もっとも絶滅に近いカメ

数ある絶滅危惧種の中でも、もっとも絶滅に近いカメとして有名なシャンハイハナスッポンRafetus swinhoei (別の呼び方ではYangtze giant soft-shell turtles)の野生個体が最近ベトナムで新たに発見されました。
今は中国の蘇州動物園に二頭、ベトナムの動物園に一頭、そして今回発見された雌個体を合わせて四頭が現在世界で確認されている唯一のシャンハイハナスッポンとなります。 
シャンハイハナスッポンとはスッポン科ハナスッポン属に属する種で、非常に大型になり成体では軽く100kgを超え、寿命も相当長いと考えられています。 現在飼育されている雄はすでに100歳を超え、体重90kgを超えています。 発見された雌は推定80歳、体重45kg、こうなると当然繁殖に期待がかかります。 幸いにしてこの雌はまだ繁殖能力を持っているようで雄に擦り寄ってはその兆しを見せています。生物学者や野生動物環境保護団体は相当期待しているようですが我々のような愛好家も期待したいところです。 

中国、東南アジアでは未だにカメは食の対象です。 日本でもスッポンを食べる習慣はありますが中国、東南アジアの場合は絶滅危惧種だろうとお構いなし、目の前にいるカメは美味しい肉として扱われています。
シャンハイハナスッポンもわずか半世紀前は何処にでも生息しているスッポンでしたが食用としての捕獲や生息環境の破壊によって急激にその数を減らしていきました。 中国の動物園にいる100歳を越える雄個体は半世紀前に地元のサーカス団体から珍しい大きなスッポンとして動物園が買い取った個体でした。 しかもつい最近まで何の種類なのかわからずに展示していたそうです。 このように専門家の不足、絶滅危惧種への認識の低さも種を絶滅へと追いやる要因になっているのでしょう。 


発見されたシャンハイハナスッポンの45kgの雌個体、蘇州動物園にて



シャンハイハナスッポン、100kg近いオス個体



シャンハイハナスッポンの卵


こちらは別の種類ですがクロスッポン(Aspideretes nigricans)も絶滅危惧種です。 生息国はバングラディッシュでナシラバードという州にあるボヤジットという寺院の池にしか生息しないという種で、世界一生息域が制限されているカメといえます。 場所が寺院ということで神の使いと崇められ一応保護の対象になっていますが、この小さな池には人間の生活汚水が垂れ流されているため酷く汚染されています。 個体は全て皮膚病に掛かり、特に子亀は症状が重く、近い将来完全に絶滅されるであろうNo1カメとも言われています。


クロスッポンが生息する汚染された池



かなり餌付けされているクロスッポン



クロスッポン生息域のボヤジット寺院


まだまだ世の中に知らせていないカメがひっそりと生活しているでしょう。 中国の山奥、東南アジアの孤島、南米アマゾンのジャングル奥深くなどに未開の地で地元の人間しか知られていない、もしかしたら地元の人間さえ知らない種がいるかもしれません。 
また、アフリカ諸国などで長期に渉って戦時下にある国などは人間の手が入りにくいため未だ未確認個体が存在するかもしれません。 例え戦争が終わっても地雷などが駆除できずに手付かずの自然がまだ残っていたりしますので野生動物にとっては隠れる絶好の場所になっていたりします。 つい最近内戦が終結したソマリアから未確認の大型ヒョウモンガメと思われる一種が大量に日本に入ってきました。 新種なんて話を聞くと思わず飛びつきたくなりますが本当の事情を知ると複雑な心境になります。