<ボーイング787>
ANAカラーの2号機も初飛行 ![]()
ボーイング787の初飛行から1週間、今度は原型2号機が初飛行した。12月22日午前9時9分、日本時間の23日未明のことで、ペイン・フィールドから離陸、高度13,000フィート、速度200ノットを記録して、2時間後にボーイング・フィールドへ着陸した。
2号機の胴体塗装はローンチ・カスタマーの全日空カラーである。
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こうしてボーイング787もようやく陽の目を見るに至ったかと思われる。しかし初飛行には成功したかもしれぬが、今後なお9ヵ月間で6,800時間のテスト飛行をこなしてゆかねばならない。
試験飛行に使われる機体は総数6機。いずれも限界ぎりぎりのテストを受けることになるが、その中には、たとえば急降下、離陸滑走中のエンジン停止、滑走路上での急ブレーキ、氷点下55℃の野外に一晩おいた翌朝のエンジン始動、落雷テスト、横風着陸などがある。
これらの飛行試験を、初めのうちは5人のテスト・パイロットでおこない、機数が増えるにつれて8人が追加される。さらにバックアップのパイロット50人が控える。彼らは普段は、量産機が完成したときの確認飛行などをしている。
試験飛行中の787からは刻々にデータが送られてくる。これを約600人の技術者が分析する。何か問題があれば、数千人の技術陣が対処する。ほかに約400人の整備士がいて、夜の間に試験機の整備点検をおこなう。
これらの作業は昼夜兼行、一刻の休みもなくおこなわれ、予定通りに進めば2010年末までに量産1号機を全日空へ引渡し、2011年初めから定期路線に就航することとなろう。
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だが試験飛行には危険も伴う。1995年2月777が高度43,000フィートで試験飛行中、エアコンのダクトのクランプがゆるんで、与圧が抜けたことがある。キャビン後方で作業をしていた技術者が酸素ボンベを取るのが間に合わず、機体は急ぎ降下したが、技術者たちは入院して高圧室で治療を受けなければならなかった。
試験飛行中に墜落事故になったこともある。1959年、まだジェット旅客機の初期の時代だったが、ブラニフ航空向けの707。操縦していたのはブラニフのパイロットで、ボーイングのテスト・パイロットが横についていた。しかしバンク角を深く取りすぎて墜落、乗っていた8人のうち4人が死亡した。
1974年に離陸中止の急停止試験をしたときは、降着装置が全て発火し、パンクしたタイヤや車輪の破片が翼の上にまで飛び散って、パイロットは緊急脱出しなければならないほどだった。
それでは以下、型式証明取得までの主要なテスト項目をいくつか見てゆこう。
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フラッター試験 飛行速度を上げてゆくと機体にあたる風や気流によって振動が発生する。そのため構造破壊を招くことにもなりかねない。その限界を、実際の飛行で確認するための試験である。航空機ではないが、1940年タコマの橋が強風によって激しい振動を生じ、ついに破壊したのが、このフラッター現象であった。
787のテストでは高度40,000フィートから急降下して、速度を音速に近いところまでもってゆく。速度が増すと操縦桿が異常振動を起こす。これに対してパイロットは操縦桿をリズミカルに叩いて異常振動を抑え、フット・ペダルを蹴る。
このテストは最初の数週間内におこない、速度の限界が確認できたところで、航空機としての安全が確認できたものとみなし、FAAの検査官が乗りこんで以後の試験飛行に立ち会う。
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横風着陸 旅客機は、滑走路上を最大風速40ノット(毎秒20.5m)で吹き抜ける横風でも安全に着陸できなければならない。そのための着陸操作としては機首を風の方向に向けて蟹の横ばいのような恰好で接地する。これがうまくできたら、次はもう一度、今度は自動操縦装置(オートパイロット)を使って、やや弱い横風の中で着陸できることを確認する。
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離陸中止 機体の重量を最大離陸重量まで重くして滑走開始、離陸中止の可能な限界速度に達したところで、強くブレーキを踏む。そうすると過去においては、ブレーキの金具が摩擦熱で溶け、タイヤが発火することもあった。それでもタイヤの燃焼は5分ほど続いた後でなければ大きな火災にはならない。
787の場合は、新しいカーボン・ブレーキを使っているので、このような発火は起こらないはず。
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失速テスト このテストは高度10,000〜15,000フィートで巡航飛行中、操縦桿を少しずつ引いて機首を上げ、最後に失速させる。すると機体が急に傾いて、瞬間的に落下する。このときの機体の動きは必ずしもコンピューターで空力的に計算したとおりになるわけではないので、それを瞬時に確認し、数秒間で立て直さなければならない。テスト・パイロットが操作を誤ると、傾きが大きくなり過ぎて、きりもみ状態におちいる恐れがある。
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離陸中のエンジン停止 この試験は、燃料満タンで離陸滑走をしながら、途中で2基のエンジンのうち1基をカットする。途端に機体は、出力を失くしたエンジン側に機首を振る。これを立て直すためにパイロットはラダーをいっぱいに踏みこむ。
双発機は、787に限らず、どれも片発で飛ぶことができるので、パイロットは定められた要領にしたがって操作し、操縦性を失うことなく、停止するか離陸を継続するかしなければならない。
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尾部の地面接触 離陸滑走中の速度が増してパイロットが機首を引き上げるとき、その角度が大きすぎると、機体尾部が滑走路に当たって路面をこすることがある。このとき火花が出て、尾部が地面を離れるまで機首は上がらない。
こうしたことが起こる速度からさらに安全をとって、10%ほど高い速度を787の最低離陸速度として定め、後に飛行規程に記載される。
(西川 渉、2009.12.24)
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