遺留分減殺請求

〜 知らないと怖い!相続の常識 〜



遺留分減殺請求
--- もくじ ---
遺留分減殺請求とは…
【ケース別に見る】遺留分減殺請求
遺留分減殺請求の仕方と遺留分の放棄について



遺留分減殺請求とは…


本来、被相続人(財産を残し亡くなった人)が、生前所有していた財産については、遺言によって
自由に処分することができますが、もし仮に、被相続人が遺言によって『全ての財産を愛人に譲
る』と書き残した場合はどうでしょう。

残された家族が経済的に自立している場合には、それほど問題にならないケースもありますが、被
相続人の財産に依存していた子供や配偶者にとっては、生活に困り路頭に迷ってしまうことが予想
されます。

そこで、後に残された者の生活保障や、被相続人の財産維持・増加に貢献した者への潜在的持分を
顕在化させる等の必要上、相続人には必ず受取ることのできる最低限度の相続財産を得る権利が法
律によって与えられています。

この権利が遺留分減殺請求≠ナす。

少しややこしい話になりますが、被相続人が遺留分を侵害する遺言(遺産全額を福祉事業に寄付するなど)を残したとしても、その遺言が当然に無効となるわけではありません。

遺留分を侵害された相続人が、遺留分減殺請求を行使することによって、遺留分を侵害する遺言書の内容の効力を失効させ、その範囲内での財産を返せと要求することができるに過ぎないということです。



さて、民法が相続人に保障している遺留分減殺請求は、代襲相続人を含む子をはじめ、直系尊属と
配偶者に限られます。

したがって、被相続人の兄弟姉妹には遺留分減殺請求の権利はありません。




各相続人に与えられる遺留分の割合については、民法第1028条に定められています。



兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の額を受ける。

 1.直系尊属のみが相続人であるときは、被相続人の財産の3分の1

 2.その他の場合には、被相続人の財産の2分の1


【民法 第1028条 遺留分権利者とその遺留分】



なお、遺留分減殺請求権をもった相続人が複数いる場合には、法定相続分で割って計算するため、
その分、個々の得られる財産は少なくなります。




遺留分減殺請求も消滅時効にかかってきます。

相続開始および減殺すべき贈与、または遺贈があったことを知ったときから1年以内に、遺留分を
侵害している相手方に請求しなければ、その権利はなくなります。

また、贈与等によって遺留分が侵害されていることを知らなくとも、遺留分減殺請求は、相続開始
のときから10年経過すると消滅してしまうので、今まで知らなかった人は、これを機会に忘れずに
覚えておきましょう。



減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から、1年間これを行わないときは、時効によつて消滅する。相続の開始の時から10年を経過したときも、同様である。

【民法 第1042条 減殺請求権の消滅時効】



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【ケース別に見る】遺留分減殺請求


先にも述べたように、遺留分の割合については、相続人が誰かによって変わってきます。



----- 参考資料【遺留分】-----

相続人
遺留分の割合
配偶者のみ
被相続人の財産の1/2
配偶者 + 子
配偶者 + 父母
父母のみ
被相続人の財産の1/3
兄弟姉妹
なし
----- 参考資料【法定相続分】-----

相続人
法定相続分
配偶者 + 子 配偶者・子、共に1/2ずつ
配偶者 + 父母 配偶者2/3、父母1/3ずつ
兄弟姉妹 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4ずつ



【具体例1】 配偶者のみが相続人となるケース



A男死亡
【1,200万円】
--->> B子(配偶者)【1,200 × 1/2 = 600万円】
遺留分合計
600万円



【具体例2】 配偶者と子(3人)が相続人となるケース



A男死亡
【1,200万円】
--->> B子(配偶者)【1,200×1/2×1/2=300万円】
遺留分合計
600万円
--->> C(長男)【1,200×1/2×1/2×1/3=100万円】
--->> D(次男)【1,200×1/2×1/2×1/3=100万円】
--->> E死亡(長女) --->> F(Eの子)【1,200×1/2×1/2×1/3=100万円】
代襲相続



【具体例3】 配偶者と父母が相続人となるケース



A男死亡
【1,200万円】
--->> B子(配偶者)【1,200×1/2×2/3=400万円】
遺留分合計
600万円
--->> C(A男の父)【1,200×1/2×1/3×1/2=100万円】
--->> D(A男の母)【1,200×1/2×1/3×1/2=100万円】



【具体例4】 配偶者が既に死亡し、父母のみが相続人となるケース



A男死亡
【1,200万円】
--->> B子死亡(配偶者)
遺留分合計
400万円
--->> C(A男の父)【1,200×1/3×1/2=200万円】
--->> D(A男の母)【1,200×1/3×1/2=200万円】



【具体例5】 配偶者と被相続人の兄弟姉妹が相続人となるケース



A男死亡
【1,200万円】
--->> B子(配偶者)【1,200×1/2=600万円】
遺留分合計
600万円
--->> C(A男の兄)【遺留分なし】
--->> D(A男の姉)【遺留分なし】





遺留分減殺請求の仕方と遺留分の放棄について


相続人は、必ず遺留分減殺請求を行使しなければならない!というわけではありません。

つまり、被相続人の遺言に納得し、故人の意思を尊重したいのであれば、別に行使する必要はない
ということです。

逆に、侵害された遺留分について権利を行使しようとする方は、遺留分を侵害している相手に対し
て行動を起こさなければなりません。

請求する際には、必ず裁判所を通さなければならないといったルールはありませんので、遺留分を
侵害している相手方との話し合いによって問題解決が見られれば、それですべて丸く収まります
が、相手が交渉に応じない場合には、家庭裁判所の調停や審判、あるいは裁判によって決着を付け
ることになります。

そこで、後々のトラブルを防止するため、消滅時効のある遺留分減殺請求を行う際には、まず証拠が残る形で権利を行使するのが賢明な策と言えるでしょう。

具体的には、配達証明付きの内容証明郵便で行うことです。

遺留分減殺請求を行使する際は、請求できる財産の順位が決まっているなどのルールがあるので、不安のある方は、一度、弁護士等の法律専門家に相談してみることをお勧めします。





第1順位
遺贈
まず最初に遺贈から減殺し、不足があれば贈与を減殺する…
第2順位
贈与
死因贈与と生前贈与があるが、判例によると、死因贈与は通常の生前贈与よりも遺贈に近い贈与であるとして、遺贈に次いで、先に減殺対象となる…





遺留分の放棄については、相続放棄と異なり、相続開始前に放棄することも可能です。

ただし、被相続人に無理やり放棄するよう強要される等の圧力を回避するため、相続開始前の遺留
分放棄には家庭裁判所の許可が必要になります。

そこで、相続開始前に遺留分減殺請求の権利ある相続人が放棄する場合には、「遺留分放棄許可審判の申立書」に必要事項を記入し、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てます。

※ 申立てに必要な書類(書式)は、裁判所HPでダウンロードできます。

申立ての際には、印紙代、郵便切手、申立人・被相続人の戸籍謄本等が必要になってくるので、不備が無いよう、事前に申立先の家庭裁判所に提出書類等の確認を行ってください。

なお、相続開始前に遺留分を放棄する相続人が出たとしても、他の相続人が遺留分減殺請求することによって得られる額が、その分増えるわけではありません。


 

遺留分放棄の許可の申立書 (家事審判申立書)
@ 相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。

A 共同相続人の1人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。


【民法 第1043条 遺留分の放棄】





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