチュームに身を包みパンチラキックを連発
して群がる悪を次から次へとノックアウトして世界の平和を守る彼女たちの雄姿に、主なターゲットである
小さな子供ばかりではなくいい年をした成人男性までもが胸を熱くさせているとも聞かれます。変身後の
きわどいコスチュームで悪をなぎ倒す彼女たちの姿に男たちはTVの前でノックアウト状態なのでしょう。
 そして主な視聴者である幼い男の子たちの意識も様変わりしてきたようで、ヒーローが活躍してきた時代では
自分もこんなかっこいい存在になりたいといういわば同化する憧れだったものが、強くかわいいヒロインが
暴れまわる現代においては、こんな素敵な女性に守ってもらいたいというまるで女の子のような憧れの念を
抱いているとも言います。男性の弱体化は、こんな小さな世代から始まっているのです。

 さて今回やって来ましたのは、そんな強い正義のヒロインが活躍する特撮番組の収録現場。現在ここでは、
今年4月の放送開始以来この時間帯では驚異的な視聴率をはじき出している番組、『機動婦警レイン』の収録
の真っ最中のようです。ちょっとのぞいてみましょう。
 今ちょうど、機動婦警レインこと天野玲子と敵の戦闘員数名との殺陣のシーンを撮影しているようです。
ご存じない方のために少し説明しますと、この番組の主人公、天野玲子は改造人間という設定で、普段は
警視庁に勤める普通の婦人警官ですが、ひとたび悪が現れれば正義のスーパーヒロイン機動婦警レインへと
変身して平和を乱す凶悪犯や怪人を圧倒的強さで叩きのめしていくというストーリーなのです。

 殺陣が始まりました。ものすごい迫力です。この番組が高視聴率をマークしている理由のひとつにこの
ダイナミックなアクションシーンがあげられます。ドラマの撮影ですから本当に殴ったりすることはないものと
思われがちですがこの作品は一味違うのです。全て実戦さながらの本格的な殺陣。さすがに多少手加減は
しているようではありますが、この体当たりの本格的アクションが人気の秘訣なのです。
 そして何と言っても注目なのがヒロイン天野玲子を演じる18歳の新人女優、里崎美穂ちゃん!
身長は、な、なんと驚きの193cm!!まさに文字通り超大型新人アクション女優なのです!!
幼い頃からスポーツ万能だったそうで、バスケットボールと水泳、エアロビクスにキックボクシングで鍛えに
鍛えられた肉体は鋼のような逞しさ。そしてその恵まれた体をバネのように柔軟にしなやかに躍動させて
毎週悪役を華麗に片付けてTVの前の幅広い世代のお友達を熱狂させているのです。

 超がつくほどのミニスカートの婦人警官の制服を見にまとった美穂ちゃんは、その体のサイズを感じさせない
俊敏な動きで次々と黒い全身タイツ姿の戦闘員たちを退治していきます。その超長身を差し引いても長い長い
長すぎるほどの美脚で美穂ちゃん扮する天野玲子はチラリズムの嵐を吹き荒れさせながら全ての悪を
蹴り倒します。朝から眩しすぎる脚にパンチラキックの雨あられ。事実、戦闘員と戦う時間帯になると視聴率は
グーンと跳ね上がってしまうと番組関係者は語っています。不謹慎な目的でチャンネルを合わせる輩も数多い
ようです。これはぜひ玲子におしおきしてもらう必要があるでしょう。

 ・・・いや、もしパンティが見えなかったとしても、この美穂ちゃんのアクションには思わず見とれてしまいます。
鍛え抜かれた体と抜群のキレ。目にも止まらぬスピードで鋭く天高く放たれる蹴りに、敵の戦闘員はみるみる
その数を減らしていきます。こんな美穂ちゃんに一度は蹴られてみたい、そんな考えを抱いてしまう人も
多いのではないでしょうか。
 戦闘員役の男優たちは皆、大きな美穂ちゃんの胸くらいの背丈がやっとのようです。そんな子供同然の
男たちを美穂ちゃんは切れ味鋭いパンチにキック、背負い投げで手際よく仕留めていくのです。
10名前後いた戦闘員たちはあっという間に長身婦人警官・天野玲子の前に全滅。玲子は汗ひとつかかず
余裕の表情で手の汚れをパンパンと払い落としたのち、完全KO状態の戦闘員全員に手錠をかけて逮捕。
そして手錠の鎖を片手で全て握り締めて10人近い戦闘員を軽々引きずって連行していきます。美穂ちゃん、
運動神経だけではなくその力もすさまじいものがあるようです。そして、大勢の男を引きずりながら
カメラに向かって決めポーズの敬礼。193センチという巨女の美穂ちゃんですが、カメラに顔だけ映って
笑顔を浮かべているとやはり18歳の普通の少女です。いや、美少女アイドルとして扱ってもかなりの上位に
食い込むほどのかわいさ。・・・で全身が映ると超長身の鋼鉄の肉体を誇る女戦士の雰囲気。
このギャップがたまらなくかっこよくて、子供から大人まで多くの男たちを虜にしているわけです。

 さあいよいよこの番組最大の見せ場、悪の秘密結社が送り込んだ怪人と機動婦警レインの対決シーンです。
もともとすさまじいまでの強さを誇る天野玲子ですが、怪人が現れればそれに対抗して正義の最終兵器
機動婦警レインに変身、パワーアップを果たします。『機動〜』というくらいだからさぞゴテゴテした着ぐるみ
のようなのだろうと思う方もいることでしょうが、それは違います。この番組の高視聴率の秘密は
このレインのコスチュームにあるといっても過言ではないのです!
 見ているこちらのほうが恥ずかしくなるほど露出度満点のきわどすぎるコスチューム。TVの画面でも
そのすごさは十分伝わっていましたが、いざこうして収録に立ち会って生で見るレインは筆舌に尽くせぬほどの
ド迫力です。

 改造人間戦士を思わせる機械的な防具や装備はほんのファッションのごとく一部分付いているだけ。
膝上まで覆うロングブーツと肘までのグローブ、そしてあとはワンピースタイプのまるで水着のようなボディスーツ
に金属製のプロテクターが所々覆っているだけなのです。鍛え上げられた広い肩と逞しい腕は惜しげもなく
さらされ、これまたよく鍛えられた眩しい太腿も付け根まで誇示するかのように解放されています。
美穂ちゃんの腕も脚も、太陽の光を浴びてますます眩しく光り輝きます。それにコスチューム全体が
光沢のあるメタリック調のカラーで統一されているため、非常にエロチックでもあります。

 さらに美穂ちゃんのスラリとしたボディにピッタリフィットするボディスーツの切れ角もすさまじく、フロントは
ハイレグ状態、リアの角度も非常に危ういもので少し動けばすぐに布が食い込みTバックとなってしまうのです。
日曜朝の子供向け番組とは到底思えません。子供たちにはハッキリ言って目に毒でしょう。しかし、玲子が
レインに変身したこの瞬間こそが毎週の最大視聴率をマークする時間帯であることも事実なのです。

 レインと怪人との戦闘が始まりました。怪人側にはさらに5人の戦闘員がついています。ここでも
美穂ちゃんのスーパーアクションが炸裂しました。窮屈なスカート姿の婦人警官の制服から解放されたためか、
美穂ちゃんの動きはさらに切れ味を増したように感じられました。ハイレグコスチュームによりさらに強調された
美脚の乱舞で戦闘員は瞬く間に全員KO。残すは早くも怪人のみとなってしまいました。怪人は体に仕込まれた
様々な武器を使ってレインを苦しめますがそれも最初だけ。いよいよレインの正義の逆襲が始まりました。
 怪人は中に入っているスタントマンとその重い着ぐるみの重量を合わせれば軽く100kgは突破している
はずです。それなのにこの機動婦警レインこと美穂ちゃんはまるでこの怪人をぬいぐるみで遊ぶかのごとく
軽々と叩きのめしていきます。膝で宙に突き上げ、頭上に軽々とリフトアップ。豪快な上段回し蹴りで5、6mも
吹き飛ばしたかと思うと、今度は両肩に渡して激しく空中旋回!美穂ちゃんのありあまるパワーに私は
開いた口がふさがりませんでした。怪人役のスタントマンの安否さえ心配になってしまうほどでした。
 レインのコスチュームは激しいアクションによりいつものように強烈に食い込み、もともとTバック同然だった
ヒップの部分はほとんど紐状になって極限まで露出され、前の部分にいたってはもはやTフロントと化して
いたのです!なんといやらしい光景なのでしょうか。それもこんな様子で子供の見る時間帯に毎週放送している
のですから・・・

 美穂ちゃんはそんな超絶食い込みなどお構いなしといった感じで大開脚!怪人にとどめの踵落としを
お見舞いしました!エアロビクスで培った柔軟な体から繰り出される踵落としはまさに大迫力!あやういほどに
食い込んだ股間を晒しながら剃刀のような鋭さとハンマーのような重さで怪人の頭にロングブーツの踵を
叩き込みました。ついに怪人は倒れ、機動婦警レインは今日も地球の平和を守ったのです。レインには
武器など全く必要ありません。

 動かなくなった怪人を踏みつけながらレインは腰に片手を当てながらまた敬礼のポーズを決めます。
ファッションモデルでもそうはいない193cmの長身に格闘家顔負けの技のキレと威力、そしてアイドルとしても
通用する美少女ぶり。美穂ちゃんは強い女性の時代を象徴する、まさしく新時代の女優なのです。

 ・・・なんだかんだいったって所詮ドラマの撮影の中での話だろう、本当に彼女が強いわけじゃないんじゃ
ないか、と思う人も多いかと思います。私も実を言うと半信半疑なところがありまして、実際に美穂ちゃんが
強いのかどうか確かめたいと考えました。そこで本誌では急遽特別企画を用意、美穂ちゃんにドッキリを
仕掛けてみることにしました。
 私は学生時代ラグビーをやってまして、体力には自身があります。背丈はさすがに193cmの美穂ちゃんには
及びませんが(私は181cm)、格闘は背の高さでやるものではありません。今、撮影所から許可をいただき、
悪の戦闘員用の黒い全身タイツと覆面を拝借してまいりました。この格好で美穂ちゃんを襲撃して彼女の
真の実力を確かめてみようというわけです。いざ不測の事態となったら私の助手がドッキリと書いたプラカードを
持って入ってくるよう言ってあるのでとりあえずは安心して企画を進められるはずです。

 戦闘員の姿に着替えた私は撮影所の中を徘徊して美穂ちゃんを探しました。・・・いた、いました。
美穂ちゃんはレオタード姿で控え室の中で1人アクションの練習をしていました。練習熱心な子なのです。
1人ならば好都合。私は彼女に気づかれぬようコソーッと接近、近づいてから一気に襲い掛かりました!
「ヒーッ!!」

 番組の中に登場する戦闘員の掛け声を真似ながら私は美穂ちゃんに踊りかかっていきました。私はまず
ラグビー仕込みのタックルで驚かせるとともに一気にダウンを奪う腹づもりでした。今にして考えれば、
私はなんとバカなことを考えたのだろうと・・・後悔せずにはいられません。
 ガシィッッ!!
「きゃ!・・・な、なんですかぁ?」
 私は驚愕しました。美穂ちゃんは全く微動だにしなかったのです。完全に死角であるはずの背後から
渾身の力を込めて仕掛けた私のタックルが・・・全然通用していませんでした。そしてさらに驚かされたのは
抱きついた感触でした。美穂ちゃんの全身を覆う筋肉は・・・見た目よりも断然に硬かったのです。私はまるで
岩か何かに衝突したのではないかと・・・そんな気さえしました。自分からぶつかった私のほうに痛みが走って
いたのです。しかも美穂ちゃんが驚いたような反応を見せたのはわずか一瞬。私は恐る恐る見上げました・・・

「え〜これ撮影なんですか?違いますよね?変なの〜」
 後ろを振り向きながら美穂ちゃんは、私の襲撃にも全く動じる気配はなかったのです。むしろ軽いいたずらを
された直後のような、照れたような笑いを浮かべて私を見下ろしていたのです。私は美穂ちゃんの問いかけに
言葉を返すことはできませんでした。
「ひょっとして、アクションの練習に付き合ってくれるのかな?ちょうどよかった」
 美穂ちゃんはかわいい笑顔を浮かべながら正面に向き合うと私を両手でがっしりと捕まえました。
驚いて振り払おうとした私ですがそれはかないませんでした。そのすごい力の前に私は恐怖を覚えました。
そのとき私は初めて後悔したのです。なんてバカな企画を立てたんだろうと・・・しかし、全ては遅かったのです。

 ドスッドスゥッ!!
「ふぐぅ!!」
 続けざまに2発のすさまじい衝撃が私を襲いました。私には全く見えませんでした。何がなんだかわからない
うちに私は胸板と脇腹に今まで経験したことがないほどの激痛を加えられながら控え室の壁めがけて一直線に
吹き飛ばされ、背中から猛スピードで叩きつけられていました。多分美穂ちゃんは私の目にも止まらない勢いで
胸板にストレート、脇腹にまわし蹴りを叩き込んだのでしょう。私は早くも呼吸困難に陥り目を剥いて悶えるしか
できることはありませんでした。覆面の中は既に脂汗にまみれていました。

「ぐうぅ・・・ぅ、げぇぇ」
 胃の中を全て吐き出してしまいそうに悶絶する私を美穂ちゃんは強引に引き起こして言いました。
「今日の撮影であなたみたいな体型した戦闘員の人いなかったけど・・・ま、いっか。あなたみたいにがっしり
した背の高い人相手なら、私も少しは力入れられるし」
 え・・・え!?今なんて・・・!?少しなら力入れられる、って・・・・・・
それじゃさっきの撮影、あれだけすごい立ち回りやってて全然力も何もいれてなかったとでも・・・
私はさらに激しく後悔しました。挑む相手を間違えたのです。私ごときがかなう相手ではなかったと・・・
「じゃ、続けましょ」
「え?そ、そんな・・・ぶぅうぐ!!」
 ドムッ!!ドムッ!!ドゥゥム!!

 私は二度、三度と激しく突き上げられました。学生の頃ラグビーで鍛えた私の体は自分で言うのもなんですが
体重もかなりあり、先ほど美穂ちゃんに片付けられた戦闘員たちと比べても断然私のほうが逞しい体つき
であったことは確かです。それでも美穂ちゃんはそんな私を余裕で軽々と宙に突き上げていきます。
美穂ちゃんは私をいわゆる首相撲にとらえてその膝で私のみぞおちを強烈に襲ったのです。キックボクシングを
やっている美穂ちゃんの膝蹴りの威力たるや生半可なものではなく、私は今にもお腹に風穴が開いて目玉が
飛び出してしまいそうな衝撃にさらされてただただ声にならないうめき声を上げ続けていました。体には力が
全く入らず、私は美穂ちゃんの膝に突き上げられるたびまるで人形のようにガクガクと揺さぶられ続けました。
目の焦点も全くあわせられないほどの苦痛。しかしそんな中で私は、一瞬だけ美穂ちゃんの表情を目に
焼きつけることができました。悶絶し続けながら私は・・・また驚愕させられました。美穂ちゃんは、笑顔でした。
90kg近い私を1発ごとに2、30cmも膝で浮き上がらせながら美穂ちゃんはニコニコ笑っていたのです!
少しは力を入れられるというのはハッタリなどではなかったのでした。私は恐怖のどん底に叩き落されました。

 この美穂ちゃんが本気を出せば、いや、ほんのもう少し力を込めれば私は殺される!彼女にとっては
その気になりさえすれば少しスポーツをやっていた程度の並の男などいつでもあの世に送ることができると
いうことなのだ・・・そう考えた私は黒い覆面の中で脂汗とともに涙が止まらなくなっていました。

 強い・・・強すぎる!!も、もうダメ・・・許して、助けて・・・・・・そういえば、もしものときに備えてプラカードを
持って出てくる手はずになっていた私の助手はどこに行ったんだ!?私は美穂ちゃんに蹴り上げられながら
必死にドアの向こうに目をやり彼の登場を待ちました。しかし次の瞬間、私の希望は絶望へと変わったのです。
彼はなんと、私をなすすべも持たせず叩き潰していく美穂ちゃんのあまりの強さに、その場にへたり込んで
失禁していたのです。

「ふふっ、自分から襲い掛かってきたくせにどうしちゃったの?私にもディフェンスの練習させてよ、ほらぁ」
 美穂ちゃんは十分に手加減しながらも強烈過ぎる膝地獄からようやく私を解放してくれたかと思うと、楽しげな
口調で言いながら私を軽く突き飛ばしました。内臓を何度も強く強く突き上げられた私は脚にも力が全く入らず
その場に力なく崩れてしまいました。事情を詳しく話して許してもらおうにも呼吸そのものを完全に奪われて
言葉が口から出てくれません。ただだらしなく涙が溢れるだけでした。

「あらあら、泣いてるのぉ?まったく、しょうがないんだから男の人って。す〜ぐ泣き出しちゃうんだもん、
やりにくいったらないわね。撮影の時だって、男の人は弱いからかわいそうかなって私思いっっっっっ切り
手加減してあげてるのに、今みたいにちょっとでも力入れてみたらこれだもんね。よ・わ・す・ぎ!!」
 おそらく彼女は普段から撮影現場やスポーツジムにおいてその圧倒的強さで多くの男を泣かしたのでしょう。
その口調には弱いからといって男を軽く見てバカにしている感じがこめられていました。その言葉を聞いた私は
ボロボロの状態ながらも我慢できなくなっていたのです。

「ん?なにその目。やるの?ふふ、かかっておいで。これだけコケにされて悔しくないわけないもんねぇ。
男の子は強くなくっちゃダメなんでしょ?強いとこ見せてね」
 美穂ちゃん、いや、美穂は軽い口を叩いて私を人差し指だけで招きます。その完全になめ切ったような態度に
私は男としてどうしてもこの女に喝を入れなければならない、そんな怒りにも似た思いで、痛む体に鞭を打って
必死に彼女にかかって行ったのです。よせばいいのに。
 次の瞬間でした。バシィンという音とともに私の右腿にまるで破裂するかのような激痛が襲ったのです。
また、私には見えませんでした。きっと美穂の、目にも止まらない矢のようなローキックが私の太腿に炸裂した
のでしょう。たった一撃で下半身全てをすくわれてしまうような衝撃に私は情けない悲鳴とともにへなへなと
床に逆戻りしました。
「くすくす、弱虫のくせに変な意地張っちゃって」
 美穂の余裕の笑顔を浮かべたままの嘲りの言葉が聞こえた瞬間、私は頭の近くに風を感じた気がしました。

 ゴッッッッッ!!

 まるで側頭部をバットで殴られたかのような衝撃。美穂が笑顔のままクルリとターンしている様子が
スローモーションで見えた気がしました。・・・多分美穂の、後ろ回し蹴りが私のこめかみを襲ったんだ・・・・・・
そう認識しながら、私の意識は細い糸のようにプツリと切れて行ったのです・・・

 今私はこの文章を、自宅で療養しながら書いているのです。取材に出かけたのが2日前ですが、未だに
私の体には美穂の打撃によるダメージが深く深く残されているのです。私が勝手に襲い掛かって行った上での
ことですので彼女に文句を言うわけにもいきません。いや、本心を言えば文句をつけたりして彼女を怒らせたく
なかったのでした。全く実力を出さないまま私をボコボコに叩きのめした彼女のことです。下手に怒らせれば
今度はどんな蹴りが飛んできてどれだけひどい目にあわされるかわかったものではありません。

 自室でTVをつけると某バラエティ番組に美穂が出演しているではありませんか。どうやら、主演している
あの特撮番組で圧倒的なまでの強さを毎週見せ付けている美穂が実際にどれだけ強いのか見てみようでは
ないかという趣向の企画のようです。全く考えることは誰も一緒です。
 美穂の周りを屈強な男数名がぐるりと取り囲んでいます。今画面に映った字幕によると彼らは都内の某大学
柔道部員の面々だそうです。合図とともに、一斉に彼女に飛び掛かっていきます。私はその様子を非常に
冷めた目で見ていました。美穂の悪魔のような強さを、私は一足先に体感してしまっていたからです。

 ・・・思ったとおりでした。彼ら柔道部員たちは、美穂1人に全く歯が立たないのです。ドラマと同じ婦人警官の
制服に身を包んだ美穂は、柔道着姿の大男たちを次から次へと笑みさえ浮かべながら余裕で叩き伏せて
いきます。つかみかかって来た男には1秒と経たない間に腕をねじ上げて情けなく絶叫させながら必死で床を
手で連打させ、別の男にはミドルキックを脇腹にめり込ませて泣きながらのたうちまわらせ、さらに別の男には
ハイキックで顎を打ちぬいて高層ビルの解体のように足元から崩壊させ、襲い掛かってくる男どもをいとも
簡単に退けていくのです。
 毎回の収録で100kg前後の怪人を小荷物でも扱うかのごとく軽く持ち上げ、投げ飛ばす美穂です。
この程度の男が何人束になってかかろうと物の数ではないようです。今もこうして、10人からの男どもを
単純作業であるかのように笑いながら蹴り飛ばし、殴り倒し、抱えあげて振り回し、床に叩き付けていきます。
手先だけのビンタ1発で眠りに就いてしまう男もいます。

 ・・・全員片付きました。所要時間はわずか1分強。男どもは全員、泣きながら転がっています。涙を流して
しゃくりあげる以外にはピクリともしません。全身を襲うあまりの苦痛と、柔道一筋の男が十数人もかかって
18歳の女の子1人に完膚なきまでに打ち負かされた屈辱。私も彼女に叩きのめされた男として彼らの気持ちは
痛いほど伝わってきました・・・

 美穂は制服から手錠を取り出すと、完全ノックアウト状態の男どもを次々と捕獲していきます。そして全ての
手錠を絡めた状態で片手に握ると、片手だけで十数人の男どもを引きずっていきます。やはりこの美穂の
怪力は半端なものではありません。
 カメラの前でいつもの敬礼を決める美穂。その表情には疲れは全く感じられず、汗ひとつかいていない。
いや、戦い始める前から今までずっとその新人女優らしい初々しい笑顔を全く絶やすことはなかったのです。

 カメラに向かってかわいい笑顔のまま美穂は我々視聴者に語りかけます。
「男の人って、弱っちくてかわいそうですね。私まだ全然力出してないのに。やっぱり、これからは私たち女が
しっかりしないといけませんね。さぁ、いつも機動婦警レインを楽しみにしてくれてる女の子たち!君たちも
頑張って強くなろうね!これからの時代の女の子は優しく、強くなきゃダメよ。強くなって、か弱い男の子を
守ってあげなきゃ!だらしない男たちに代わって、私たち女で世界を動かすのよ!じゃね☆」

 そう言い残して微笑んだ美穂は、手錠で捕らえた総重量1tは上回る男十数人を連行して去っていきます・・・

おわり