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| 京島のあたりは昔、寺島と呼ばれていたらしい。その後、東京の寺島という意味で京島に変わった。 今回紹介する銭湯は、墨田区の曳舟湯(ひきふねゆ)。東武・曳舟駅あるいは京急曳舟駅から徒歩数分のところにある。 曳舟湯は古い破風造りの銭湯で、塀も古風な造りで重厚でかつ美しい。中に入れば、伝統的な番台が健在で、壁掛け古時計も現役だ。 考えてみれば、脱衣室を男女完全に仕切ってしまえば、壁掛時計が2つも必要になってしまうが、昔の人は男女の脱衣室の仕切りを低い壁にし、その上部は「つうつう」にしてしまった。このおかげで、高価な壁掛け古時計は1つあれば事足りるようになったのである。昔の人の知恵である。ちなみに「つうつう」は立派な建築用語なので念のため。 脱衣室には、ロッカーが(確か)67個、ドライヤーが1個(利用料20円)、新しいマッサージ椅子が1基(利用料10分100円)、石鹸類の販売、飲み物類の販売、アイスクリームの販売(夏期だけなのだろうか、冷凍庫の中身は空っぽだった)がある。脱衣室には坪庭もある。 脱衣室にはいくつかの額縁入りの写真が飾られており、さしずめ「ギャラリー」のようになっている。これらは客が持ち込んだものを、展示しているらしい。曳舟湯は地域の公民館のような存在でもあるようだ。 さて、浴室に入る。浴室は極めてシンプルで、シャワーブース、サウナ、水風呂、壁画、タイル画、広告はない。タイルのモザイク画があるのみである。洗い場は23箇所。また、曳舟湯の桶は木製である。中に湯を入れるとかなりの重さになるが、これは曳舟湯の歴史の重さに違いないと納得する。 浴槽は、深風呂(湯温46℃と表示)と浅風呂(湯温43℃と表示)のコンビネーションである。湯温はともに少し熱めであった。 そして今日は運良くりんご湯の日である。本日のりんごは、なんと志賀高原産のものらしい。りんごはカーゼの袋に入れるわけでもなく、無造作に浴槽に浮かべられている。その数、浅風呂に約10個、深風呂に約10個、合計約20個である。 そのりんごを手にとって見ると、見るからにおいしそうなものばかりだ。別に痛んでいるわけでもなし、傷がついているわけでもない。ただ大きさはまちまちである。 別の常連客も、同じように手にとって見たり、私に「食べてごらんよ。」と言ってくれたりする。しかし、浴槽横には、「りんご食べるべからず」との貼り紙が、、、。番台様によれば、他の銭湯では、りんごを持ち帰ってしまったり、食べてしまったりする客がいたそうだ。その気持ちはわからないでもない。本当においしそうに見えるのだ。感心することしきりである。あ〜もったいない。あ〜ありがたや。 常連客の中には、親子で来て、子供(40〜50代)が親(70〜80代)の背中を洗っている姿もある。狭い自宅の風呂ではなかなかできないことであろう。 番台様によれば、曳舟湯の創業は昭和7年。1年ほど前に塀の漆喰を塗りなおした以外はあまり建物に手を入れていないという。まだまだ現役で稼動している壁掛け古時計は、「時計なんて壊れたら修理しないで買った方が安い。」という風潮の現在においては、まさに異次元の空間を演出する代物である。そう、曳舟湯の時間は、下界の時間とは異なっているのだ。 最近銭湯というものを知らない人が多いようだ。東京にはこんなに身近にたくさんの銭湯があるというのにである。銭湯などというものは、「自宅に風呂がない貧乏人が行くところ。」と勘違いしている人も多い。 殺伐とした喧騒の現代、曳舟湯は異次元の空間を提供し、人に下界から離れたところで人生そのものを再考させてくれる。そう、人生は一回きりなのだ。人は死ぬとその先は何もない真っ暗な世界だ。地獄や天国なんてあるわけがない。ましてや、生まれ変わりなんてあるわけがないのだ。時が止まったようなこの空間で、もっと人生を楽しまなければ損だと思った。 大人400円、中学生300円、小学生180円、乳幼児80円(大人1人につき乳幼児2人まで無料) |
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| 住所 | 入浴料 | サウナ | TV | 営業時間 | 定休日 |
| 東京都墨田区京島1-7-10 | 400円 | × | × | 15:30〜24:00 | 不定休 |
※ 入浴料はサウナ料金込で表示
※ TVはサウナ内にTVがあるかを表示
取材:銭湯愛好会東京支部
取材日:2005年11月23日(水)